台湾ドラマ「智子之心」の劇中写真=大愛テレビ提供

写真拡大 (全2枚)

(台北 15日 中央社)仏教団体が運営するテレビ局「大愛テレビ」が手掛け、今月10日に放送開始したドラマ「智子之心」が打ち切りとなったことが分かった。ドラマの一部内容について、中国大陸のネットユーザーから「旧日本軍の侵略を美化している」と批判する声が上がったことが背景にあるとみられている。

智子之心は、日本統治時代の1927(昭和2)年に生まれ、第2次世界大戦中、家族の反対を押し切り従軍看護婦として中国大陸・広州に渡ったのをきっかけに、医療活動に生涯を捧げた台湾人女性を描いたノンフィクション。全35回の放送が予定されていたが、2回放送された後、打ち切りが決定した。

テレビ局側は、「心の浄化と社会の安定」を目指してドラマや番組の制作にあたってきたと説明。戦場や第2次大戦に関する描写で波紋を呼んだことは不本意だとしながらも「人々の啓発につながるドラマの制作を望んでいるが、無用な誤解を招くようであれば、あえて最終話まで放送することはない」と強調した。

また、中国大陸の対台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室からの圧力があり、テレビ局の運営母体である仏教団体の大陸での活動に影響が出ないよう、ドラマの打ち切りが決まったと伝えられていることについて、「(圧力は)全くない」と一蹴。だが、台湾のネットユーザーからは「台湾のことまで干渉するなんて、あほらしい」「うんざりだ」などの声が上がっており、テレビ事業を主管する文化部(文化省)も中国大陸からの政治的介入は望ましくないとする立場を示した。

(江佩凌/編集:荘麗玲)