「玖瑠美は一番上の長女で、本当にしっかりした、優しい子でした。爆発がなかったら、今でも生きていたと思う……。なんでこんなことになったのか、はっきりしてほしいなという思いです」

【画像】亡くなった大竹さん


 涙で言葉に詰まりながら、「週刊文春」記者に悲痛な胸中を明かしたのは、7月28日に起きた「イオンモール熊本」爆発事故で大竹玖瑠美さん(22)を亡くした母親だ。大地震のあと、一度は助かった命がなぜ、失われてしまったのか。

 7月28日午後4時27分頃に発生し、熊本県で最大震度7を観測した「令和8年熊本地震」。地震後に大爆発が起きたイオンモール熊本(同県嘉島町)では、テナント(専門店)従業員計7人の死亡が確認された。


爆発したイオン ©文藝春秋

あの時、無理にでも止めていたら…

 大竹さんは爆発の犠牲者の1人で、当日はテナントの雑貨店で勤務していた。今回、悲しみに暮れる大竹さんの遺族が「週刊文春」の取材に応じ、重い口を開いた。

「玖瑠美は地震後、館内から避難して家族に『大丈夫』と連絡していました。それなのに再び館内に戻り、爆発に巻き込まれた……。私たち身内は無念で、悔しい気持ちでいっぱいです」

 そう語るのは、亡くなった大竹さんの親族男性だ。憔悴しきった表情で続ける。

「あの日『クレア』(イオンモール熊本の地元での愛称)には玖瑠美のおばといとこも来ており、3人は避難した駐車場で顔を合わせたそうです。その際に玖瑠美は『レジの売上を金庫に入れに行かんといかん』と告げて、館内に戻ろうとした。おばといとこは止めましたが、結局、同僚と2人で『会社の人に頼まれたから』と言って店に戻った。これが最期になってしまいました。私たち親族は『あの時、無理にでも止めていたら……』と胸を痛めています」

 避難した際、玖瑠美さんは母にLINEで身の安全を報告していた。しかし爆発後、連絡が途絶える。既読はつかず、電話にも応答がない。スマホのGPS追跡アプリ「whoo」で母と共有していた位置情報は、イオン館内を示したまま動かなくなった。

「すぐに親族一同で駆けつけました。『スマホを中に置き忘れただけかもしれない』と祈りながら、夜通し続いた救助作業を見守っていました」(同前)

 だが、消防関係者から告げられたのは、無情な知らせだった。

「大変残念な結果ですが、遺体は大竹玖瑠美さんで間違いないと思います。店の近くに二人の女性が倒れていて、その付近から大竹さんの身分証が見つかった」

 身元はDNA型鑑定によって特定され、大竹さんと同僚女性であることが確認された。

 ◇ ◇ ◇

父を亡くしてからは、長女として家族を支えた

 22歳の若さで亡くなった大竹さんについて、親族の男性はこう表現する。

「玖瑠美は3人きょうだいの長女で、年齢的にも一番上でした。弟や妹の面倒見もよく、友人たちからも愛されていた。とても明るく、気さくで、いつもニコニコしている、そんな子ですよ。本当にしっかりした、いい子でした」

 熊本県出身で、高校卒業後は地元企業に就職した。3年前に父を亡くしてからは、長女として家族を支えた。

「父が亡くなったあと、ようやく家族が前を向いて立ち直ろうとしていた。そんな矢先に起きたのが、今回の出来事です。実家で暮らしていた玖瑠美は、母をはじめ、家族を支える存在でもありました」(同前)

 ごく普通の、今風の若者でもあった。

「玖瑠美はアイドルのファンで、『推し』はHey! Say! JUMPの山田涼介くんとSixTONESの京本大我くん。11月にコンサートがあると言って、航空券などをセットで予約していたようです。とても楽しみにしていたのに……」(同前)

親族男性が明かす「取材に応じた理由」

 遺族には今回、取材に応じた明確な理由があるという。

「遺族として、なぜ亡くなったのか、まだ納得できていません。こうして実名と顔写真を提供することで、真相究明に近づきたい。今後は同じような事故が起こらないようにしたいという思いもあります」(同前)

 冒頭で涙ながらに言葉を紡いだ玖瑠美さんの母も、次のように話している。

「このままじゃ玖瑠美が報われないと思うから、しっかりと原因究明をしてほしいという気持ちです」

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「週刊文春」では、令和8年熊本地震に関する取材を続けています。情報提供は文春リークスまでお寄せください。

(「週刊文春」編集部/週刊文春)