ユニクロが25日から展開する新進気鋭のデザイナーと連携した秋冬向けの新商品群(撮影:吉川忠行)

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ユニクロ<9983>は22日、新進気鋭のデザイナーと協力して取り組んだ秋冬向けの新商品群を25日から順次発売すると発表した。

 コートやセーター、パンツ、スカートなど普段着として使えるアイテムを中心に、パリや東京で活躍するデザイナー7組に8点ずつ、3週間ごとに入れ替わる形でユニクロ全店に投入。年末までに計100万点を生産し、限定販売する。

 第1弾として今月に発売する商品は、「Max Mara」などで経験を積み、自身でコレクション展開をした若手男性デザイナーのフェリープ・オリベイラ・バティスタ氏が手掛けたツイル地のロングコート(税込9900円)、ジャージ素材のドレス(同3990円)など。創造性の豊かさと低価格の両立を実現したという。

 同日、東京都中央区のユニクロ銀座店で開いた記者発表会で、商品・マーケティング統括部の永井弘部長は「全社一丸となって大きく変化しようとしている」と開発の背景を説明。「『ユニクロってこんなもんでしょ』と思われている部分もある。店に行って、実際に着てみて、びっくりしてほしい」と述べ、新商品群をアピールした。

 今回の展開は、新たな普段着の提案と若手デザイナーの積極起用を目的に、昨秋に同社が始動したプロジェクトの一環で、商品化にこぎ着けたもの。東京ファッションデザイナー協議会の岡田茂樹議長らの助言から選んだデザイナーに依頼し、ユニクロが通常商品で使用している生地・技術・工場を駆使して製造した。

 ユニクロの既存商品と比べるとやや細身のサイズの商品も多い。一方で、値段は一番高い商品でも1万2900円と“ユニクロ価格”を維持しており、同クラスのデザイナーが手掛ける商品よりも4分の1程度に抑えたという。参加したデザイナーの一人、野田源太郎氏は、発表会で「ユニクロがつけた価格を見て初めは驚いたが、高いクオリティでびっくりした」と話した。

 同様の取り組みは、欧米を中心にアパレル量販店を手掛けるH&M(本社・スウェーデン)が元シャネルの一流デザイナーらの協力を得て、積極展開するなど業界では盛んになりつつある。永井部長は「デザイナーの名前よりも、まずお客さんに喜んでもらいたい」と話し、戦略の違いを強調した。【了】