ゴールを挙げたのにもかかわらず、チームメイトと喜ぶことなくスタンドを睨みつけるルカク(9番)。 (C) Getty Images

写真拡大

 インテルの新エースが、加入早々に心ないファンからの“差別”のターゲットとなった。

 現地時間9月1日に行なわれたセリエA第2節のカリアリ戦でインテルのロメル・ルカクが敵サポーターから“モンキーチャント(猿の鳴きまね)”を送られたのだ。72分にPKのキッカーを務めた際に観客席から罵声が送られ、その様子はSNSなどで拡散されて物議を醸している。

 イタリアでは昨今、選手がサポーターから差別的な中傷を受ける事例が続いており、今年4月に行なわれたカリアリ対ユベントスの一戦では、モイゼ・ケーン(現エバートン)とブレーズ・マテュイディが、昨年12月のインテル対ナポリの試合ではセネガル代表DFのカリドゥ・クリバリが、モンキーチャントが浴びせられた。

 また、最近ではマンチェスター・ユナイテッドのポール・ポグバやチェルシーのテイミー・エイブラハムに対して、SNS上で人種差別的なコメントが数多く寄せられたことが、大きな話題となった。

 そうしたなかで、今夏に移籍したばかりのイタリアで容赦のない被害に遭ったルカクは、9月2日に自身のインスタグラムを更新。「先月は多くの選手に人種差別的な言葉が浴びせられ、僕も昨日、被害に遭った」と切り出し、長文のメッセージを発信した。

「サッカーは誰もが楽しめる競技であり、僕らは試合を辱めるいかなる形の差別も容認すべきでない。世界中のサッカー連盟や組織が差別のすべてのケースに強く反応することを願っている! そして、各クラブはソーシャルメディアのプラットフォーム(インスタグラム、ツイッター、フェイスブック)をもっと上手く機能させなければならない。有色人種のSNS投稿には、毎日、少なくとも一つは人種差別的なコメントがある。僕らはこれを何年も言い続けてきたが、どこもいまだアクションがない」
 SNSの運用法を含め、サッカー界に行動を起こすように促したルカクは、さらにこう続けた。

「みなさん、もう2019年だよ。それなのに前進するどころか後退しているじゃないか。サッカーをクリーンで誰もが楽しめるものにし続けるため、僕らは団結してこの件に関して主張しなければならない」

 サッカー界に蔓延る人種差別問題に対し、国際サッカー連盟は、差別が認められた場合には、レフェリーの判断で没収試合にできるという新規定を今シーズンから設けた。しかし、いまだ被害者が後を絶たず、抑止力になったとは言い難い状況が続いている。

 そうしたなかで、悲痛な想いを綴ったルカクのメッセージは、心ない人々の胸にどう響いたのだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部