「小泉と大久保がポジションを入れ替えてプレーしてもいいことになっている。大久保がトップ下に入ると小泉とはまた違ったプレーをします。今日の試合ではミドルゾーンで少し苦しい時にポジションを入れ替わり、違った形を作っていた。私にとってそれは自然なプレーであり、将来的には1トップ、1トップ下、両ウイングの4人がポジションを入れ替えてプレーすることを目指します。前の4人はいずれもオールラウンダーで戦っていきたい」

 それは選手の判断で動くのか、監督の指示で動くのかと更に問われるとこう答えた。

「私の指示で入れ替わることもあれば、選手の判断で入れ変わることもある。重要なのは4つのポジションの役割を全員が理解していることです。それは攻撃のみならず、プレーし終わった後の守り方の話でもあるので、トレーニングキャンプ中もこのポジションではこういう守り方をする、ということを全員が理解できるように話しました。ですから私の指示がなくても、それぞれのルールを理解していれば、自分たちで入れ替わっても問題は全くない」

 目からうろこが落ちるほど特別な台詞ではないが、森保監督の口からは、まず出てこない種類の話だ。浦和の新監督の方が高いレベルにあることが一目瞭然となる納得度の高い台詞だった。

 対するFC東京のアルベル監督も、選手交代5人制について意見を求められると、待ってましたとばかり持論を明瞭な言葉で展開した。

「サッカーをエンターテインメントと捉えたとき、5人と言わず6人にした方がいい。ベンチ入りのメンバーも現状の18人では選択肢が限られるので、更に増やすべきである」

 Jリーグの監督が正式な会見の場で述べる台詞にはそれなりの重みがある。波及効果が期待できる。サッカーについて考えるいい機会になるのだ。耳にしたファンの造詣は自ずと膨らむ。すなわち日本のサッカー偏差値は上昇する。

 筆者はそこに一国の代表監督に欲したくなる資質を見る気がするのである。