【春季福岡県大会・展望】夏のシード権をかけて、各ブロックの有力校を紹介！
昨秋優勝校・九産大九産のエース・梅野 雄吾を打ち崩すチームが現れるかが、春季大会の焦点になりそうだ。この5年間、夏の代表の座を分け合っている九州国際大付、自由ケ丘、飯塚の「北部私立3強」の戦いぶりも、今年の夏を占ううえで注目される。福岡大大濠の濱地 真澄、九産大九州の岩田 将貴ら好投手たちが、ひと冬越してどこまで成長しているかも見どころで、夏のシード権獲得に近づく県大会出場（ベスト8）を目指し、激しい戦いが繰り広げられそうだ。
中山竜秀（九州国際大附）
【南部】昨秋ベスト8の祐誠は、前チームからマウンドにあがる橋爪 海人、左腕・岸川 瑞樹が安定している。打線もリード・オフマンの吉岡 翼を筆頭に破壊力があり、総合力で一歩リードする。
ただ、このパートには有力校が揃った。福岡第一の比嘉 基貴は小柄ながら伸びのある直球と落差のある変化球を投げる好左腕。打線もパンチ力のある桃原 康をはじめ、前チームからの主軸が残る。8月の筑後地区新人大会優勝の西日本短大附は、シードとして臨んだ昨秋は祐誠に敗れており雪辱を期する。
その西日本短大附と初戦で激突する久留米商は、左の長距離砲・古川 裕大の打棒が勝利のカギを握る。朝倉は昨夏、優勝した九州国際大付を7回2安打に抑えた大型左腕・森田 康平が健在。秋は打線の援護に恵まれず初戦敗退となったが、ひと冬越し、改めてその投球が注目される。
このほか、祐誠と初戦で対戦する名門・柳川、筑後地区1年生大会で準優勝したメンバーを揃える久留米高専、公立校ながら各大会でコンスタントな成績を残し続ける糸島などの実力校も多く、目が離せないパートとなりそうだ。
【北部】シード校・自由ケ丘は昨秋、福岡大大濠・濱地に完封負けを喫したが、140キロ前後の直球を投げる本格派右腕・岩田 諒大を擁し北部では筆頭格。昨夏代表校・九州国際大付は夏の甲子園ベスト8の主力は抜けたが、長身から投げ下ろす直球に威力のある藤本 海斗、甲子園を経験した好打者・中山 竜秀ら素質の高い選手が揃う。
真颯館は、4番・合屋 祐希、左腕・岡 天斗など1年生から経験を積んできた選手たちが最終学年を迎える。柳川、自由ケ丘を率いて甲子園出場を果たした末次 秀樹監督が手塩にかけて育てた逸材が、最後の年に素質を開花できるか。昨夏ベスト16のメンバーが多く残り打線に厚みのある星琳、昨秋に自由ケ丘と競り合った八幡南、右サイドハンド・堀渕 大暉のいる東筑紫学園なども上位を狙う。
[page_break:Bパート：昨年選抜出場の九産大九州が有力 / Cパート：昨秋優勝の九産大九産が主役]Bパート：昨年選抜出場の九産大九州が有力岩田 将貴（九産大九州）
【南部】昨年センバツ出場校・九産大九州は、九産大九産や福岡大大濠の活躍の陰に隠れてしまった感があるが、エース・岩田 将貴、4番・尾崎 誓哉など甲子園を経験した選手が多く、総合力は県トップレベル。秋は守備の乱れから小倉に大敗を喫したが、優勝候補の一角だろう。
その九産大九州に挑むのが東福岡。打線に派手さはないが、三野原 愛望、久我 良介の1・2番コンビを中心に機動力があり、ソツのない野球が持ち味。左腕・浦田 泰志の踏ん張りが、ポイントになりそうだ。両校の勝者と県大会を争うのは博多工、筑前の公立勢か。
【北部】昨秋準優勝の小倉が抜けた存在。エース・中野 裕斗は直球とスライダーをコーナーに集めて打たせて取る投球で、安定感がある。打線は、昨秋の準決勝で九産大九州・岩田を攻略したようにコンパクトで粘り強い打撃を見せる。小倉を脅かすとすれば八幡か。秋は守りの乱れから小倉にコールド負けを喫したが、競り合いに持ち込み勝機をうかがいたい。
Cパート：昨秋優勝の九産大九産が主役梅野 雄吾（九産大九産）
【南部】昨秋優勝の九産大九産が堂々の主役を務める。プロ注目の好投手・梅野 雄吾は、140キロ台後半の直球と130キロ台のスライダーが武器。制球にやや不安はあるが、コーナーに決まれば打ち崩すのは至難だろう。打っても4番に座る梅野は打撃センスもあり、チャンスに強い。
打倒・九産大九産の一番手として登場するのが福岡工大城東。昨春の九州大会で、優勝した龍谷（佐賀）や興南（沖縄）相手に好投を見せた左腕・坂元 翔太は、コーナーを突く投球が身上。4番・船越 慎也は昨秋、福岡大大濠の濱地 真澄から2安打した強打者で、梅野との対決は見ものだ。
両校の勝者と県大会を争うのは春日、大牟田、筑紫丘。春日は昨秋、4回戦で東福岡に打ち負けたものの、4試合で30得点と打線に力がある。大牟田は2014年の筑後地区1年生大会優勝校。筑紫丘は昨秋、朝倉・森田に投げ勝った井上 颯太の左腕がチームの浮沈を握る。
【北部】シードは東筑だが、東海大五、飯塚の強豪私立校が同居する激戦となった。東筑は昨秋の北部大会4試合で6失点。左腕・梅田 祥伍を中心に伝統の守り勝つ野球で九州国際大付などを破って県大会に出場した。トップバッターの大見謝 直也は俊足好打、得点のキーマンとなりそうだ。
昨夏準優勝の東海大五は、秋は3回戦を前に出場を辞退したが、準優勝メンバーから中軸の田村 航汰ら経験豊かな選手が複数残る。現校名で出場する最後の大会となるだけに、期するものは大きいだろう。
前チームからメンバーが一新し、秋はいいところを見せられずに敗れた飯塚だが、8月の福岡中央地区新人大会で優勝するなど実力はある。互いに勝ち上がると、4回戦で秋に敗れた北九州市立との対戦が予想され、夏への試金石となりそうだ。
[page_break:Dパート：福岡大大濠も周りにも強豪が集う]Dパート：福岡大大濠も周りにも強豪が集う濱地 真澄（福岡大大濠）
【南部】昨秋ベスト4のシード・福岡大大濠を、筑陽学園・沖学園が追う。福岡大大濠は安定感抜群のエース・濱地 真澄が投打の柱。投げては140キロ台の直球、切れのある変化球を絶妙のコースに投げ分ける。打ってもスタンドに叩き込む長打力の持ち主で、勝負強い。田中 力哉、東 怜央の中軸にも力があり、早い回に得点を奪って逃げ切るのが勝ちパターンだ。
昨秋、九産大九産と初戦で惜敗した筑陽学園の左腕・山中 優は、制球力の高さを誇る好投手。沖学園も前チームからエース・阿部 充などが残っており、打力もある。
【北部】シード・希望が丘に、常磐、育徳館などが挑む。昨夏ベスト8の希望が丘は、右アンダーハンドの山村 晃輝に安定感がある。コーナーを丹念に突く投球で、昨秋は九産大九産・梅野と投げ合いを演じた。秋に北部地区パート決勝まで進んだ常磐や、小倉に延長戦で競り負けた育徳館も力はあり、逆転候補。昨春、軟式から硬式に転換し2年目を迎える大和青藍は、悲願の公式戦初勝利を目指す。
（文・光本宜史）
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