完全フレックス制導入は全国の自治体で初

写真拡大

 大阪府寝屋川市が10月1日、職員が午前8時〜午後8時の間で働く時間を自由に選べる「完全フレックスタイム制」を始めました。市によると、必ず勤務しなければならない「コアタイム」を設けないフレックスタイム制の導入は、全国の都道府県・市区町村で初めてのことです。

 業務効率の向上や多様な人材確保が狙いですが、ネット上では「他の地域にも広がってほしい」「うらやましい」と評価する声の一方、「余剰人員がいるからできるのでは?」「税金で働いてるのに」と否定的な声もあります。寝屋川市人事室の担当者に聞きました。

時間外勤務の削減や人材の確保

Q.新制度の仕組みを教えてください。

担当者「通常の勤務は午前9時〜午後5時半ですが、午前8時〜午後8時の間で働く時間を自由に選べます。コアタイムもありません。1カ月の総勤務時間を満たせば、週休3日も可能です」

Q.毎週、週休3日にすることも可能なのでしょうか。

担当者「1カ月の総勤務時間を満たせば、可能です」

Q.導入の目的は。

担当者「『自由な働き方から、より柔軟な市民サービスが生まれる』という考え方の下、効率的な働き方による時間外勤務の縮減、職員のプライベートの充実、働く環境の整理による多様な人材の確保などを目的としています」

Q.コアタイムがないことで、問題はないのでしょうか。

担当者「特に問題はないと考えています」

Q.窓口業務に支障は出ないのでしょうか。

担当者「当市のフレックスタイム制は、職員が前日までにその日の勤務時間を申告し、上司が承認するというものですが、窓口職場など一部の職場においては全体のバランス上、ある程度前の日までに申告期限を設定することにしています。職員同士のコミュニケーションなどにより、窓口職場でも支障がないよう運用できるものと考えています」

Q.市民の反応は。

担当者「寝屋川市をPRできる取り組みとして評価を頂いています。一方で、職員一人一人が市民サービスの質を落とさないよう運用していく必要があると考えています」

Q.市議会で何らかの懸念や指摘はありませんでしたか。

担当者「『導入後の状況を検証し、柔軟に制度の見直しを行っていくように』といった意見を頂いています」

Q.公務員の働き方には厳しい目もあります。ネット上では「民間に比べて余剰人員が多いからできるのでは」という指摘もあります。

担当者「当市の職員数は約1100人ですが、恐らく、中核市で最も少ない職員数ではないかと認識しています。導入後も、必要な業務と不要な業務の整理を不断に行い、円滑にフレックスタイムを利用できる体制をとっていく必要があると考えています」

Q.職員募集への応募が増えたと聞きました。前年比でどのくらい増えたのでしょうか。

担当者「2020年4月採用の職員募集において、前年度に比べて約2倍、過去最高の1672人の応募を頂きました」

Q.フレックス制以外に、市で導入している働き方改革について教えてください。

担当者「『希望残業』という制度は、フレックスタイム制の導入で時間外勤務が縮減されることを前提として、『残業したい』という職員の意欲に応えるため、職員が希望した場合、その希望した時間で処理する業務量をその職員に与えるものです。

2018年度に導入した『長時間労働抑制システム』は、時間外勤務の申請をしない限り、勤務時間終了後に自動的にパソコンがシャットダウンされるシステムで、計画的に勤務する意識を醸成する手段として導入しました」