2020年3月6日(金)から公開中の映画「Fukushima 50」(フクシマフィフティ)が、新型コロナウイルス対策による映画館休館の影響を鑑み、2020年4月17日(金)から有料ネット配信を期間限定で実施することになりました。終了時期は事態の収束をみて後日決定されるとのことです。

映画「Fukushima 50」公式サイト|大ヒット上映中!

https://www.fukushima50.jp/

「Fukushima 50」は門田隆将さんの著作「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」を原作として作られた映画で、2020年3月6日(金)に公開されました。

2011年の東日本大震災の際、東京電力福島第一原子力発電所の中で何が起きていたのか、人々はどのような行動をしていたのかを描いており、公開当初から賛否両論を巻き起こす作品となっています。

ただ、ちょうど公開時期は新型コロナウイルスの感染者拡大と重なる形となり、新型コロナウイルス感染拡大防止のための「緊急事態宣言」の対象が日本全国に拡大した影響で映画館は多くが休館しており、いざ見たくても見る手段がないという状況になっていました。

このため、期間限定ながら、有料でのネット配信が実施されることになりました。

配信形式はストリーミングのデジタルレンタル配信(TVOD)で、価格はチケットの一般価格と同じ税込1900円。配信プラットフォームはミレール、ニコニコ生放送、Amazon Prime Video、U-NEXT、ビデオマーケット、ひかりTV、GYAO!ストア、Rakuten TV、クランクイン!ビデオなどの予定。

ミレールでは、事前に購入した座席指定可能な前売券「ムビチケ前売券(オンライン・カード)」や、鑑賞当日でも購入できるデジタル映画鑑賞券「ムビチケ当日券」も利用可能だとのこと。なお、購入したムビチケ前売券やムビチケ当日券は、事態収束後に映画館で再上映される際にも利用可能です。

旧作映画については、すでに動画配信サービスで見られるのが当たり前になっていますが。公開中の新作映画が見られるというのは異例の措置。2020年に入っての新型コロナウイルス大流行では、この「異例の措置」が他でも見られる状態になっています。

たとえば、大手映画配給会社ユニバーサル・スタジオを傘下に持つNBCユニバーサルは、一部の新作映画のネット配信に踏み切りました。

劇場公開直後や公開前の新作映画のネット配信をNBCユニバーサルが実施へ - GIGAZINE



日本国内では、2020年2月29日(土)公開の映画「ママをやめてもいいですか!?」が、日本映画史上初の試みだという、映画館での上映と同時のネット配信を実施。その後、署名が1000名以上集まったことで、オンライン配信期間が2020年5月31日(日)までに延長されています。鑑賞価格は1500円で、48時間のレンタル扱い。視聴環境はiOS・Android・Apple TV・Roku・Chromecastです。

映画『ママをやめてもいいですか!?』(通称:『ママやめ』)公式サイト

http://www.umareru.jp/mamayame/



また、2020年5月2日(土)公開予定の映画「精神0」も、劇場公開と並行してのネット配信が決まっています。

映画『精神0』公式サイト

https://www.seishin0.com/



「精神0」の場合、ネット上に各地の上映映画館が軒を連ねる「仮設の映画館」を作り、鑑賞料金が本物の映画館に配分される仕組みであることが明かされています。

仮設の映画館『精神0』

http://www.temporary-cinema.jp/seishin0/

鑑賞料金の分配内容は、プラットフォーム使用料として約10%を差し引いたのち、一般的な興行収入と同じように「劇場」と「配給」で5:5で分配を実施。その後、さらに「配給会社」と「製作者」とで分配を行います。上映予定の映画館は、諸事情によって休映・休館となる場合でもオンライン映画館での上映が続くことにより、収益の分配対象になります。

こちらは24時間のレンタルで、鑑賞料金は1800円。配信は2020年5月22日(金)21時までの予定です。

劇場公開と合わせての有料ネット配信という試み自体は2010年から展開された「機動戦士ガンダムUC」などでも見られたもの。新型コロナウイルス大流行が落ち着いたあとどうなるかはわかりませんが、今後、規模の大きな作品でも、劇場公開とネット配信を同時展開するという選択肢はあり得るのかもしれません。