被害者が事件前まで友人たちといた駅前(新潮社2001年撮影)

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【写真】頭から毛布をすっぽり…逮捕された34歳男の姿 雑然とした自宅の様子も

後から来た別のトラックに轢かれ

 2001年7月24日夜、兵庫県の高速道路を走っていたトラック運転手の兄弟が、路上に倒れている12歳の少女を見つけた。驚いた2人が近づこうとすると、車から飛び降りた後とみられるその少女は、新たに来た別のトラックに轢かれてしまう。しかも、少女の両手首には手錠がはめられていた。

 一体なぜ、この場所でこんな時間に倒れていたのか。手錠は誰がはめたのか。謎多き悲惨な事故の真相究明に向け、所轄署の捜査本部はあらゆる方面から容疑者を絞り込んでいった。そしてついに34歳(当時)の男を逮捕。だが、警察の会見で明かされたその男の素性に、報道陣からは驚きの声が上がった――。「週刊新潮」のバックナンバーで事件を振り返る。

被害者が事件前まで友人たちといた駅前(新潮社2001年撮影)

(全2回の第1回:以下、「週刊新潮」2001年8月9日号を再編集しました)

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両手に手錠がかけられていた

「ちょうどあの時は、兄と2台の車を連ねて走っているところでした。前方の兄の車が障害物を避けるように右に膨らんでから、500メートルほど通り過ぎたところで路肩に車を停車しました。私も、何なのか確認しようと思って停車したのです。

 兄は最初人形と思ったらしいが、とにかく戻り、近づいて暗闇の中で目を凝らした。その時、後方からトラックが走って来てそれを轢くと、“プチュ”という音がしたのです。うつ伏せのまま倒れている人間でした。しかも、まだ息があるらしく、かすかに動いていました」

 こう振り返るのは、第一発見者のトラック運転手である。

 大阪市に住むAさん(12)が高速道路で発見されたのは2001年7月24日のこと。中国自動車道の下り3車線の路肩に放置されていたところを走行中のトラックが発見し、午後10時36分に110番通報したのだ。

「怖くてまともには見られませんでした。しかも、救急隊員がやって来てタンカに女の子を乗せる時にはゾッとしました。うつ伏せになっていたのを仰向けにしたのですが、その両手には手錠がかけられているではありませんか。声も出ませんでした」

防災用の金属カッターで鎖を切断

 Aさんは病院へ運ばれたが、担当医師もこう話す。

「病院に到着した時にはすでに心肺停止状態でした。後頭部が頭蓋骨骨折してパカッと割れ脳挫傷を起こしていた。左膝の上から脚の付け根までの大腿部の皮膚と肉がめくれ複雑骨折していました。左脚の傷はトラックにひき逃げされた時に負ったものに間違いないでしょう。だが、なにより異様だったのは両手に手錠がかけられていたこと。うちは救急病院なので、急患はしょっちゅう運ばれてきますが、もちろんあんな姿は初めてでした」

 手錠は金属製のかなり頑丈なものだったという。

「一見して単なる玩具ではありませんでした。彼女はお腹の前で両手に手錠をかけられ、25センチほどのチェーンでつながれていました。この状態では治療できないが、いくら引っ張ってもビクともしない。仕方なく、阪神大震災後に用意していた防災用の金属カッターで鎖を真中から切断したほどでした」(同)

 翌25日午前2時58分、出血多量で死亡。被害者のAさんは、この4月に大阪の市立中学に入学したばかりだった。手錠をかけられた姿といい、被害者の年齢といい、なんとも謎めいた事件。ついこの間まで小学生だった12歳の少女の身に、一体、何が起きたのか。

 兵庫県警は発見現場の所轄署に捜査本部を設け、殺人事件として捜査を開始。Nシステム(車両ナンバー自動読取装置)を駆使し、この時刻に中国自動車道の下り車線を通行した528台の車両を割り出す他、彼女の交遊関係を徹底的に調べているという。

7人グループで盛り場を徘徊

 Aさんの家族は両親ときょうだいだが、次女のAさんと長女だけは昨年11月から自宅を離れ、児童養護施設で暮らし始めた。

「どうやらお父さんとの折り合いが悪かったようです。お父さんは心臓が弱くて仕事ができなくなったそうです。それで生活が荒れ、子供たちに当たり散らしていたらしい。Aちゃんはそうした家庭環境に耐え切れなくなったのかもしれません。お姉さんと2人で自ら児童相談所を訪れ、施設に入ったのです」

 とはAさんの知人の話(編集部注:「新潮45」編集部編『殺ったのはおまえだ―修羅となりし者たち、宿命の9事件』[新潮文庫]は性的虐待の存在を指摘している)。

 中学入学後は施設から学校へ通っていたが、素行には問題があったという。

「本人は明るくていい子ですが、付き合う連中が悪かったのと違いますか。公園で似たような歳の子供たちとよくタムロしていたけど、タバコを吸ったり騒いだりしていました。みんなまだまだ子供なんやけど、ガラが悪うて近寄れへんかったですわ」(近所の住人)

 もっぱら小学校時代からの同級生や先輩など、10代の男女7人でグループをつくり、施設を抜け出しては、駅や付近の盛り場にあるゲームセンターなどを徘徊していたらしい。

 夏休み前の7月16日には、“歯医者に行く”といったまま施設に帰って来なかった。施設は警察に保護願を出したが、後に母親から帰宅の知らせが入ったため、両親や児童相談所と相談した結果、夏休みも近いのでそのまま自宅へ戻すことにした。

テレクラ遊びは小6から

 その数日後、Aさんは19日の1学期の終業式に欠席し、23日には母親と喧嘩して家から飛び出した。

「23日午後5時頃には、7人グループでタムロしている姿を友人に目撃されています。7時頃には、彼女は近所のファミリーレストランの駐車場で父親に見つけられ、慌てて逃げ出しています。履いていたスリッパを脱ぎ捨てて裸足で逃げ出しているが、実はこの間、彼女たちはテレクラで知り合った男と会っていたようなんです」

 こう打ち明けるのは、ある兵庫県警の関係者だ。

「グループのメンバーによれば、彼女たちがテレクラ遊びにのめり込み出したのは、昨年6月頃からだそうです。彼女がまだ小学6年生の頃ですが、近頃の非行少女の間では小学生のテレクラ遊びも珍しいことではないのかもしれません。知り合った男性とデートをすることもしばしばだとか。実にアッケラカンとして話をするのです」

 今時の女の子がいかに早熟とはいえ、小学生でテレクラ遊びとは驚くばかり。相手はほとんどが成人男性だという。が、しょせんまだ子供。タチの悪い相手にかかったらひとたまりもない。

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 事件発生から約1カ月半後に逮捕された男は――。第2回【夜の高速で轢死した「両手に手錠の12歳少女」…ついに逮捕された「34歳男」 警察会見で報道陣が驚きの声を上げた“納得の理由”】では逮捕された犯人の素顔やその後の公判について伝える。

デイリー新潮編集部