今年8月に実現したジョージ・ミラー監督と前田真宏の対談における2ショット写真も初公開!

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一大センセーションを巻き起こした『マッドマックス 怒りのデス・ロード』から9年、ジョージ・ミラー監督が再びメガホンを執った「マッドマックス」サーガの最新作『マッドマックス:フュリオサ』。本日、2024年9月18日(水)にいよいよ4K UHD、ブルーレイ、DVDがリリースされ、ブルーレイ&DVDのレンタルも開始される。それを記念して、本作に「ADDITIONAL STORY CONTRIBUTOR」として参加した、アニメーション監督・前田真宏の特別インタビューが公開された。

>>>前田真宏による『フュリオサ』関連イラストなどを見る(全8点)

『マッドマックス:フュリオサ』は、「マッドマックス」サーガの最新作として、日本では今年5月31日に公開された。前作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に登場した最強の戦士フュリオサが、幼き日に故郷からさらわれて以来、復讐を心に誓いつつ様々な困難を乗り越えていく15年間が描かれた。

実は、『マッドマックス:フュリオサ』は当初アニメーション映画として制作が予定されており、前田真宏はその際にジョージ・ミラーから監督を依頼されていたという経緯があった。実現には至らなかったが、前田が当時デザインしたキャラクターや脚本、設定などは『怒りのデス・ロード』と『フュリオサ』にも引き継がれており、本作のクレジットにも「ADDITIONAL STORY CONTRIBUTORS」として名を連ねている。

今回公開されたインタビューでは、アニメ版『フュリオサ』企画当時を振り返る秘話や、実写版としての『マッドマックス:フュリオサ』の魅力、さらには巨匠ジョージ・ミラーの人柄が垣間見える貴重なエピソードも語ってくれている。こうした制作の裏側も踏まえながら映像ソフトで『マッドマックス:フュリオサ』を何度も観返すことで、また新たな発見があるかもしれない。

また、昨年還暦を迎え、40年以上にも及ぶ長いキャリアを誇る前田真宏だが、意外にも初となる画集『雑 前田真宏 雑画集(仮)』が刊行される予定となっている(発売日は近日発表予定)。同画集には『フュリオサ』企画時のイラストも収録予定だというから、こちらも楽しみにしていてほしい。

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Q:『マッドマックス:フュリオサ』では、前田さんが描かれたアニメ版『フュリオサ』の絵コンテがそのまま再現されているシーンもいくつかあるとパンフレットの特別インタビューでも明かされていますが、改めて前田さんのアイディアが反映されているシーン以外でも、客観的に観て印象に残っている、または好きなキャラクターや場面などありますか? その理由も教えてください。

前田真宏(以下、前田) キャラクターで言えばやはりアニャさんの演じたフュリオサですね。最初はちょっと線が細すぎるのでは? などと思っていたのですが、本当にインパクトのある強さと繊細さを兼ね備えたキャラクターになったと思います。少女的な面影を残しながら鋭さがあってすごくカッコ良かったです!
あとは個々の場面というよりも全体的な色彩、トーン、光が上手に設計されて美しかったことも印象に残りました。ロケーションとスタジオ、そして作られた背景のイメージの融合が良い意味でアニメ的な手触りを感じさせてくれました。

Q:当時『フュリオサ』の企画に携わった際、アニメーターとして影響を受けたこと、その後の創作に活きていることがあれば教えてください。

前田 当時『マッドマックス 怒りのデス・ロード』と並行して『ハッピー フィート2』 も進行していて、スタジオには有能なスタッフがたくさんいました。緊張して乗り込んだのですが、一番痛感したのは自分の実力など本当に大したことはない、ということです。
アイディアを出し、形にまとめプレゼンする。振り落とされないように必死でした。
特に印象的だったのは協業していたニュージーランドのスタジオ「WETA」のスピード感です。
こちらが地味に絵を描いている間にコスチュームや小道具の現物を作ってモデルに着せてメイクもして、実写でプレゼンボードを送ってくるのです。こりゃ敵わん!! と思うと同時に自分にできる事って何だろう? 自分の強みとは? ということを考える良い機会になりました。
今自分が仕事に取り組む時の基本姿勢みたいなものはこの時培われたような気がします。

Q:近日発売予定の前田さんの画集『雑 前田真宏 雑画集(仮)』にはアニメ版『フュリオサ』の企画の際に描かれたコンセプトアートなども収録されるのでしょうか?

前田 プロデューサーのダグ・ミッチェルさんのお許しを頂いたので、収録されると思います!

Q:8月にはジョージ・ミラー監督との対談も実現したそうですが、久しぶりにお話ししてみてどうでしたか? 改めて、『マッドマックス:フュリオサ』についてもお話しされましたか?

前田 『怒りのデス・ロード』のジャパンプレミアの時以来でしたので、本当に久しぶりだったのですが相変わらずお元気そうで、年齢を感じさせないですね。楽しくお話しさせてもらいました!
不躾な質問にも丁寧に答えてくださり、優しい人柄も相変わらずでした。
ミラー監督の運転手さんが「テディベアみたいな男だよ!」と冗談を飛ばしていましたが、大いに頷くところです。
『マッドマックス:フュリオサ』についてももちろん話しました! 「実写映画として完成を見て、むしろ本当に良かった。表現することが難しい物を含んだ内容ですが、今、この時代に発表できたことに意味を感じる」など率直な感想をお伝えしました。

Q:ジョージ・ミラー監督は79歳となった現在も精力的に活動されており、シリーズの次回作『マックス・イン・ザ・ウェストランド』(『怒りのデス・ロード』でフュリオサと出会う前のマックスの物語)の制作にも前向きな姿勢を見せています。前田さんが実際にお仕事でご一緒をした際にも、その創作意欲の高さを感じることはありましたか?

前田 当たりは柔らかくて、優しい人柄ですが、こと創作に関しては粘り強いというか、しつこいというか、頑固な人だと思います。丸一日ディスカッションしても、やたら主張したりああしろこうしろ指図することは無くて、じっと意に沿う物が出てくるのを待っている印象です。それでいて好みははっきりしていて配給の方から要望が出てもなかなか首を縦に振らないけれど、クリエイティブの側から出た面白いアイディアはどんどん取り入れちゃう!
貪欲な方ですね。

Q:もし次回作でも前田さんが参加されるとしたら描いてみたいキャラクターなどはありますか?

前田 シナリオを読んでいないので何とも言えないのですが、やはり悪役は描いてみたいですね。今回の『マッドマックス:フュリオサ』ではディメンタスのキャラクターに感心したんです。自分も提案はしていて当時なりに真剣に考えたのですが、外側の造形に気を取られ過ぎたのかな、と。ミラー監督曰く、クリス・ヘムズワースがキャラクターの内面を掘り下げてくれる人で一緒に作ったのだ、と言っていて、役者さんの肉体を通して表現してもらったことで見事にアップデートされていたと感じました。もし何かしら関われるなら、むき出しの人間性、存在感のある悪役というものに挑戦してみたいです。
ふと思い出したんですが、アニメ版『マッドマックス:フュリオサ』を制作している際に監督のアイディアで、トム・ハーディーにディメンタスの声を演じてもらうのはどうかという案があって、カメラテストの時にディメンタスのセリフもやってもらったんです。それはそれは鬼気迫るすごいお芝居でした!

◆前田真宏
株式会社カラー所属、1963年生まれ。
1983年の日本SF大会(DAICON IV)で上映されたオープニングアニメ、いわゆるDAICONフィルムや、『風の谷のナウシカ』(1984年)『天空城ラピュタ』(1986年)といった宮崎駿監督作品や、『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(1987年)『トップをねらえ!』(1988年)といったガイナックス作品への参加により、1980年代から凄腕アニメーターとして名を馳せた。
『青の6号』(1998年)で監督デビューを果たした後は、『アニマトリックス セカンド・ルネッサンス PART1/PART2』(2003年)や『巌窟王』(2004年)などをフィルモグラフィーに加え、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012年)、そして『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021年)では庵野秀明総監督のもとで監督を務めたことも記憶に新しい。
その実力は世界的にも高く評価されており、前述の『アニマトリックス』に加え『KILL BILL』(2003年)ではアニメーションパートの原画を担当している。また、アニメーションにとどまらず「平成ガメラ三部作」や『シン・ゴジラ』(2016年)など、実写作品にも活躍のフィールドを広げている。

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