「”きれい”より、”すごい”より、”美味しい”菓子を」人気和菓子店「たねや」が育む利他の精神

写真拡大 (全12枚)

世界からも注目される日本ブランドは、どのように新しい市場をつくり、独自の「ほんもの」となったのでしょう? 共通するのは、「本来の自分」を活かし挑戦していっていること。部門賞受賞ブランドには市場や、海外の声などについての共通質問も。その答えは……? 今回は、「利他」部門賞を受賞した「たねや」を紹介。

利他の精神が育む、本物の菓子

「利他」部門賞 受賞! たねや

全国菓子大博覧会最年少受賞の実績を持つ4代目・山本昌仁氏は、目を奪う造形よりも「口に入る一瞬の完成度」を最優先する。

「主人がおいしいと思わないものは売らない」と言い切り、水が変われば味も変わるという前提のもと、製造は鈴鹿山系の地下水に恵まれた滋賀に限定。

素材は安定供給よりも、その年・その土地との相性で選び、契約農家と向き合いながら原料の物語を共有する。

「ラ コリーナ近江八幡」では、田畑を含む環境を整え、地域の雇用を生み、菓子づくりの背景にある自然を体験できる場をつくった。利他の精神に貫かれた菓子づくりが、地域の未来を育んでいる。

DATA

滋賀県近江八幡市北之庄町615-1

電話0748-33-6666

ラ コリーナならではの限定メニュー

2015年開業のフラッグシップ店「ラ コリーナ近江八幡」には、イートイン・テイクアウトそれぞれに限定商品がある。たとえばカステラ専門店「栗百本」内のカフェの限定メニューは、焼きたてならではのふわふわの食感を楽しめる「焼きたてたねやカステラ」や、季節のソースを添えたカステラ。

メインショップ2階のカフェでは、どらやきにつぶあんと生クリームをあわせた「生どら」が用意されている。有機栽培の桑の葉の粉末を使った生地でこしあんを包んだ「たねや饅頭 桑の葉」は、メインショップの限定商品としてお土産に好評。

“ほんもの”とは?

今までにない「新しい市場」の創出にあたって意識したことは?

売り場を増やすよりも、菓子が生まれる背景を伝えること。たくさん売るよりも、深く届くことを意識しました。「ラ コリーナ近江八幡」は、菓子が生まれる背景にある自然、時間、風土を、丸ごと体験する場所としてつくりました。

たねやの「こだわりどころ」は?

自然をお師匠にして、自然に学ぶことを大切にしています。産地に出かけ、素材に対する農家の思いを聞き、お菓子を通してお客さまに伝えることを心がけています。

ブランドならではの本来感─Sense of Authenticity─とは?

本物の材料を使った、本物の味がする菓子をつくることです。素材の良さを最大に活かした加工をしてお菓子にするという、「当たり前のこと」を大切にしています。

お菓子を通して伝えたいことは?

「きれい」や「すごい」ではない、「美味しさ」です。

海外のファンの声

「ラ コリーナ」を訪れる海外のお客さまからは「懐かしい」「ジブリみたい」と言われます。建築家・建築史家の藤森照信先生は海外でも活躍されているので、「藤森先生の建築を見るために来ました」という方もいらっしゃいます。(代表取締役社長 山本昌仁氏)

●情報は、『FRaU JAXURY MOOK その輝き、「ほんもの」。幸福のラグジュアリー』発売時点のものです(2026年3月)。

Edit & Text:Megumi Komatsu

季節のブレンド茶からお茶のコースまで「日本のお茶」の味と美意識を五感で愉しむ専門店