Aさんが18年前に購入した「元教会」の一軒家

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「長年、一緒に暮らしていたし、ハウスクリーニングの仕事も一緒にやっていた仲のいい兄弟だったのに。こんな凄惨な事件になるとは……」

【写真】兄が運転していたと思われる高級外車は家の前に放置されていて…

 近所の住民は焼け焦げた一戸建てを見ながら、そうつぶやいた。

 15日午前3時44分ごろ、千葉県君津市の民家から、1本の119番通報があった。

「刃物で刺された!」

 救急車とパトカーが駆けつけると、世帯主のAさん(43)、その弟の坂上卓さん(40)、Aさんの長男(22)、次男(15)の4人が血まみれ状態だった。通報したのは、Aさんの妻(40)。

 卓さんは首周辺に傷を負っていたが、血のついた包丁を手にしていたという。4人はすぐさま病院に搬送されたが、卓さんは死亡。Aさんとその長男、次男は重傷だったが、命に別状はないようだ。

 それと同時に、火事も起きていた。彼らは10人で暮らす大家族。事件に巻き込まれた4人のほか、Aさんの妻と三男、長女、次女、三女と 祖父(Aさん兄弟の父)の計10人が同居していて、

「4時ごろ気づいたが、2階の窓からものすごい煙があがっていたね。ふと見ると、家の横の道路に子ども2人がうずくまっていて、Aさんの奥さんがその背中をしきりにさすっていた」(近所の別の住民)

 事件当日は午前0時ごろから、家の中から怒鳴り声が響いていて、家族間で何かしらの揉め事があったようだ。この一連の殺傷と火事の原因はいまのところ不明で、千葉県警君津署の捜査が続いている。

「現在までのところ、外部からの侵入者による犯行説は出ていません。兄弟間で口論があって、弟の卓さんがAさんを刺して、それを止めようとした子ども2人が巻き添えになったというのが大方の見方ですが、事件の全貌はいまだにわかっていません」(全国紙社会部記者)

“金銭問題が根底にあるはず”と話すのは、冒頭の住民だ。

外車、レクサス、ドーベルマン

「この大家族が一軒家を購入して引っ越してきたのは、約18年前。Aさんと卓さんがハウスクリーニングの下請け業を一緒にやっていた。そこまで儲かってないような感じだったけど、Aさんはイカつい外車、奥さんもレクサスに乗っていたね。でも、なぜか弟の卓さんは軽自動車で……。

 犬も以前は2頭のドーベルマンを飼っていたし、いまもボルゾイを2頭。どちらも高額な犬だからね。」

 ところが昨年、Aさんが脳血栓で倒れて大家族の家計は一変する。Aさんと卓さんはともに仕事を失って、現在に至っているという。

「Aさんはまだリハビリ中だし、弟はほとんど見かけなくなった。祖父の年金で暮らしていたのかもしれないけど、家族10人で食べていけるのかと心配でしたよ」(同・近所の住民、以下同)

 収入がなくなって、兄弟の関係もギスギスしていったのか。

「Aさんは顔を合わせたら挨拶してくれるごく普通の人だったけど、弟の卓さんはちょっと暗い感じのする人でした。Aさん一家の家にずっと居候していたから、肩身も狭かったと思うよ」

 税金の滞納で差し押さえられそうになったこともあったという大家族が住む一軒家。独特な外観をしているが、どうやら“曰く付き”の物件だという。

「元教会」の不吉な一軒家

「ここは元々、教会だったのよ。スイス人一家が住んでいたんだけどその後、建設会社の寮になった。ところが、そこの社長さんが変な死に方をしちゃって……。競売にかけられたあの家を18年前に購入したのがAさん。引っ越してきた時はおばあちゃんも一緒にいたんだけど、1週間もしないうちに病気で亡くなってね。それでこの事件だから、なんだか呪われているみたいよね……」(近所の主婦)

 大家族に一体何が起きていたのか。捜査の行方を見守っていきたい。