クラシック・ロールス・ロイスを『エレクトロモッド』 ハルシオン・コーニッシュ EV V8から405psのモーターへ 若き技術者が高める魅力
記憶へ刻まれる威厳に満ちた走り
少し離れた場所からでも、優美なショルダーラインに魅了される。1km走らずとも、ボンネットのフライングレディが導く、威厳に満ちた走りが記憶へ刻まれる。
【画像】若き技術者が高めるロールスの魅力 ハルシオン・コーニッシュ EV化されるクラシックたち 全139枚
ロールス・ロイス・コーニッシュ・コンバーチブルのベースになった、シルバーシャドーを前回運転したのは、既に30年ほど前。その時は、アスファルトを滑走するように処理する、古いサスペンションへ言葉を失った。もちろん、円熟の美貌にも。

ハルシオン・ ロールス・ロイス・コーニッシュ・コンバーチブル EV(英国仕様) マックス・エドレストン(Max Edleston)
今回ステアリングホイールを握ったのは、レストモッド・ガレージのハルシオン社によって、電動化(エレクトロモッド)されたコーニッシュ・コンバーチブル。同社は、グレートブリテン島南部、サリー州で3年前に設立されたばかりだ。
今後数年をかけて、クラシック・ロールス・ロイスを120台手掛ける予定だという。その内、半分はオリジナルの6.75L V8エンジンをリビルドして搭載する。残りは、駆動用モーターとバッテリーへ置き換える計画だそうだ。
話し合ってきた情熱を注げるクルマづくり
同社のメンバーは、大学のフォーミュラ・プログラムで意気投合した若き技術者、マシュー・ピアソン氏とチャーリー・メトカーフ氏、ウィル・バーデット氏の3人。「情熱を注げるクルマづくりを、以前から話し合ってきました」とメトカーフが話す。
「コロナ禍の中で、EVの未来を悲観しすぎているように感じていたんです。そこで、EVのロールス・ロイスというアイデアが生まれました。そもそも、電気モーターのように静かで洗練されたパワートレインの開発へ、注力してきた会社ですから」と続ける。

右から、マシュー・ピアソン氏とチャーリー・メトカーフ氏、筆者のスティーブ・クロプリー マックス・エドレストン(Max Edleston)
試作に当たって3名が選んだのは、1970年代後半に生産されたロールス・ロイス。駆動用バッテリーを隠せる大きさがあり、電動パワートレインへ換装しても、車重は殆ど変わらないだろうと考えたからだ。高い完成度も、その理由にあった。
彼らが描いた構想は、4ドアのシルバーシャドー IIと、2ドアのコーニッシュをレストア/エレクトロモッドし、年間15台提供するというもの。今は年に7台へ限られているが。
最高出力は405psで、航続距離は402km
ハルシオン社は、オーナーからベース車両を提供してもらうか、依頼を受けて好適な例を市場から探す。届けられたロールス・ロイスは地金まで分解され、依頼者の好みに合わせて高水準に仕上げられる。
レストアとエレクトロモッドに必要な費用は、45万ポンド(約9450万円)。V8エンジンを活かす場合は、42万ポンド(約8820万円)で済む。特別なカスタマイズを希望すれば追加費用も必要になるが、他社の例と比較しても法外な金額とはいえない。

ハルシオン・ ロールス・ロイス・コーニッシュ・コンバーチブル EV(英国仕様) マックス・エドレストン(Max Edleston)
筆者の目の前にあるのは、初めて仕上がったエレクトロモッド版。落ち着いたメタリック・ブルーが艶やかな、コーニッシュ・コンバーチブルだ。
駆動用モーターはリアに載り、最高出力は405ps。バッテリーは77.0kWhの容量があり、航続距離は402kmが主張される。ご希望なら、512psと94.0kWhへアップグレードでき、482kmまで伸ばすこともできる。急速充電は、230kWに対応する。
ロールス・ロイスに対する保護活動の正解
ドアを開き、シートへ腰を下ろすと、格別なキャビンへうっとりする。ダッシュボードには、円形のメーターが2面。クラシカルなスイッチが、エアコン用に並ぶ。ステアリングホイールは新調され、ハンドメイドのメタルトリムが全体を引き立てている。
エレクトロモッド・モデルの中には、オリジナルが有した個性や美しさへ、望ましくない影響が及んだものもある。しかし、ハルシオン社が手掛けたロールス・ロイスは、その真反対。むしろ、本質的な魅力がより高められている。

ハルシオン・ ロールス・ロイス・コーニッシュ・コンバーチブル EV(英国仕様) マックス・エドレストン(Max Edleston)
そして、55年も前のコンバーチブルに、現代的な信頼性と日常性も与えられている。このクルマにおける、保護活動の正解といえるかもしれない。
サリー州の路面は凹凸が目立ち、幅員は狭いが、カーブが連続し運転を楽しむのには悪くない。車重は2.2tで、全幅は1830mmほど。最近の一般的な電動クロスオーバーと比較しても、重すぎないし大きすぎない。全長は長く、堂々とした佇まいにあるけれど。
現代のどんなクルマにも負けないほどスムーズ
スロットルマップは緻密にデザインされ、発進から力強く滑らか。極めてロールス・ロイスらしい。0-100km/h加速は、7.0秒とのこと。リミテッドスリップ・デフが備わるが、60.0kg-mの最大トルクを踏まえると、濡れた路面では不可欠な装備だろう。
ひと回り小径に改められたステアリングホイールは、リムが細身。当時の感覚を、まったく失っていない。オリジナルと同じく、限界まで攻めればアンダーステアが待っているはずだが、こんな優雅なコンバーチブルを攻め立てる人はいないはず。

ハルシオン・ ロールス・ロイス・コーニッシュ・コンバーチブル EV(英国仕様) マックス・エドレストン(Max Edleston)
サスペンションはソフトに調整され、乗り心地はしなやかでおおらか。スチールホイールには、当時物のホイールキャップと、肉厚なエイボン社製タイヤが組まれる。最新のアダプティブダンパーと相まって、見事なほど快適に流せる。
彼らの手でエレクトロモッドされたロールス・ロイスは、現代のどんなクルマにも負けないほどスムーズ。ヘンリー・ロイス氏も、天国で誇り高く感じているに違いない。
ハルシオン・ ロールス・ロイス・コーニッシュ・コンバーチブル EV(英国仕様)のスペック
英国価格:45万ポンド(約9450万円/ベース車両別)
全長:5169mm(オリジナル)
全幅:1829mm(オリジナル)
全高:1492mm(オリジナル)
最高速度:185km/h(予想)
0-100km/h加速:7.0秒(予想)
航続距離:402km
電費:−km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:約2200kg
パワートレイン:電気モーター
駆動用バッテリー:77.0kWh
急速充電能力:230kW(DC)
最高出力:405ps
最大トルク:60.0kg-m
ギアボックス:1速リダクション/前輪駆動

ハルシオン・ ロールス・ロイス・コーニッシュ・コンバーチブル EV(英国仕様)
