中国メディアの上海観察はこのほど、日系車はなぜか中国人消費者にはあまり人気がないと論じる記事を掲載した(イメージ写真提供:(C)  Shinji Yasui /123RF.COM)

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 中国メディアの上海観察はこのほど、日本を訪れる観光客の間で洗浄便座など一部の製品が高い人気を獲得していることを伝える一方、「日本製品であれば何でも売れるわけではない」とし、「その国の製造業のレベルを映し出すと言っても過言ではない日系車はなぜか中国人消費者にはあまり人気がない」と論じる記事を掲載した。

 記事は、「多くの中国人は流行に流されやすい」とし、数年前は日本を訪れる中国人の多くが魔法瓶を購入していたことを指摘。さらに現在は買い物の対象が洗浄便座に変わったとしつつも、「時間が経過しても日本の家電は高い品質を保ち続けるという“信頼の蓄積”が洗浄便座の売れ行きにつながったのでは」と論じた。

 一方で、中国では「日系車は信頼の高さというイメージがなくなってしまった」とし、かつては「道路がある場所にはトヨタ車がある」というイメージすら存在したとしつつも、「現在の中国において日系車のブランドを聞いて明確なブランドイメージを連想できる消費者はどれだけいるだろうか」と疑問を呈した。

 続けて、長安フォードをはじめとする米国メーカーの自動車には「スポーティーで若年層向け」といったイメージがあり、ドイツ系メーカーには高級車の牽引のもと高品質なイメージがあると紹介。日系メーカーの競合メーカーには明確なブランドイメージがある一方で、日系メーカーが中国で苦戦している背景には「日系車に明確なブランドイメージが存在しないうえに中国市場に対する誠意が欠けているからだ」と主張した。

 さらに記事は、「中国市場に対する誠意」の具体例としてリコールの対応を挙げ、「日系メーカーが米国では迅速にリコールを実施するなか、中国市場では問題になった部品が使用されていないとの理由で自主的なリコールを実施しなかった」事例を紹介。その後、中国当局による催促によって中国市場でもリコールが行われたと指摘、「こうした事例によって日系車の“安全性”や“燃費の良さ”といった良好なイメージが失われてしまった」と主張した。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)  Shinji Yasui /123RF.COM)