東海大学付属高輪台高等学校(東京)

写真拡大 (全2枚)

 昨秋の東京本大会では4試合で3本塁打、32得点でベスト4の成績を収めた東海大高輪台。東海大高輪台といえば、これまではディフェンスを重視するチームであったが、いかにして打撃型チームに変貌したのか。今回はその理由に迫りつつ、東海大高輪台が行っている打撃練習の内容を紹介していく。その内容はとても実践的なものだった。

ティーバッティングの前に素振りを大事にする理由

ティーバッティングの指導をする宮嶌 孝一監督(東海大学付属高輪台高等学校)

 もともと投手力、守備力がウリだった東海大高輪台が打撃力に転換した理由は、打てないことによる負けが多いという、シンプルなものだった。守備をウリとしていく野球は基本線としながらも、チームを率いる宮嶌 孝一監督は「バットを振れる選手」を使っていくことを選手たちに明かした。その結果、選手たちの取り組みも変わってきたという。

「今年の選手たちは例年の代と比べると、自主練習中の打撃練習に割く時間が増えてきました。いつまでやるの?と思わせる選手も出てきたほど。平日はバスで学校まで帰らないといけないので、21時までに乗れるよう制限もしています」

 バットを振り込む選手が多くなったが、チームとして目標となる振り込み数を設けているかというと、そうではない。選手たちは自主的に振るようになり、むしろノルマを設けていた時よりも振っているように感じられるという。ここに、強打を作り上げた一因が垣間見える。

 東海大高輪台の打撃練習の基本は、フリーバッティング、バックネット裏にめがけて打つ逆ゲージ、ティーバッティング、ロングティー、素振りの5種類。冬の期間から対外試合禁止期間明けまで、選手たちは金属バットを使わず、木製バットで打撃練習をしている。その中でも最も大事にしているのが素振りで、心掛けているのは、「自分のインパクトに対して無駄なく、そして加速したスイングができるか。それは素振りでしっかりと作り上げることです。振る力を一番付けるのはこの時期です。その前提があって、フリー打撃、ティー打撃とボールを打つ作業に入っていきます」

 東海大高輪台の強打を作り上げた練習法は、まず素振りから入って、自分の形を確立するというもの。そしてティーバッティングは自分の打つポイントを確立するのが目的だ。

「キレの良い変化球、速球に対応するためには構え遅れないことが大切です。構え遅れてしまうと、振り遅れるだけではなく、ボールをしっかりと待てません。そしてインパクトまでヘッドが下がったスイングになれば、無駄があり、的確に捉えることができません。構え遅れせず、ヘッドが内から出て、そしてインパクトまで加速がしっかりとできて、無駄のないスイング。これは素振りをしないと出来上がりません。

 ティーバッティングをすることで打つポイントを明確になっていきますが、この時、全力で振って打ちミスをしないことが基本。80パーセントぐらいの力でやる選手もいますが、それは違うと選手たちに説明をしています」

 宮嶌監督は特別なティーバッティングをやっていないと語るが、ティーバッティングの目的を理解して取り組めるかどうかで、効果は変わってくるだろう。では東海大高輪台はどんなティーバッティングを実践しているのだろうか。動画を交えながら解説をしていきたい。

[page_break:東海大高輪台が実践するティーバッティングを動画で紹介!]東海大高輪台が実践するティーバッティングを動画で紹介!