日本代表の次の4年間は、森保一監督に託されることになった。五輪代表との兼任が、先週末に正式に発表されている。

 新監督に求められるのは世代間の融合と世代交代だ。ロシアW杯の登録メンバー23人の平均年齢は、過去最高齢の28・2歳だった。一方で、ヴァイッド・ハリルホジッチがリオ五輪世代を積極的に起用してきたことで、実は世代交代の萌芽はある。あとは、森保監督が思考する戦術に、誰を当てはめていくのかだ。

 世代間の融合については、五輪とフル代表の監督兼任でスムーズに進んでいくとの見方が強い。もちろんそのとおりだと思うが、世代間の融合は五輪とフル代表だけでない。U−20世代と五輪のつながりも、密接にしていく必要がある。

 U−20世代は、現時点ではU−19日本代表として活動している。ターゲットは来年6月開幕のU−20ワールドカップで、今年10月中旬から11月上旬にかけてアジア最終予選が待ち受ける。

 チームを率いるのは影山雅永監督だ。現役時代は日本リーグとJリーグを横断し、古河電工とジェフ千葉で主なキャリアを積んだ。引退後はドイツ留学を経てサンフレッチェ広島のコーチに就任し、マカオ代表監督やシンガポールU−16代表監督を歴任した。その後は国内へ戻り、ファジアーノ岡山でコーチと監督を務めている。現職に就いたのは17年だ。

 秋葉忠宏コーチは、年齢別代表の経験者だ。プロ2年目の95年にU−20日本代表でワールドユース8強を経験し、翌96年にはアトランタ五輪代表メンバーに選出された。Jリーグの複数クラブを渡り歩き、最後はJ3昇格以前のSC相模原でスパイクを脱いだ。

 引退後は水戸ホーリーホックのコーチと、ザスパクサツ群馬の監督を務めた。14年12月からはU−21日本代表コーチに指名され、手倉森誠監督のもとでリオ五輪出場に貢献した。選手、コーチとしてアジアの予選を経験している彼は、オープンな性格で監督と選手の橋渡し役にもなる。

 影山監督も秋葉コーチも、選手たちに多くのものを伝えられる経験を持っている。アジア最終予選へ挑むコーチングスタッフに、相応しい人材と言うことはできるはずだ。

 ただ、小さな疑問がないわけではない。

 日本代表の監督も五輪代表の監督も、日本人が指名される場合はJリーグでの実績がウェイトを占める。それに比べると、U−17やU−20ワールドカップ出場を目ざすチームは、そこまで結果が問われていない印象だ。影山監督も秋葉コーチも、Jクラブの監督としては特筆すべき成果をあげていない。

 クラブでも代表でも、スタッフの編成はタイミングが関わってくる。サッカー協会が欲しい人材を、必ずしも確保できるわけではない。

 そうは言っても、U−17とU−20は五輪やフル代表に直結する世代である。指導者選びは重要だ。

 ロシアW杯で4強入りしたイングランドのギャレス・サウスゲイト監督は、U−21代表監督が前職だった。クロアチアのズラトコ・ダリッチ監督も、U−21代表監督の経験がある。アルゼンチンとコロンビアの代表監督で3度のW杯に出場してきたホセ・ペケルマンも、母国アルゼンチンのU−20代表を長く率いた。“育成のスペシャリスト”からフル代表へ戦いの場を移していった。

 U−20W杯の出場を確実につかんでいくためにも、この年代の強化は五輪やフル代表と同じくらいに、ひょっとしたらそれ以上に重要である。この世代のスタッフの人選はもっと注目されるべきで、より高い競争を経て選ばれていくべきだと思うのだ。