日本が世界に誇る各界の“知のフロントランナー”を講師に迎え、未来の日本人たちに向けてアカデミックな授業をお届けするTOKYO FMの番組「未来授業」。今回の授業講師には、脳科学者の中野信子さんが登場! ベストセラーとなった「サイコパス」の著者としても知られる中野さんに、最新の脳科学研究によって解き明かされつつあるサイコパスについてお話を伺いました。

※写真はイメージです



前回は「あの人もサイコパス? https://tfm-plus.gsj.mobi/news/xZ6qvmTBYu.html」をテーマにお届けしましたが、この日の放送は、「あなたの隣のサイコパス」がテーマ。中野さんの著書「サイコパス」では、魅力的で仕事も有能、だけどビッグマウスで飽きっぽく他者への共感性はゼロとその生態について触れていますが、性的な魅力が高いのもサイコパスの特徴のひとつだなのだそうです。

サイコパシーが高い人は共感性が低いのに、相手が何をされたら痛いのか、何をされたら喜ぶのかを見抜く観察力が非常に優れていて、相手の心をくすぐるのがとても上手なので、「サイコパスは異性にモテる」と中野さん。

サイコパスと言われる男性の特徴を分析したところ、ダークトライアドと呼ばれる3つの要素を持っていることが多いのだそうです。
その要素とは、自分が大好きで自分のことしか考えず自己愛に陶酔する“ナルシスト”。他人の不幸の上に自分の幸福を築くことができる“サイコパシー”。目的のためなら手段を選ばない“マキャヴェリスト”の3つ。
これらの要素を持ち合わせたタイプの男性は、一見して稼ぎもよく他の男性よりも一段と強く輝いて見えるのですが、「一般的な男性に比べて、自分の遺伝子を広くばらまくという性質が高い」と中野さんは言います。

中野さん曰く、イヌイットという先住民族の記録によると、男性は狩りに行くのが当たり前のなか知能の高いサイコパスは何かと理由をつけて狩りに出ず、他の男性が狩りに行っている間に残された女性たちと子作りに勤しんで搾取していたのだとか。

人の道を外れたことや裏切るような行為を平然と遂行することができるのもサイコパスの特徴のひとつ。我々の過ごす社会にもそうした性質を持った人が「ある一定の割合でいる」と中野さんはきっぱり。
なんでもアメリカだと約4%、日本には約1%くらいの割合で存在するという試算がなされているのだそうです。

親子3代にわたって資質が見られる家系もあることから遺伝性が高いとも言われているサイコパスですが、アメリカと日本との割合に若干の差がある要因は何なのでしょうか。

日本は島国のため人口の流動性はそれほど高くなく、長期的な人間関係が続きがち。「サイコパシーが高い人は裏切り戦略を繰り返します。“あいつは裏切り者だ!”と村八分の烙印が押されると、過去にその人が何をしたのかなどの情報を引き継ぎやすい。そうなると配偶者を与えてもらえず遺伝子が残らない」ことが日本の割合が低い要因だと中野さんは分析していました。

一方、アメリカなど人口の流動性が高い大陸だと、過去にその人が何をした人なのか分からない、名前を変えることもできたり、国籍すら辿れないことも……、そうなるとサイコパスの生存戦略が適応的だということから、日本に比べその割合が高いのだと理由を述べました。

<番組概要>
番組名:未来授業
放送日時:毎週月〜木曜19:52〜20:00
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/podcasts/future/