2画面ノートPC「ASUS ZenBook Pro Duo」がクリエイティブ作業でイノベーションを起こす
ASUS JAPANは、クリエイター向けのハイエンドノートPC(パソコン)「ASUS ZenBook Pro Duo」を発売した。
最上位モデルの「UX581GV-9980」は、
・OSにWindows 10 Pro 64ビット
・CPUはインテルCore i9-9980HK(2.4GHz・ターボブースト時5.0GHz)
・SSD 1TB(PCI Express 3.0×4接続)
これら搭載する。
もう1つのモデル「UX581GV-9750」は、
・OSにWindows 10 Home 64ビット
・CPUはCore i7-9750H(2.6GHz・ターボブースト時4.5GHz)
・SSD 512GB(PCI Express 3.0×2接続)
これらを搭載する。
この2つのモデルで共通する仕様が、
・GPUにNVIDIA GeForce RTX 2060
・RAM 32GB(DDR4-2666)
・HDMI出力、Thunderbolt 3、USB3.1(Type-A/Gen2)2ポート
・マイクイヤホンコンボジャック
・無線LAN IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.0
となる。
CPUは最上位のもの、GPUは最新のレイトレーシングに対応するGeForce RTX 2060を搭載し、ゲーミングノートPCとしても十分利用可能な性能を持つ。
同社はゲーミングPCのブランドとして「ROG(アールオージー)」を展開している。
しかし、本製品をゲーミングPCではなく「ZenBook」製品として世に送り出したことにはワケがある。
今や、日常生活において、スマートフォンがあればほとんどのことを済ますことができる生活インフラとなった。ビジネスにおいてもスマートフォンは、情報発信のツールや情報共有のツール、そして決済端末としても利用されるようになった。
しかしながら、スマートフォン上で動くアプリの開発や、コンテンツの制作、そして様々なクリエイティブな作業には、まだPCが必要なのである。
ZenBook Pro Duoは、ノートPCながら2画面を搭載した「デュアルディスプレイ」でクリエイティブ用途にイノベーションを起こす製品といえる。
クリエイター向けのノートPCといえば、
・広色域ディスプレイ
・ペンによる手描き対応
・動画や写真編集に使用できるCPU・GPUのパフォーマンス
・大容量RAM(内蔵メモリ)
このように、あらゆる分野や状況に対応できる高いスペックが必要だ。
とはいっても、最新のインテルおよびAMDのCPUはパフォーマンス向上しており、クリエイター向けのPCと、その他のPCとの差別化が難しい状況でもある。つまり、一般的なハイエンドPCでもクリエイティブな作業に十分対応できるといえる。
ZenBook Pro Duoでは、こうした状況において差別化を図るために、まずはメインのディスプレイに4K(3840×2160ドット)の液晶ではなく有機ELディスプレイを搭載した。
一般的な液晶ディスプレイと、有機ELディスプレイの違いは黒の表現と発色である。
液晶ディスプレイの場合は、カラーフィルターをバックライトで発光させて色を表現する。黒を表示するためには、カラーフィルターを全て塞いだ状態となるのだが、常に全体を照らしているバックライトの光が漏れてしまう。
このため見かけ上は黒なのだが、部屋の灯りを消した場合でも黒い部分が光って見えるなど、暗い黒を表現するのが苦手なのである。
一方で、有機ELディスプレイの場合は、素子が自発光することで映像を映し出す。黒い部分は発光しないことで黒となる。素子自体が発光しないので暗い黒の表現を得意とする。
この特性は、写真や映像の編集作業における色の確認で違いが出てくるのである。見え方の違いだけではなく、ZenBook Pro Duoは、シネマグレードのDCI-P3を100%カバーする広い色域で、プロフェッショナルワークをサポートする。
我々が最近、目にするテレビやスマートフォンの画面も、広い色域を持つ有機EL製品が多くなっている。有機ELディスプレイ採用のスマートフォンやテレビの表現力を最大限に活かすためには、コンテンツを作る側もよりクオリティの高い環境で制作する必要があるというワケである。
ZenBook Pro Duoのイノベーションは、
このメインのディスプレイのほかに、キーボードの上部にサブのディスプレイを搭載したことにある。
サブディスプレイの解像度は3840×1100ドット、4Kディスプレイを約半分にした解像度であり、フルHD(1920×1080ドット)よりも高い解像度なのだ。表示用のデバイスは、メインディスプレイと同じ有機ELディスプレイを搭載する。
このサブのディスプレイは、メインディスプレイと合わせて独立した2つのディスプレイとして利用できるほか、メインディスプレイとサブディスプレイをつなげた上下に長いディスプレイとしても利用可能である。
通常、クリエイティブワークで複数のディスプレイを使用する場合、ツールやファイルを表示するためのディスプレイと、写真や映像の確認のためのディスプレイを分けることで作業効率を上げている。
ZenBook Pro Duoの場合は、外部ディスプレイを接続することで従来通りの作業を可能としているが、内蔵のサブディスプレイを併用することでシンプルな環境ながら作業効率を上げる可能性を秘めている。
動画編集では、タイムラインと呼ばれる横に長い帯に映像や音声、テロップなどを並べて編集する。
1つの画面で編集を行う場合は画面の下領域をこのタイムラインで塞がれてしまうため、映像は小さい表示で確認する必要がある。
サブディスプレイがあれば、このタイムラインを表示することで、メインディスプレイは大きな表示で映像の確認ができるようになるのだ。
Adobe Premiere Proのタイムラインをサブディスプレイに表示。タッチで直感的な操作も可能だ
写真編集においても、サブディスプレイで写真を選び、大きなメインディスプレイで確認、必要があればそのまま編集作業に入るといった効率の良いワークフローが可能になる。
この2つのディスプレイはタッチ操作やペン操作にも対応しているので、直接タッチして直感的な操作や、ペンによる細かな編集作業も得意とする。
これまでのノートPCの使い方は、可搬性の良さや場所を取らないというメリットはあるものの、ディスプレイの小ささに起因する不便さや苦手な操作において、外部機器を追加して補ってきた。それがやがて “こうやって使うと便利”というプロのノウハウでもある。
ZenBook Pro Duoは、このノウハウを遙かに超えて、“どうやって使いこなせば良いのだろう?“と困惑するよう新鮮な体験価値、そしてイノベーションを我々にもたらす製品といえるだろう。外出先でも、単体でプロのクリエイティブ作業ができるようになったノートPCの登場ともいえる。
クリエイティブワーク以外でも、今やゲームの配信もビジネスとして成立するようになり、ZenBook Pro Duoのパフォーマンスと2つのディスプレイはゲーム配信をサポートする機材としても十分に利用可能である。
マイクロソフトは折りたたみ式の2画面モデル「Surface Duo/Neo」を発表し、今後ノートPCにも多画面化という新しいスタイルの波が来るのではないだろうか。
執筆 mi2_303
最上位モデルの「UX581GV-9980」は、
・OSにWindows 10 Pro 64ビット
・CPUはインテルCore i9-9980HK(2.4GHz・ターボブースト時5.0GHz)
・SSD 1TB(PCI Express 3.0×4接続)
これら搭載する。
もう1つのモデル「UX581GV-9750」は、
・OSにWindows 10 Home 64ビット
・CPUはCore i7-9750H(2.6GHz・ターボブースト時4.5GHz)
・SSD 512GB(PCI Express 3.0×2接続)
これらを搭載する。
この2つのモデルで共通する仕様が、
・GPUにNVIDIA GeForce RTX 2060
・RAM 32GB(DDR4-2666)
・HDMI出力、Thunderbolt 3、USB3.1(Type-A/Gen2)2ポート
・マイクイヤホンコンボジャック
・無線LAN IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.0
となる。
CPUは最上位のもの、GPUは最新のレイトレーシングに対応するGeForce RTX 2060を搭載し、ゲーミングノートPCとしても十分利用可能な性能を持つ。
同社はゲーミングPCのブランドとして「ROG(アールオージー)」を展開している。
しかし、本製品をゲーミングPCではなく「ZenBook」製品として世に送り出したことにはワケがある。
今や、日常生活において、スマートフォンがあればほとんどのことを済ますことができる生活インフラとなった。ビジネスにおいてもスマートフォンは、情報発信のツールや情報共有のツール、そして決済端末としても利用されるようになった。
しかしながら、スマートフォン上で動くアプリの開発や、コンテンツの制作、そして様々なクリエイティブな作業には、まだPCが必要なのである。
ZenBook Pro Duoは、ノートPCながら2画面を搭載した「デュアルディスプレイ」でクリエイティブ用途にイノベーションを起こす製品といえる。
クリエイター向けのノートPCといえば、
・広色域ディスプレイ
・ペンによる手描き対応
・動画や写真編集に使用できるCPU・GPUのパフォーマンス
・大容量RAM(内蔵メモリ)
このように、あらゆる分野や状況に対応できる高いスペックが必要だ。
とはいっても、最新のインテルおよびAMDのCPUはパフォーマンス向上しており、クリエイター向けのPCと、その他のPCとの差別化が難しい状況でもある。つまり、一般的なハイエンドPCでもクリエイティブな作業に十分対応できるといえる。
ZenBook Pro Duoでは、こうした状況において差別化を図るために、まずはメインのディスプレイに4K(3840×2160ドット)の液晶ではなく有機ELディスプレイを搭載した。
一般的な液晶ディスプレイと、有機ELディスプレイの違いは黒の表現と発色である。
液晶ディスプレイの場合は、カラーフィルターをバックライトで発光させて色を表現する。黒を表示するためには、カラーフィルターを全て塞いだ状態となるのだが、常に全体を照らしているバックライトの光が漏れてしまう。
このため見かけ上は黒なのだが、部屋の灯りを消した場合でも黒い部分が光って見えるなど、暗い黒を表現するのが苦手なのである。
一方で、有機ELディスプレイの場合は、素子が自発光することで映像を映し出す。黒い部分は発光しないことで黒となる。素子自体が発光しないので暗い黒の表現を得意とする。
この特性は、写真や映像の編集作業における色の確認で違いが出てくるのである。見え方の違いだけではなく、ZenBook Pro Duoは、シネマグレードのDCI-P3を100%カバーする広い色域で、プロフェッショナルワークをサポートする。
我々が最近、目にするテレビやスマートフォンの画面も、広い色域を持つ有機EL製品が多くなっている。有機ELディスプレイ採用のスマートフォンやテレビの表現力を最大限に活かすためには、コンテンツを作る側もよりクオリティの高い環境で制作する必要があるというワケである。
ZenBook Pro Duoのイノベーションは、
このメインのディスプレイのほかに、キーボードの上部にサブのディスプレイを搭載したことにある。
サブディスプレイの解像度は3840×1100ドット、4Kディスプレイを約半分にした解像度であり、フルHD(1920×1080ドット)よりも高い解像度なのだ。表示用のデバイスは、メインディスプレイと同じ有機ELディスプレイを搭載する。
このサブのディスプレイは、メインディスプレイと合わせて独立した2つのディスプレイとして利用できるほか、メインディスプレイとサブディスプレイをつなげた上下に長いディスプレイとしても利用可能である。
通常、クリエイティブワークで複数のディスプレイを使用する場合、ツールやファイルを表示するためのディスプレイと、写真や映像の確認のためのディスプレイを分けることで作業効率を上げている。
ZenBook Pro Duoの場合は、外部ディスプレイを接続することで従来通りの作業を可能としているが、内蔵のサブディスプレイを併用することでシンプルな環境ながら作業効率を上げる可能性を秘めている。
動画編集では、タイムラインと呼ばれる横に長い帯に映像や音声、テロップなどを並べて編集する。
1つの画面で編集を行う場合は画面の下領域をこのタイムラインで塞がれてしまうため、映像は小さい表示で確認する必要がある。
サブディスプレイがあれば、このタイムラインを表示することで、メインディスプレイは大きな表示で映像の確認ができるようになるのだ。
Adobe Premiere Proのタイムラインをサブディスプレイに表示。タッチで直感的な操作も可能だ
写真編集においても、サブディスプレイで写真を選び、大きなメインディスプレイで確認、必要があればそのまま編集作業に入るといった効率の良いワークフローが可能になる。
この2つのディスプレイはタッチ操作やペン操作にも対応しているので、直接タッチして直感的な操作や、ペンによる細かな編集作業も得意とする。
これまでのノートPCの使い方は、可搬性の良さや場所を取らないというメリットはあるものの、ディスプレイの小ささに起因する不便さや苦手な操作において、外部機器を追加して補ってきた。それがやがて “こうやって使うと便利”というプロのノウハウでもある。
ZenBook Pro Duoは、このノウハウを遙かに超えて、“どうやって使いこなせば良いのだろう?“と困惑するよう新鮮な体験価値、そしてイノベーションを我々にもたらす製品といえるだろう。外出先でも、単体でプロのクリエイティブ作業ができるようになったノートPCの登場ともいえる。
クリエイティブワーク以外でも、今やゲームの配信もビジネスとして成立するようになり、ZenBook Pro Duoのパフォーマンスと2つのディスプレイはゲーム配信をサポートする機材としても十分に利用可能である。
マイクロソフトは折りたたみ式の2画面モデル「Surface Duo/Neo」を発表し、今後ノートPCにも多画面化という新しいスタイルの波が来るのではないだろうか。
執筆 mi2_303