中日はなぜ「小笠原慎之介」を獲得しなかったのか? 「古巣だけに、“現在の状態”を正確に把握していて…」 「前田健太」「藤浪」「青柳」…“MLB復帰組”の苦戦も相次ぎ
中日でプレーし、メジャーに挑戦してナショナルズ傘下2Aハリスバーグに所属していた小笠原慎之介が巨人に入団し、18日、チームに合流した。今後はファームで調整期間を経て、1軍での先発要員として活躍が期待されるが、他球団は攻略に自信を見せる。V奪回に向けての今回の補強は吉と出るか。
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メジャー昇格は厳しい
小笠原は24年のオフにポスティングシステムを利用して、ナショナルズと2年契約を結んだが、現実は厳しかった。昨年は主に中継ぎで23試合に登板して1勝1敗、防御率6.98。期待外れの結果に終わったことで、チーム内の扱いも変わった。今年3月に、メジャーのスプリングキャンプに招待選手として参加していたが、途中でマイナーキャンプへ降格。3Aでも先発の予備候補として優先順位が高くなかったため、2Aで過ごす期間が長かった。

メジャーの編成関係者は指摘する。
「手厳しい言い方をすれば、メジャーで通用する水準に達していなかった。ポスティングシステムを利用して挑戦した際も、先発のコマ不足が深刻なナショナルズ以外の球団は獲得に向けて積極的ではなかった。145キロ前後の直球はメジャーでは打ち頃で、スライダー、チェンジアップにも対応される。小笠原の大きな課題は制球力でした。速い球を投げられないなら制球力が生命線になりますが、甘い球をことごとく痛打される場面が目立った。ナショナルズでメジャー昇格を目指しても厳しかったでしょう」
好待遇で迎えるほどの価値が…
約1年半の米国挑戦に区切りをつけ、日本球界に復帰を決断。一部のメディア報道では4球団が獲得を検討したと報じられた。最下位に低迷する中日の動きも気になったが、実情はどうだったのだろうか。
「中日は獲得に向けて調査しましたが、そこまで熱心でなかったと聞いています。理由は補強ポイントの中で、『先発投手獲得』の序列がそれほど高くなかったことが挙げられます。今の中日の先発陣は、柳裕也、大野雄大、金丸夢斗、マラーに加え、現在は不調でファーム調整していますが、エースの高橋宏斗もいる。新人の櫻井頼之介、中西聖輝も控えています。巨人は小笠原と推定年俸1億8000万円で契約を結びましたが、今後の先発陣の編成を考えた時に好待遇で迎えるほどの価値はないと判断したのでしょう」(中日の元編成担当)
「怖さはまったくない」
9年間プレーした中日は小笠原の力量を最も把握していると言える。21年から4年連続規定投球回数をクリアするなどタフネスであることが魅力である一方、打者を打ち取る絶対的な武器に欠ける。通算161試合登板で46勝65敗、防御率3.62。チームが低迷期で打線の援護に恵まれない登板が少なくなかったが、一方で、ホームランテラス設置前の広いバンテリンドームを本拠地に置いていたことを考慮しなければいけない。
当時の中日を取材していたスポーツ紙記者は、
「狭い球場を本拠地に置いていたら防御率が4点台だったでしょう。打者を打ち取る絶対的な球種がなく、制球もアバウトなため球数がかさむ。5、6イニング投げて3失点以内に抑えれば上出来の投手です。日本で通用するか未知数な助っ人外国人投手を獲得するよりは、計算ができると言えますが……」
他球団のスコアラーも、
「怖さはまったくないですね。巨人で言えば、同じ左腕でも球に力がある井上温大、ドラフト1位の竹丸和幸の方が厄介です。米国で投げている映像を見ましたが、中日時代から大きく変わったわけではない。対策はきっちり立てますよ」
と攻略に自信を見せる。
早急に求められる結果
米国から日本球界に復帰した投手がNPBで活躍できる保証はない。昨シーズン途中にDeNAに入団した藤浪晋太郎は、課題の制球難で改善が見られず今季は開幕からファーム暮らし。また、1年も経たずにメジャー昇格を断念した青柳晃洋も、昨年はシーズン途中に入団したヤクルトで3試合登板して防御率8.10。今年は故障で出遅れて1軍登板がない。日米通算165勝をマークしている前田健太は昨オフに楽天に入団。11年ぶりに日本球界に復帰して先発の柱として期待されたが、7試合登板で1勝3敗、防御率3.52と思うような結果を残せていない。全盛期に比べて直球のキレが落ちるため、変化球にも対応されてしまう。
「小笠原は28歳とまだ若い。米国でプレーしていた期間も短かったので、中日時代に比べてパフォーマンスはそれほど変わっていないでしょう。ただ、巨人は外部補強した選手に対しても結果を残さなければシビアです。ソフトバンクからFAで加入した甲斐拓也は今季移籍2年目ですが、開幕から3か月近くファーム暮らしが続きました。かつてDeNAからFAで移籍した井納翔一も在籍期間2年間で1勝のみに終わり、戦力構想から外れる形で現役引退しました。何度もチャンスを与える球団ではないので、小笠原も1軍のマウンドで早急に結果が求められます」(スポーツ紙デスク)
阪神、ヤクルトと熾烈な首位争いが繰り広げられる中、V奪回のピースになれるか。小笠原の新たな挑戦が始まる。
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デイリー新潮編集部
