中国江蘇省の草堰港遺跡、7千年前のふん化石が大量に出土

草堰港遺跡出土のふん化石。(南京=新華社配信)

 【新華社南京9月17日】中国国家文物局は13日、北京市で開いた「考古中国」重大プロジェクト作業進展会議で、江蘇省興化市で見つかった新石器時代の草堰港遺跡に関する最新の発掘研究成果を発表した。

 同遺跡は希少な沿岸湿地型の先史時代遺跡で、土壌が水分で飽和している低海抜の湿地という埋蔵環境により有機遺物が良い状態で保存されており、人の手で栽培された大量の水稲のほか、各種のふん化石500点近くが出土。先史時代の人類生活の研究により多くの資料をもたらした。

 遺跡は興化市千垜(せんだ)鎮草王村東顔家圩(とうがんかう)の北側にあり、主要部分の年代は約7千年前。長江・淮河(わいが)間の江淮地域東部の里下河地区に位置し、遺跡全体が水面下にある。南京博物院と江蘇省文物考古研究院が2022年12月から相次ぎ発掘調査を実施した。

中国江蘇省の草堰港遺跡、7千年前のふん化石が大量に出土

草堰港遺跡出土のふん化石「NKU133」の彩色CTスキャン画像。(南京=新華社配信)

 同遺跡考古発掘プロジェクトの責任者を務める江蘇省文物考古研究院の甘恢元(かん・かいげん)研究館員によると、地理学者や考古学者の多くは里下河地区が完新世以降に海進の影響を受けたことから、6500年以上前の遺跡が見つかる可能性は低いとしていたが、今回の発見はこれまでの認識を覆す結果となった。特殊な埋蔵環境により、稲の他にもオニバス(スイレン科の水草)の実やヒシの実などの植物遺物や動物遺物が多く発見されたという。

 特筆すべきは500点近くに上るふん化石で、出土数の多さ、保存状態の良さともに珍しいという。南開大学歴史学院考古学・博物館学科の張国文(ちょう・こくぶん)教授はこれまでに実施した100点余りの化石の鑑定結果に基づき、犬が中心で、牛や人は少ないとの見方を示した。

中国江蘇省の草堰港遺跡、7千年前のふん化石が大量に出土

草堰港遺跡出土のふん化石「NKU133」から見つかった魚の椎体(ついたい)。(南京=新華社配信)

 18点のふん化石のCTスキャンを行った中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の呉妍(ご・けん)研究員は「どの化石からも魚の骨が見つかった。魚骨はほとんどに椎体(ついたい)、幾つかに頭骨が含まれ、1点からはヘビの歯も見つかったことから、全てを動物のふんと暫定的に判断した」と説明した。

 発掘の現場責任者を務めた江蘇省文物考古研究院の史炎炎(し・えんえん)助理館員は、出土した動物遺物に犬の骨はほとんどないことから、7千年前の草堰港の住民は犬を飼っていたが、主要な食肉源とはしていなかったと指摘。ふん化石は当時の動物や人の飲食構造、動物の飼養、経済構造、さらには生存環境を研究するための格好の生物標本となり、多くの直観的情報を提供してくれると語った。