2024年9月15日、民間の有人宇宙飛行ミッション「Polaris Dawn(ポラリス・ドーン)」の宇宙船がフロリダ半島沖へ着水することに成功し、民間初の船外活動を含む様々な活動を行ったミッションは成功裏に終了しました(※日時は特記なき限り日本時間)。


Polaris Dawnは実業家のJared Isaacman(ジャレッド・アイザックマン)さんが率いる「Polaris Program(ポラリス・プログラム)」初の有人宇宙飛行ミッションで、アメリカの民間宇宙企業SpaceX(スペースX)の宇宙船「Crew Dragon(クルードラゴン)」を使用し、民間初の船外活動、人間の健康に対する宇宙飛行と宇宙放射線の影響についての研究、レーザーを用いた光通信のテスト実施などを目的としていました。


クルーはコマンダーを務めるIsaacmanさん、パイロットを務める元アメリカ空軍パイロットのScott Poteet(スコット・ポティート)さん、ミッションスペシャリストを務めるSarah Gillis(サラ・ギリス)さんとAnna Menon(アンナ・メノン)さんの4名です(Menonさんは医療担当も兼任)。4名が搭乗したCrew Dragon「Resilience(レジリエンス)」は2024年9月10日にアメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられました。


注目されていた船外活動は2024年9月12日に実施されました。SpaceXが開発した船外活動用宇宙服を着用したIsaacmanさんとGillisさんは相次いで船外に姿を現すと、将来のミッションで使用される宇宙服の設計に役立てるために宇宙服の状態や可動性などを確認しました。その前日の2024年9月11日には、Crew Dragonが地球表面からの高度1408.1kmに到達しています。宇宙飛行士を乗せた宇宙船がこの高度に到達したのはアポロ計画以来およそ半世紀ぶりです。


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また、音楽教師だった母親から子どもの頃に音楽教育を受けたというGillisさんがバイオリンで「レイのテーマ」(映画「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」より)を演奏する様子を撮影した動画と、2023年から2024年にかけて収録された世界各地の若手音楽家による同曲の演奏を同期させて公開する「Harmony of Resilience(ハーモニー・オブ・レジリエンス)」と呼ばれる音楽イベントも催されました。



このイベントはセント・ジュード小児研究病院および音楽教育を行う非営利団体El Sistema USA(エル・システマUSA)への寄付を呼びかけるために企画されたもので、Gillisさんが演奏する様子を収めた動画は光通信テストの一環として、SpaceXの衛星通信サービス「Starlink(スターリンク)」の通信衛星経由で地上に送信されました。なお、Polaris ProgramはGillisさんと若手音楽家による演奏をSNSのXにポストするとともに、寄付の申し込みページを案内する特設ベージを以下のURLで公開しています。


Harmony of Resilience - https://polarisprogram.com/music/

SpaceXやPolaris Programによると、5日間にわたるミッションを行った4名のクルーを乗せたCrew Dragonは大気圏へ再突入し、2024年9月15日16時36分(アメリカ東部夏時間同日3時36分)にフロリダ半島沖へ着水することに成功したということです。【最終更新:2024年9月16日11時台】


【▲ フロリダ半島沖に着水したPolaris Dawn(ポラリス・ドーン)ミッションのCrew Dragon(クルードラゴン)宇宙船。SpaceXのライブ配信から(Credit: SpaceX)】
【▲ SpaceXの回収船に引き上げられるCrew Dragon(クルードラゴン)宇宙船(Credit: SpaceX)】
【▲ ミッションを終えてCrew Dragon(クルードラゴン)宇宙船を降りたJared Isaacman(ジャレッド・アイザックマン)さん(Credit: SpaceX)】

 


Source


Polaris Program - Polaris Dawn Crew Returns to Earth, Achieving Major Objectives During Their Five-Day Mission@PolarisProgram (X)@SpaceX (X)

文・編集/sorae編集部