(左から)シーズン6勝を挙げている竹田麗央、奮闘を誓う藤田さいき

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 近年ますます傾向を強める国内女子ゴルフツアーの若年齢化。今季も顕著で、このままでは1988年のツアー制施行以降、初となる30代以上の未勝利シーズンとなる。若手躍進の厳しい流れの中でも、ツアーで奮闘する藤田さいき(38)=JBS=が考えるベテラン苦戦の要因を挙げ、残りのシーズンを勝負に見据えた。

 国内女子ツアーの新陳代謝が進んでいることは周知の事実だ。2024年のシーズンはここまで6勝の竹田麗央や、川崎春花らを筆頭とする03年度生まれの“ダイヤモンド世代”や、岩井明愛・千怜姉妹、桑木志帆ら02年度生まれの“ツインズ世代”の活躍が目覚ましい。20代前半がツアーをけん引している。

 若年齢化は昨年、今年に始まったことではなく、ここ5年はその傾向が顕著に表れている。直近10年のツアー優勝者の平均年齢を比較すると、15〜18年は26〜28歳で推移していたが、渋野日向子ら98年度生まれの“黄金世代”が台頭してきた19年以降は25歳を割り込んでいる。

 その中で一つ心配なのは30代以上の選手が今季未勝利ということだ。今年の最年長勝利は、シーズン序盤に2連勝を飾った鈴木愛の29歳が最高。例年9月に行われる日本女子プロ選手権までに、30代が勝っていないのは1988年のツアー制度施行以降初めて(統合シーズンの20年を除く)で、若手の勢いにかなり押されている。

 ベテランが苦戦している要素はいくつか考えられる。年々増加していく平均飛距離にツアーレベルの向上。38歳の藤田さいきは自身の若手時代より、クラブの進化への対応やトラックマンデータの活用が進んでいることを若手躍進の要因に挙げた。「私たちがジュニアでやっていたときより情報が多い。これから出てくるジュニアの子もレベルが高いと思う」と語る。

 だが、その前にコンディションを維持する難しさがある。特に夏場はなおさらだ。「この暑さで正直、われわれの年代はどれだけ体を回復させようとも、そこだけは若い子に100%勝てない。とにかくコンディションを整えないと。夏を超えるのを待っています(笑)」。暑さとの戦いだったからこそ、勝負を9月以降に見据えていた。

 厳しい残暑は続くが、暑さが峠を越え、稲穂も垂れ始める秋に突入していく。ようやくベテランに優しい季節が来る。藤田は今季メルセデスランキング14位と奮闘しており、まさに30代以上初の未勝利シーズン阻止への筆頭候補と言える。ちなみに座右の銘は「稲穂の心」で、由来は実るほど頭を垂れる稲穂かな、だ。(デイリースポーツ・中谷大志)