楽天モバイルのiPhone発売は逆襲ののろしだ! 総力戦で最大の課題を解消

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●楽天モバイルもiPhone最新シリーズ提供
楽天モバイルから、いよいよiPhoneシリーズが発売されます。

楽天モバイルは4月22日、都内にてプレスカンファレンスを開催、アップル製スマートフォン「iPhone」シリーズの取り扱いを4月30日より開始すると発表しました。
ラインナップおよび販売価格は以下の通りです。

・iPhone 12 Pro MAX
 一括:141,700円〜、分割:月々2,952円〜(48回払い)
・iPhone 12 Pro
 一括:127,395円〜、分割:月々2,654円〜(48回払い)
・iPhone 12 Pro MAX
 一括:141,700円〜、分割:月々2,952円〜(48回払い)
・iPhone 12
 一括:101,176円〜、分割:月々2,107円〜(48回払い)
・iPhone 12 mini
 一括:87,712円〜、分割:月々1,827円〜(48回払い)
・iPhone SE(第2世代)
 一括:55,170円〜、分割:月々1,149円〜(48回払い)

iPhoneシリーズの発売を記念し、「iPhone発売記念キャンペーン」も行われます。
・新規もしくはMNPでRakuten UN-LIMIT VIを初めて申し込むと5000円相当分をポイント還元
・さらにiPhoneを一緒に購入すると1万5000円相当分をポイント還元
このキャンペーンにより、合計最大2万円相当分をポイント還元するとしています。


いずれのポイントも6ヶ月間の期間限定ポイントとなる点に注意



●iPhone発売は、楽天モバイルの救世主になるか
これまで楽天モバイルには、MNO他社と比較して不足しているものがありました。

それがiPhoneシリーズです。

日本のスマートフォン市場は、世界の市場と比較してもかなり特殊です。
世界市場でのiPhoneシリーズのシェアは25%前後と言われていますが、日本では65%を超えています。

日本におけるiPhoneシリーズは、その登場以来、高い信頼性と安心感により非常に高いシェアを維持し続けています。
それだけ高いシェアを誇るスマートフォンブランドを扱えなかったことは、大きなデメリットだったと言えます。

そのため、今回のiPhone 12シリーズおよびiPhone SE(第2世代)の正規取り扱いは、楽天モバイル利用者だけでなく、楽天モバイルにとっても待ち望んでいたものであったことは間違いありません。


通信エリアに不満さえなければ、これほど破格のiPhone運用はほかにない


さらに、後発となる楽天モバイルでは、iPhoneシリーズの販売価格を他社MNOよりも安く設定しており、その点を強くアピールしています。

最新のiPhoneシリーズは、アップル直営のApple StoreなどでSIMフリーモデルを購入することが、最も安く入手する手段となります。

しかしながら、利用者自身によるSIMの設定や各種準備を必要としない、通信キャリアが販売するモデルを購入するのが現在でも主流です。

他社MNOよりも安くiPhoneを提供する楽天モバイルの戦略は、iPhoneの機種購入だけでなく、他社からの乗りかえ需要を掘り起こす大きな武器となります。


価格差はわずかだが、消費者の心を掴むには十分だ


とは言え、現在の楽天モバイルの契約者数は他社MNOと比較して10分の1以下です。
MNO市場デビュー当時の低価格戦略と通信料金の値下げ競争により契約者数を大幅に伸ばせた一方、その後は他社の格安20GBプラン登場や通信エリア拡大の遅れなどによって、その優位性が大きく後退している状況です。


●楽天モバイル最大の課題をクリアして逆襲へ
楽天モバイルが移動体通信事業者(MNO)サービスへ正式参入して、今年4月でちょうど1年になります。
楽天モバイルは、月額2,980円でデータ通信使い放題など、衝撃的な価格設定でセンセーショナルにMNO業界にデビューしました。

しかし、その後の展開は想像以上に厳しいものとなりました。

楽天モバイルのスタートで痛かったのは、新型コロナウィルス感染症の拡大による緊急事態宣言が発出される中、店舗での応対や集客を伴うイベントなどは制限せざるを得なかったことがあります。

一方、まだ格安料金に対抗する準備が整っていなかった既存のNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク3社は、楽天モバイルの新規参入インパクトが弱まったことで、低価格対策のための準備期間を十分に得られた形となりました。


料金プランは各社との価格競争によって「Rakuten UN-LIMIT VI」に進化している


さらに価格戦略以外にも、通信エリア拡大の遅れもダメージとなりました。

MNOにとって何よりも重要な自社通信回線網の整備が遅れ、KDDI回線によるローミングによって通信エリアを確保する状態が現在も続いており、他社MNOに対して優位に立てない状況です。

楽天モバイル最大の特徴とメリットは「データ通信使い放題」です。
しかしローミングエリアが多ければメリットが半減してしまいます。

楽天モバイルの通信回線網が整わない状況が長期化するほどにユーザーの不満が高まり、せっかくのデータ通信使い放題も「見掛け倒し」と批判されかねません。

そこで楽天モバイルはエリア展開を最優先の課題と位置付け、全楽天グループ総力を挙げた取り組みを続けてきました。

その結果、2021年1月の時点での自社通信回線網による人口カバー率は73.5%に達しました。
さらに、今夏には人口カバー率を96%とすることを目標に掲げています。


楽天モバイルのみならず、楽天グループ全体でアンテナ基地局の建設・設置に取り組んでいる



2023年以降には低軌道通信衛星を使った通信網の整備も予定している


2021年は、通信エリア拡大の課題をクリアしつつあること、通信料金が1年間無料になるキャンペーンを大々的にアピールしたことにより、
2021年4月初旬時点で、
・MNOの累計契約申込件数は390万件以上
・仮想移動体通信事業者(MVNO)を加えると約450万件
これだけの顧客を獲得するまでに成長しています。


エリア問題が解消しつつある上、他MNOのプラン見直しの流れが楽天モバイルを検討させるきっかけにもなった


楽天モバイルは、デビューから1年、通信エリア問題もクリアし、iPhoneも提供できるようになったことで、
ようやく
「iPhoneが買えるなら楽天モバイルにしたい」
「20GBでは物足りない、無制限に使いたい」
「毎月無料から使える楽天モバイルが良い」
これらの特徴を活かすことができるようになったと言えます。

通信エリア問題のクリアとiPhone投入。

楽天モバイルの本当の勝負が始まりそうです。


執筆 秋吉 健