今年の夏は、まさに「記録的な暑さ」だ。

東京都心では、観測140年史上で最長となる8日連続の猛暑日(最高気温35度以上)を記録。また消防庁によると、7月27日から8月2日の1週間のうち熱中症で救急搬送された人は全国で1万1672人にも達し、2008年に統計をはじめて以来最多となった。

全国各地が酷暑にあえぐなか、これまでのところ、今年になって猛暑日を一度も記録していない都道府県が1つだけある。それは意外にも、「常夏の島」として知られる沖縄県だ。

沖縄の夏が「涼しい」と話題に(hidekioさん撮影、flickrより)

今年の那覇の最高気温は33.8度止まりで、東京(37.7度)や大阪(38.0度)をはじめ、札幌(34.5度)すら下回る。この数字を見ると、いまの沖縄は「日本で一番涼しい土地」といっても過言ではない。

沖縄が日本一涼しいなんて、異常気象じゃないの?

「沖縄が涼しいなんて、異常気象では?」と思う読者もいるかもしれないが、この事態はべつに異常でも何でもない。あまり知られていないが、もともと夏の沖縄は「涼しく、過ごしやすい」ことで知られる土地なのだ。

四方を海に囲まれた沖縄では、湿った海風が常に陸地へ吹き込むため空気が適度に冷やされる。また、東京や大阪などの大都市に比べて「ヒートアイランド現象」による気温の上昇も小さい。

そのため沖縄では、気温35度を超えるような異常な暑さになったことがほとんどないのだ。これまで記録した最高気温は36.1度で、これは47都道府県のなかで最も低い数字である。

また気象庁の発表によると、これまでの90年間で那覇が猛暑日を記録したのはわずか3回だけ。沖縄県全体でも、猛暑日の平均日数は年間たったの0.1日。北海道と並んで全国で最少だ。

ツイッターにも、沖縄への旅行者と見られるユーザーが「地元より涼しい」と、実感のこもった投稿を寄せている。そのいくつかを、抜粋して紹介したい。

上のようなツイートを見ていると、どこか冗談のような「沖縄へ避暑に行ってきます」という言葉も、何らおかしいものに見えなくなってくる。常夏の島・沖縄が、これからは避暑地として有名になる可能性も、大いにありそうだ。