最近ニュースやら新聞やらで「景気がいい」って話をよく耳にする。でも実際自分が裕福になったかと聞かれると・・・「そんな実感ない!」というのが国民の本音なのではないだろうか?

 景気がよかった時代といえば、バブル経済と呼ばれた1986年〜1990年。どれくらいよかったかというと、今とは比較にならないくらい誰もが羽振りがよく、景気のよさを国民も実感していたそうなのだ。

 そのときの状況を、江戸川区で昔ながらの喫茶店を営むママに聞いてみた。

 「あのころはね〜、儲かったわよ。キャバレーで働くキレイなお姉さんたちが出勤前に毎日のように来てくれたりね。コーヒーなんてけっこういい値段とったのよ。近くでタレントさんの演劇があった日には、後援会に貸し切ってもらえたりね〜。懐かしいわねぇ、華やかだったわ〜」(喫茶店Nのママ)

 街の普通の喫茶店でもそんなに儲かってたなんて。今では、どこの街の喫茶店も閑古鳥が鳴いているという状態。安さがウリのチェーン店に押されてしまっているようだ。

 では、続いて下町葛飾区で鉄工業を営まれていた方はというと・・・

 「うちはその当時に思い切ってマンション建てたからね。今じゃ考えらんないよ。たいしたことない小さな町工場だったのに、マンションが買えたなんてねぇ」(T氏)

 ボディコンギャルにお立ち台、そんな華やかなイメージを持つバブル時代。しかし、それだけではなく、お話を聞かせていただいたお二人のように、一般市民レベルにまで景気の良さは浸透していたのである。

 当時景気のよかったタクシー業界も、売り上げが半分以下になった営業所もあるくらい。バブルの最中とその後ではそれほどの激しい落差があったのである。

 その落差は感じたくはないが、バブル絶頂期のウハウハ気分を味わってみたくもある。とはいえ、バブルの時代は日本の歴史の中でも異常な好景気の時期ともいえる。そう考えると現在の状況がある意味普通といえるのかもしれない。(加藤克和/verb)