アウレット、99ドルの新ベビーモニター投入で何を狙う? 急成長 ベビーテック が示す顧客拡大の鍵

記事のポイント
アウレットは99ドルの新ベビーモニター「ドリーム・サイト」を発売し、顧客層拡大を狙う。
売上は2023年度の約5400万ドルから2024年度7810万ドルへ45%増加し、2025年上半期も好調に成長している。
手頃な価格と新機能を備えたドリーム・サイトは市場競争を強化し、新規顧客獲得とブランド認知拡大の鍵となる。
アウレットは99ドルの新ベビーモニター「ドリーム・サイト」を発売し、顧客層拡大を狙う。
売上は2023年度の約5400万ドルから2024年度7810万ドルへ45%増加し、2025年上半期も好調に成長している。
手頃な価格と新機能を備えたドリーム・サイトは市場競争を強化し、新規顧客獲得とブランド認知拡大の鍵となる。
乳幼児向けテクノロジー企業のアウレット(Owlet)は、Wi-Fi対応のベビーモニター「ドリーム・サイト(Dream Sight)」を発売する。ドリーム・サイトは、より多くの新米パパママの顧客層拡大を狙った、もっとも手頃な新製品だ
創業13年のアウレットは、これまで「アウレット・カム2(Owlet Cam 2)」などのベビーモニターを販売してきたが、ドリーム・サイトが販売チャネルに登場するのに伴い、アウレット・カム2は販売終了となる。新しいドリーム・サイトは解像度が高く、セットアップも簡単で、特に旧バージョンが159ドル(約2万3500円)だったのに対し、新製品は99ドル(約1万4600円)となっている。アウレットのプレジデントで、10月に同社の最高経営責任者(CEO)に就任するジョナサン・ハリス氏は、この新製品は新規顧客にとってより手頃で利用しやすいエントリーポイントとなるものであり、ビジネスに大きな影響を与えると考えている。
ハリス氏は次のように話す。「これは、顧客からもっとも要望の多かった製品のひとつだ。彼らは、解像度がより高く、セットアップが簡単で、セキュリティの高い次世代カメラを本当に求めている。我々はこの発売にとても興奮しているし、これは我々のビジネス全体を変えることになると思う」。
ドリーム・サイトの発売により、アウレットは新たな顧客を獲得し、ナニット(Nanit)、プイテック(VTech)、クボー(Cubo)といったほかのベビーテック企業と正面から競争する態勢を整えた。誰もが「スマート・ソック」を購入し、健康データを受信することを望むわけではないかもしれないが、ベビーモニターはほとんど誰もが手にする。
ハリス氏の言葉を借りれば、「我々は保護者のジャーニー全体に寄り添っている」のだ。
新たな競技場に足を踏み入れるアウレット
ベビー関連の領域に特化したエブリデイ・ヘルス(Everyday Health)の調査部門「ワット・トゥ・エクスペクト(What to Expect)」は、2022年以降、赤ちゃんの健康状態を追跡するスマートトラッカーは最大で23%の成長を記録している。そして、ベビーモニターはより多くの人に普及しており、出産準備リスト(ベビー・レジストリ)を用意する人の約67%がベビーモニターを希望している。
「レジストリに登録してもモニターを贈られなかった人のうち、52%が出産前にモニターを購入し、さらに19%が出産後3カ月のあいだにモニターを購入している」と、ワット・トゥ・エクスペクトのリサーチおよびインサイト担当ディレクター、サラ・ライアン氏は語る。
ドリーム・サイトは、アウレットのウェブサイトのほか、Amazon、ターゲット(Target))、ウォルマート(Walmart)などの小売店で販売される。また、ドリーム・ソックとセットで「ドリーム・デュオ(Dream Duo)」として販売され、同じアプリでモニタリングができる。99ドルという価格帯は、市場に出回っている従来のビデオモニターに近いもので、ナニットの「ナニット・プロ・スマート・ベビー・モニター(Nanit Pro Smart Baby Monitor)」は299ドル(約4万4150円)だ。アウレットのソックとモニターのセットは379ドル(約5万6000円)で販売される予定だ。
アウレットは、消費者向け販売だけでなく、医療分野での存在感も高めようとしており、一例として、バージニア州のキングス・ドーターズ小児病院のNICU(新生児集中治療室)との提携が挙げられる。
商品ポートフォリオの多様化は、ベビー用品を扱う企業のあいだでよく用いられる戦略だ。これには、子どもの成長により、顧製品の対象年齢を過ぎて「卒業」してしまうという課題が影響している。たとえば、ベビーレット(Babyletto)は2025年夏、乳児向け家具シリーズの継続的な人気を受け、子ども用家具の展開を拡充した。
紙おむつで知られるコトリー(Coterie)は2025年9月初め、クレンジング、ローション、バームなどのパーソナルケア用品の販売を開始している。 また、乳児用粉ミルク会社のボビー(Bobbie)は、ビタミンDとプロバイオティクスのドロップで多角化している。
企業の成長期
ドリーム・サイトの発売はアウレットが急成長を遂げたあとに行われたものであり、その急成長には、規制順守の見直しも一役買っている。2021年11月、アウレットは、スマート・ソックを医療機器として無許可で販売したという米食品医薬品局(FDA)の警告を受けて、同製品を店頭から撤去した。しかしその後認可を受け、2024年1月にドリーム・ソックとして再登場した。それ以来、この製品の人気は高まっている。たとえば、2025年のAmazonプライムデーでは、アウレットはドリーム・ソックに加え、デュオ・ソックとカメラのバンドルが記録的な売れ行きを見せた。販売台数は前年比72%増となり、ベビーモニターおよびベビーセーフティカテゴリーで売上1位となった。
2025年第2四半期は2610万ドル(約38億5400万円)の売上高を報告している。これは前年同期比25.9%増で、アウレット史上最大の上半期売上高を達成するのに貢献した。今後の見通しとして、アウレットは今年度9700万〜1億ドル(約143億2400万円〜約147億6700万円)の売上を見込んでいる。
物理的な製品だけでなく、アウレットは月額9.99ドル(約1475円)のサブスクリプションサービス「アウレット360(Owlet360)」を提供しており、ユーザーはより多くのアプリ機能にアクセスできる。有料会員は現在6万6000人いる。
アウレットの最高ペアレント責任者、リズ・テラン氏は、ドリーム・サイトはアウレットにとって、2021年に発売された前回のカメラと比較して、最先端の優れたモニタリング技術を取り入れる絶好の機会になったと話す。新しいドリーム・サイトは、2025年の最新チップセットと2K HDビデオを搭載し、Wi-FiまたはBluetoothによる強力な接続を提供する。ドリーム・サイトは「泣き声検知」機能も備えている──ほとんどのカメラは赤ちゃんの部屋での物音を親に知らせるが、ドリーム・サイトは泣き声とそのほかの物音を区別できると主張している。
舞台裏での最大の課題のひとつは、この技術を手頃な価格帯で市場に投入することだった、とテラン氏は言う。アウレットは契約メーカーと連携してコスト計算を見直した。今後は、ターゲットの大型実店舗を含む小売パートナーとともに、この製品の大規模なマーケティングを実施していく。
テラン氏によれば、アウレットにとって最高のマーケティングは口コミであり、ドリーム・ソックの顧客の約50%はレコメンデーション(推薦)によるものだという。同氏は、ブランドの認知が、新しい商品にも広がることを願っていると語る。
「顧客の多くは、アウレットというブランドはよく知っているが、そのほとんどはソックに限られている。より手頃な価格帯で本当に強力なカメラを提供することは、これまでリーチできていなかった消費者にアクセスし認知度を向上させる上で、間違いなく重要なマーケティング戦略だ」とテラン氏は述べた。
[原文:Why Owlet believes a new $99 baby monitor will ‘change its whole business’]
Melissa Daniels(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:坂本凪沙)
