【コラム】ロシアの切符を掴めるか…望みをつないだアッズーリ、威信を懸けてW杯POへ

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 2018 FIFAワールドカップ ロシア・欧州予選グループGのイタリア代表が、何とかプレーオフへの進出を決めた。UEFA EURO 2006以来、イタリアのサッカー力は代表もクラブチームも低下していると言われているが、苦しみながらもW杯に望みをつないだ。

 何といっても大誤算だったのが6日のマケドニア代表戦だった。“残り2戦で2勝する”を合言葉にトリノでマケドニアを迎え撃つはずが、1−1のドローというお粗末な結果だった。このふがいなさに観衆からは大ブーイングが起こった。得点したジョルジョ・キエリーニ(ユヴェントス)が「サポーターのブーイングを受け入れる。平手打ちされても仕方がない」と、ほぼ“負け”を認めてしまったほどだ。

 このキエッリーニやキャプテンを務めるGKジャンルイジ・ブッフォンの話を総合すると、選手たちにとって先月、マドリードで行われたグループ首位のスペイン代表との試合で3−0と完敗したのが、かなり痛手だったという。精神的に立ち直れないほどのショックがプレーにも響き、この日のマケドニアとの引き分けという悪循環となったというのだ。

 しかし、そんなことは言っていられない。プレーオフに出られなければ、そしてW杯出場を逃せばイタリア・サッカー史に汚点を残すことになる。最後の決戦となったアウェイでのアルバニア代表戦では、ジャンピエロ・ヴェントゥーラ監督はアルバニア戦の4−3−3から従来用いてきたスタンダードな4−2−4にフォーメーションを戻した。そして、それが結果的には功を奏した。後半に右FWのアントニオ・カンドレーヴァが決勝ゴールを決めて、チームを勝利に導いた。

 監督は試合後、「プレーオフでは故障の選手たちの何人か健康な状態になっているよう願う」と今回、招集できなかった選手たちの復帰を望んだ。「カンドレーヴァの得点には歓喜することはなかったし、優位に立てて当然だと思った。今日の勝利は重要だった。ただこれは、小さな一歩に過ぎない」と気を引き締めた。スペイン戦の影響についても「選手のうちの何人かは、イタリアはスペインより強いはずだと考えていたようだが、あの結果は我々を10歩も後ずさりさせた」とショックの大きさを口にした。

 プレーオフに臨む8カ国のうち、イタリアは第1グループに入った。11月10日と14日にはギリシャ代表、アイルランド代表、北アイルランド代表、もしくはスウェーデン代表かデンマーク代表と対戦する。強豪のクロアチア代表を避けられたことは大きい。いずれにしても決して油断できない2試合となることは確かだ。

文=赤星敬子