謎の激安パソコン「Chromebook」は、なぜ安い? 実用度は? いまさら聞けない実体をチェック

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新型コロナウイルス感染症の影響によりリモートワークが一般化したことで、在宅ワーク用にパソコンを用意したという人も多いだろう。

パソコンといえば、Windowsか、Macから選ぶと思っていないだろうか?
安くなったとはいえ、WindowsやMacは、10万円〜25万円くらいする。

安さが売りの家電量販店の店頭でも10万円以上の製品が並んでいるが、
Chromebook なら2万〜3万円台と、異常に安いパソコンを見つけることができる。

Chromebookとは、
・いったいこれは何なのか?
・なぜこんなにも安いのか?
・使い物になるのか?
もし、ちゃんと使えるなら、これでもいいんじゃないか?
そう考えている人もいるのではないだろうか。

そこで今回は、この謎の激安パソコン「Chromebook」について解説する。


■Chromebookとは?
Chromebook(クロームブック)は、検索エンジンでおなじみのGoogleが提供するChrome OS(クローム オーエス)を搭載したノートパソコン。
つまり、WindowsでもMacでもない、第3のパソコンということになる。



Chromebookは公式オンラインストアからも購入できる


主な特徴は、
・電源オンからの起動が早い
・Webブラウザベースで利用する
・セキュリティーが高い
・Androidスマートフォンと同じアプリも動く
・本体価格が安い
この5つがあげられる。

WindowsやMacは、電源を入れてからOSが起動するまで、ある程度は時間がかかる。
パソコンの種類にもよるが、1分近くかかる製品もある。

しかしChromebookは、電源ONからログイン画面が表示されるまでが約10秒と高速なのだ。

標準のWebブラウザは主流のChromeブラウザなので、Chromeブラウザに慣れている人なら違和感なく使うことができる。

また、Androidスマートフォンと同じアプリが動作するのも大きなポイント。
ただし、すべてのAndroidアプリが動く保証はないので、注意は必要だ。

とはいえChromeブラウザやGoogle マップ、Gmailなどは標準で搭載されており、すぐに使えるので安心できる。

またGoogleのオフィス系アプリ、
・Google ドキュメント
・Google スプレッドシート
・Google スライド
これらも無料で利用できる。

マイクロソフトOfficeアプリを使いたい場合は、
・Web版アプリ
・Androidアプリ
このいずれかを利用することになる。

そしてセキュリティーが高い点も、Chromebookの大きなメリットだ。
Chrome OSでは、保護されている「サンドボックス」で実行されるため、万が一、コンピューターウイルスに攻撃されても、Chromebook本体は影響を受けない構造なのだ。
ほかのコンピューターよりも、ウイルスやマルウェアに対して安全性が高い。



Chromebook公式ストアでも2万円台からの製品がラインナップされている


そして何より、価格が尋常ではなく安いことが大きなメリットだ。
Chromebookのストアでは2万円台から3万円台の製品が多数ラインナップされている。もちろん2in1スタイル(タブレット&PCスタイル)などの高性能モデルは10万円前後の価格となるが、ローエンドスマートフォンなみの2万円台から購入できるのは驚きだ。


■なぜChromebookは、こんなに安いの?
Chromebookが安価に販売されている理由は、オペレーティングシステム(OS)にChrome OSを搭載しているからだ。

パソコンの価格は、
・OSのライセンス料金
・ハードウェアの製造コスト
この2つで決定する。

実はChromebookのChrome OSは、Googleが無償で提供しているのだ。
Chromebookを製造販売するメーカーは、Windowsのライセンス料やMac OSの開発&サポートコストが不要になる。
つまりOS関連で必要になるコストを製品に上乗せする必要がないため安くできるのだ。

またChromebookのハードウェアは、WindowsやMac製品に比べて安価なパーツ(部材)で構成されているためコストを抑えられる。

たとえば、メモリーやストレージ容量は、WindowsやMacに比べるとかなり少ない。
それでもサクサクと快適な動作して、利用できるのだ。

これらの理由から、Chromebookは、WindowsやMacよりも安く販売できるというわけだ。

とはいえ最近のChromebookは、10万円を超えるモデルも出てきた。

安価なモデルと何が違うのか?
価格が高いモデルの特徴は、
・画面サイズが大きい
・画面の解像度が高い
・高速なCPUを搭載している
・ストレージが大きい
・2in1など新スタイルを採用している


■Chromebookは、どのくらい使い物になるの?
いくら安価に購入できても、WindowsやMacパソコンの代替にならなければ意味がない。

Chromebookは、Web閲覧やWebブラウザを介してサービスを使う用途では、ストレスなく使用できる。またWebアプリとChromeの拡張機能を組み合わせて使うこともできる。

テレワーク向けとしては、Web会議用途にも使うことができる。
・Zoom
・Skype
・LINE
これらのサービスも利用できる。
ただし、Web利用とAndroidアプリ利用で動作が異なることや、バーチャル背景が利用できないなど、機能に制限がある場合がある。

拡張面では、キーボードやマウス、イヤホン、ヘッドホン、マイクなど、Bluetoothによる無線接続で利用ができる。


■Chromebookが、WindowsやMacと違うところ
Chromebookが、WindowsやMacと違う点はファイルの取扱い方だ。

WindowsやMacは、パソコン本体のストレージにファイルを保存する。
そのため本体には128GBや256GBなど、大容量のストレージが必要となる。

しかし、Chromebookは、Web上のGoogleドライブというクラウドストレージにファイルを保存する。そのため、Chromebook本体のストレージは少ない。
たとえば、Acer Chromebook Spin 311(型番:CP311-3H-A14N/E)は、32GBのストレージ容量しかない。

前述のように、こうした本体仕様や部品構成によって販売価格が安くなっている。

なお、Googleドライブは、
・15GBまでは無料
・スタンダード 200GB 月額380円
・プレミアム 2TB 月額1,300円
・プレミアム 5TB 月額3,250円
・プレミアム 10TB 月額6,500円
これらのプランが用意されている。


Googleドライブのプラン。おすすめは、「プレミアム 2TB」とのこと


さらにもっとも大きなデメリットとしては、WindowsやMacで利用しているアプリケーションが利用できない点だ。
これに関しては、Webアプリやサービス、Androidアプリで代替できるアプリがれば問題ないが、WindowsやMacだけしか利用できないアプリが必要な場合は、対応できない。

逆にいえば、WindowsやMacでしか使えないアプリが必要ない場合は、Chromebookでも十分に実用になるケースも多い。


Chromebookは、パソコンといってもWindowsやMacとは異なるマシンだ。

日頃使う用途が、Webブラウザ中心や、スマートフォンでも使っているアプリであれば、違和感なく活用できるだろう。
またテレワーク中の外出時に使うサブマシンとして活用するというのも良い使い方だろう。

Google Chromebooks - ノートパソコン、セパレート タイプ、タブレット




ITライフハック 関口哲司