怪演の櫻井翔に二宮和也、松本潤、相葉雅紀の安定感…結成から25年、逆風を吹き飛ばす嵐の「国民的」底力を検証する

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国民的アイドルグループ・嵐の歴史は、今から25年前に始まった。

1999年の9月15日、ハワイでデビュー会見を開き、11月にシングル『A・RA・SHI』でデビュー。その後『NHK紅白歌合戦』の大トリや司会を何度も務めるほどの存在となった。2021年からはグループとしての活動を無期限休止中だが、大野智を除く4人はソロで精力的に活動している。

存在感を発揮する櫻井翔

なかでも、この夏、目立っていたのが櫻井翔だ。

パリ五輪では、日本テレビ系の中継キャスターを務め、現地まで飛んでリポート。並行して『櫻井・有吉 THE夜会』(TBS系) などのレギュラー番組をこなし、さらに連ドラでも存在感を発揮した。『笑うマトリョーシカ』(TBS系)で演じた若手政治家・清家一郎役だ。

原作は早見和真による同名小説。ネットニュース(「演技派ではなかった櫻井翔が絶賛されている理由」デイリー新潮)には、その担当編集者によるこんな裏話が紹介されている。

「早見さんは、謎多き政治家・清家一郎というキャラクターがとてつもなく大好きとのこと。その人物を描くにあたって『櫻井翔さんをイメージして書いていた』ともおっしゃっていました。映像化に際し、櫻井さんに演じていただけることになるとは!」

結果的にあて書きとなったわけだが、その仮面的な人物像をわかりやすく演じてハマり役にしたのは櫻井の力だろう。

「演技派ではない」評価を覆す熱演

ただ、ネットニュースのタイトルにもあるように、彼はこれまで「演技派」というほどの評価は得ていない。嵐のなかでその評価を受けているのは、二宮和也や松本潤だ。二宮はハリウッド映画『硫黄島からの手紙』などで知られ、松本は『花より男子』シリーズ(TBS系)での活躍が、嵐そのものの大ブレイクにつながった。

一方、櫻井は『news zero』(日本テレビ系)のキャスターや「サクラップ」とも呼ばれるヒップホップ詞の書き手といった印象のほうが強い。にもかかわらず、最近は役者業にも精力的で、決して得意ではないと見られていたアクションにも挑戦。昨年の『大病院占拠』と『新空港占拠』(ともに日本テレビ系)では危険に巻き込まれ続ける主人公を熱演して、「ウソだろ」という台詞がバズったりもした。

アラフォーにして新境地を開拓するのは、なかなかできることではない。これはやはり、彼の並外れたバイタリティー、さらにはタフな心身のなせるわざではないか。

ファンなら誰もが知っているように、彼は幼稚舎(小学校)からの慶應ボーイ。嵐としてのデビューは高3のときで、そこから大学卒業までの約4年半は、学業との両立に苦労した。大学3年のときには後期試験と初の連ドラ主演が重なり、楽屋にまで勉強道具を持ち込んで乗り切ったという。

慶應の機関紙『三田評論』のインタビューによれば、親から「もし嵐を続けるんだったら、留年したら学費は自分で払え」と言われていたそうで、本人は「まあ、意地でしたよね(笑)」と振り返っている。

ちなみに、父は東大卒の官僚で、のちに総務省の事務方トップにまで登りつめた。都知事選への出馬が取りざたされたことも記憶に新しい。そんな父を含め、彼の周囲には芸能活動に好意的でない人も多く、それを見返すためにも、学業と両立しながら嵐として成功したかったわけだ。

後輩の勢いに押されても…国民的グループへ登り詰めた

しかし、櫻井が大学卒業してしばらくすると、嵐はむしろ失速してしまう。KAT-TUNなど後輩グループの勢いにおされ、05年にはグループとしてのCM出演がわずか1本に。そんななか、櫻井が予備校のCMに単独出演することになり、彼は「ちゃんと大学卒業してよかったー、と思った」という。

こういった紆余曲折の時期を経て、嵐は国民的グループとなった。彼らは5人全員が逆風に負けない強さを持ち合わせている。そのあたりを改めて感じさせるのが、最近の状況だ。

周知の通り、昨年からの騒動により、かつてのジャニーズ事務所勢には逆風が吹き続けている。嵐もまた例外ではないが、それでも国民的グループとしての輝きは薄れていない。それは櫻井がそうであるように、メンバーたちがそれぞれ、自らの仕事を全うすることでファンの期待に応えられているからだろう。

「旧ジャニ」のイメージや結束力を守り続けるニノ

この夏、二宮和也は『ブラックペアン シーズン2』(TBS系)に主演。第2弾とはいえ、こちらの主人公は「シーズン1」の主人公と一卵性双生児という設定だ。終盤では、変則的なひとり二役を器用にこなしてみせた。

その一方で、彼は人気ユーチューバーでもある。3年前に中丸雄一、山田涼介、菊池風磨とともに立ち上げた「ジャにのちゃんねる」は現在「よにのちゃんねる」と名を変え、グループの垣根を超えた配信を展開中。いわゆる「旧ジャニ」のブランドイメージや結束力を維持することに貢献している。

役者業に専念…前を向く松潤

また、松本潤は野田秀樹演出の主演舞台『正三角関係』が7月にスタート。その合間を縫って出演したトーク番組『A-Studio+』(TBS系)では、舞台の稽古と本番に集中することによるリフレッシュ効果について、

「そのおかげでいろんなことを考えずに済んだこともあった」

と、語っていた。実際、その表情は昨秋『あさイチ』(NHK総合)に出演したときとは一転してふっきれたものに映った。当時、彼はNHK大河ドラマ『どうする家康』の座長として、

「自分たちが現場で作った作品がオンエアできないんじゃないかとか、今日も出演できないんじゃないかみたいなことも考える時期もありましたし」

と、苦しい胸中を明かしていたのだ。

櫻井、二宮、松本に比べ、バラエティーでの仕事が目立つ相葉雅紀は『24時間テレビ47 愛は地球を救うのか?』(日本テレビ系)に生出演。癒し系芸能人としての持ち味をいつものように発揮していた。

それは『相葉マナブ』(テレビ朝日系) 『嗚呼!!みんなの動物園』(日本テレビ系)といったレギュラー番組も同様で、週末のテレビに彼ならではのなごみをもたらしている。

低迷期に悩む嵐を変えた、キャプテン大野の一言

そんな4人の姿勢は、嵐らしさのひとつでもある。2014年に放送された『嵐 LIVE & DOCUMENT 〜15年目の告白〜』(NHK総合)によれば、低迷期に入った2002年か2003年のこと、櫻井と松本が「今の仕事を全部投げ打って、もう下剋上を起こすしかない」と提案した。しかし、ふだんは無口な大野智がキッパリと「イヤだ」と言い、こう主張したという。

「今、目の前にあることを頑張れないやつが、何を頑張れるんだ」

二宮はこの言葉に感動し「俺の仕事の根底はそこになっちゃった」と振り返っていた。いや、二宮に限らず、全員がそういう気持ちで仕事を続けたからこそ、低迷期という逆風をはね返し、大ブレイクを果たせたのではないか。

なお、現在の活動休止は大野が「一度何事にも縛られず、自由な生活がしてみたい」と言い出したことがきっかけだが、彼らはそこから1年半かけて結論を出し、公表。しかも、公表から2年近く活動して休止に至った。

こうした配慮により、ファンは心の整理がしやすくなったし、解散や分裂ではないため、再始動への希望も残されることに。国民的グループの先輩・SMAPや、そうなる可能性も秘めていた後輩のKing & Princeなどとは対照的だ。

また、現在最も勢いのある男性アイドルグループ・Snow Manのバラエティー番組の展開などには、嵐の影響が見て取れる。成功モデルとして、参考にされているのだろう。

ただ、そんな嵐も二宮と松本は事務所を退所して独立という決断をした。が、それと並行して、嵐は5人で会社を設立。ジャニーズ事務所改めSTARTO ENTERTAINMENTと、グループとしてエージェント契約を結んでいる。かつての低迷期や解散・分裂の危機を乗り越えたように、今回も最善の対応をしているように思える。

グループとしての実体とイメージを損なうことなく、それぞれがやれることをやってファンを楽しませる。そうすることで、逆風をものともしない嵐。やはり、グループ名はダテではないようだ。

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