iPhone 13
Apple

アップルにとって大事な年末商戦が続いているなか、iPhoneやiPadは半導体不足のため生産が難航する「クリスマス前の悪夢」に直面しており、同社がサプライヤーへの圧力を強めているとの噂が報じられています。

日経の英字メディアNikkei Asia(以下「日経」)によると、iPhone 13の9〜10月における生産台数は目標を約20%下回ったとのことです。さらにアップルはiPhone 13の総生産目標を当初の9500万台から8300〜8500万台に縮小せざるを得なくなったとも付け加えられています。半導体不足のため1000万台もの減産を余儀なくされたとの観測は、Bloombergも伝えていたことです。

そうした半導体不足の影響は最新のiPhone 13シリーズに留まらず、旧世代モデルの生産予測もここ数カ月で約25%低下したそうです。その結果、今年いっぱいのiPhone製造台数は、2億3000万台という目標を約1500万台も下回っていると説明されています。

いつもの年末であれば「工場をフル稼働しても需要に追いつかない」となるのが恒例ですが、日経によるとアップルは10月にはiPhoneとiPadの組み立てを数日間ストップしており、これは10年以上ぶりとのことです。

あるサプライチェーン関係者いわく「部品やチップが足りないために、休日に残業したり、第一線の労働者に特別手当を支給しても意味がありませんでした」「こんなことは過去に一度もありませんでした。過去の中国のゴールデン・ホリデー(年末商戦期)は、すべての組立業者が生産のために準備をしている、いつも最も慌ただしい時期でした」と語っています。つまり半導体不足と中国での電力使用の制限のために、工場を動かしても何も作れないというわけです。

またiPhone、iPad、Macの生産に影響を与えているのは「Texas Instruments社の電源管理チップやNexperia社のトランシーバー、Broadcom社の接続チップ」などの周辺部品(プロセッサなど中核部品以外)であるとのこと。こうしたサプライチェーン情報は、上記のBloomberg報道とも一致しています。

しかし、半導体不足や目標未達にもかかわらず、アップルはパートナー企業に対して、12月〜1月にかけてiPhoneの製造を加速するよう圧力をかけているとも伝えられています。今回の報道に先立ち、iPhone 13の品不足が続いたために来年(2022年)には需要が弱まるとの危惧も報じられていましたが、アップルとしては新型iPhoneの人気が右肩下がりになる前に、品薄を解消して顧客離れを防ぎたいのかもしれません。

Source:NIkkei Asia

via:9to5Mac