現代でも馬や牛に乗って日本の公道を走れるんです!でもやっぱり「飲酒運転」は禁止!?

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現代でも馬や牛に乗って公道を走れるの?

現代の日本で馬や牛などに乗れる場所といったら、乗馬クラブやふれあい牧場など、一部の施設だけだと思っていませんか?

確かに、時代劇の中ならともかく、現代の日本の都会の真ん中で馬や牛に乗っている人がいたら、思わず2度見してしまうことは間違いないでしょう。

「そもそも現代日本では、公道を馬や牛に乗って歩くこと自体、違法なのでは?」
「都会の真ん中を大型動物に乗って堂々と歩いたら、周りの人に迷惑がかかるのでは?」
と思う方もいるかもしれませんね。

ところが実際の道路交通法を見てみると、必ずしもそんなことはないようです。

実は馬も牛も象も日本の法律では「人が乗ったら軽車両」扱いだった

現代日本の道路交通法による「軽車両」は、以下のように定義されています。

十一  軽車両 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のものをいう。
(道路交通法 第二条 第十一号より抜粋)

どれも「軽車両」の扱いになるのは動物に人が乗っている場合のみで、下りて引いて歩いている場合は「歩行者」として扱うことに決められています。

つまり、現代の都会のど真ん中を馬に乗って走ることも、バイク替わりに馬で通勤することも、法律上は特に問題はないことになります。

また「人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む)」ともあるため、平安貴族のように優雅に牛車で通勤!なんて大胆なことも、違法行為ではありません。

アフリカゾウやキリンは注意!「長さ」「幅」「高さ」が規定サイズを超えると「違法」の可能性も!?

ただし軽車両には、サイズの上限に関する規定があります。
具体的には

・人力により運行する軽車両:長さ4m・幅2m・高さ3m
・畜力により運行する軽車両:長さ12m・幅2.5m・高さ3.5m
(道路交通法 第四章 第六十八条より)

ということなので、成体の平均体高(3.3m)を上回る体高3.5m以上のアフリカゾウの個体や、メスでも成体の平均体高が3.9〜4.5mになるキリンなどに乗っていた場合は、道路交通法違反となる可能性があります。

飲酒して馬や牛に乗るのは飲酒運転!馬や牛に飲酒させるのは車両不整備!

さて、馬や牛は軽車両扱いですから、飲酒をして乗れば当然「飲酒運転」となります。

道路交通法第六十五条に「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」と書かれていますが、この「車両等」には「車両」と「路面電車」が含まれ、「車両」は「自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバス」と定義されているからです。

日本同様に馬を軽車両に含めているオーストラリアでは、2018年に酒店のドライブスルーに馬に乗ってやってきて大量に飲酒していた女性が、飲酒運転の疑いで逮捕される事件が起こっています。

【参考】飲酒運転で逮捕された女性。ただし乗っていたのは馬(オーストラリア)

また「お前も飲め〜♪」と馬や牛にお酒を飲ませて乗ると、「整備不良車両運転」となります。

そもそも人間と他の動物はアルコールの代謝システムが異なる場合があり、たとえば犬にお酒を飲ませるとそのまま酔いが醒めず、昏睡状態となって死んでしまうことすらありますので、絶対に飲ませてはいけませんよ!

【参考】
・馬やラクダ…動物で公道を走るのは違反?免許は必要?
・馬や牛が道路を走るのに許可は必要か
・公道での乗馬は軽車両!ただしアフリカ象は道交法違反の恐れあり
・お酒を飲んで馬に乗ると捕まるって本当?
・酒を飲んで乗馬したら飲酒運転。では、『飲酒させた馬に乗る』と…?
・【獣医師監修】犬が人間用のアルコール(お酒)を飲んだり、舐めたりしても大丈夫?死亡リスクあり!