実業家のマイキー佐野氏が、「PayPalマフィア」と呼ばれる集団の実態とその影響力について解説した動画を公開した。単なるシリコンバレーの成功者グループと思われがちだが、その正体は世界の投資・産業・政治を何十年もかけて塗り替えてきた巨大な権力構造だという。

「PayPalマフィア」という呼称自体、実は後付けだ。米誌の特集でメンバーたちがトレンチコートを着て撮影した写真が話題を呼んだことで定着した名前であり、当時の彼ら自身がそう名乗っていたわけではない。佐野氏によれば、グループの原点はピーター・ティール側の企業とイーロン・マスクのX.comが、同じビルで隣り合いながら熾烈な資金消耗戦を繰り広げていたことにある。互いのオフィスから相手の動きが見えるほどの距離で、激しい顧客獲得競争が展開されていた。
 
共倒れを避けるために両社は合併したが、内部はカリスマが2人並立する極めて不安定な状態が続いた。マスクが新婚旅行中に不信任決議でCEOを追い出されたというクーデター劇も、この時代の産物だ。詐欺対策に総力を挙げたエンジニアたちの経験が結束を生み、激しい摩擦の時代こそが後の思想と行動原理を形成していった。
 
PayPal売却後、メンバーたちはシリコンバレーの投資・起業シーンで急速に存在感を高めた。佐野氏が注目するのは、単なる成功体験の共有ではなく、独自の世界観を業界全体に浸透させた点だ。競合を排除するのではなく「競合を作らないこと」を最大のイノベーションとする発想、権力を一極集中させる二重株式構造の普及--これらはいずれも彼らの手で広まったとされる。現在ではAI・宇宙・国防インフラにまで影響が及んでいる。
 
さらに手は政治にも伸びている。トランプ政権への資金・技術支援を通じて政策決定に入り込む一方、グループ内でも民主党支持と共和党支持に分かれ、かつての仲間同士が激しく対立している構図が浮かび上がる。「一生付き合える友人」を標榜したはずの組織が、今や真逆の政治思想でぶつかり合っている現実は何を示しているのか。投資・産業・政治という3つの領域を制圧していく軌跡の全貌が、この動画では丁寧に紐解かれている。

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現在はアカデミズム関係者・経営者・投資家・学生が参加するビジネススクールも運営