「監督どうにかしろよ」と身内にも届く批判。W杯サッカー日本代表・森保監督の次男が語る、家族だけが知る「父の素顔」
6月11日に開幕する2026FIFAワールドカップ大会。過去最強の呼び声高い日本代表を指揮する森保一監督にとっては、就任8年の集大成ともいえる大会。自身もサッカー選手だった次男の森保圭悟さんに、サッカーや父への思いなどを聞きました。
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家族のLINEグループに「監督就任」の連絡が
── 2018年、お父さんが日本代表監督に就任されることが決まった際、ご家族のLINEグループに「迷惑をかけるかもしれない、影響出るかもしれないけど、チャレンジします」と連絡が入ったそうですね。その一報をご覧になったときは、「よくあの大変な役割を引き受けたな」という驚きのほうが大きかったと伺いました。
森保さん:当時はフィリピンのプロチームに所属して現地でプレーしていた時期でした。親父から事前に知らされていたわけではなかったのですが、その前からメディアで盛んに監督就任の報道がされていたので、なんとなく「やるんだろうな」と察していました。
だからLINEで連絡が来たときは、「やっぱりニュースは本当だったんだ」と受け止めましたね。嬉しさというよりは、「よく引き受けたな」という気持ちのほうが強くて。僕自身もずっとサッカーをやってきたので、日本代表監督というポジションの重みや国を背負って戦うことの尋常ではない過酷さはわかっているつもりです。だからこそ、父がこれから直面するプレッシャーの大きさを想像すると、あえてチャレンジしにいく姿勢に対して、純粋に「すごいな」と圧倒されました。
── 代表監督という立場は、ひとつの勝ち負けのたびに日本中から評価も批判も一身に受けます。息子である圭悟さんのもとにも、お父さんの指揮に対する厳しい言葉が届くことがあるそうですね。
森保さん:親父が代表監督になった当初は、まだYouTubeで活動してなかったので、そこまで考えていませんでした。ただ、活動を始めて多くの人の目に触れるようになれば、そういう反応もあるだろうなとは思っていました。前回のワールドカップでスペインやドイツに勝ったときは称賛の声が多く届いたいっぽうで、最終予選で結果が出なかった時期には「監督をどうにかしてくれ」「やめさせろよ」といった厳しい言葉もありましたね。
もちろん個人的には「頑張ってほしい」という気持ちはあります。ただ、僕がどうこうできるものではありませんし、プロの世界では結果によって評価が変わるのは当たり前です。勝てなければ進退を問われることもある。そこは、受け止めるしかないと思っています。
── 同じ勝負の世界を知るプロの視点で捉えているのですね。森保家は父親が日本代表監督で、長男の翔平さんはJリーグで、圭悟さんも海外でプレーし、弟の陸さんも強豪大学でサッカーを続けてこられた「サッカー一家」です。家族で集まるときは、サッカー談義に花が咲いたりするのでしょうか。
森保さん:いや~、あまりサッカーの話をした記憶はなくて。家族で集まると、お互いの近況を話していることが多いです。親父とは、最近はもっぱら僕の息子の話が中心ですね。代表戦の後でも、試合内容について話すことはほとんどありません。僕自身、自分のサッカーに口を出されたら「うるせえなぁ」と感じるタイプなので(笑)。親父には親父の、僕には僕のスタイルがありますし、そこはあえて介入しない距離感ですかね。
家ではギャグを飛ばす親父もテレビの向こうでは
── 森保監督といえば、試合中どれほど劇的な展開になっても感情を表に出さず、淡々と振る舞う姿が印象的です。ご家族の前でも、あの雰囲気は変わらないのですか?
森保さん:家ではふつうにふざけていますよ。親父ギャグも言いますから(笑)。テレビで見る親父は、やっぱり代表監督としての顔なんだと思います。ただ、昔から責任感は強い人でした。現役時代もチームのキャプテンを任されることが多かったですし、後輩の選手を家に連れてきて食事を振る舞ったり、もてなしたりすることもありました。兄貴肌というか、面倒見がいいタイプですね。
試合中の姿でいうと、僕とは真逆です。僕は感情が出やすいタイプなので、もし代表監督をして劇的な勝ち方をしたらガッツポーズして走り回っていると思います。でも親父は、そういう場面でも表情を大きく変えない。そこはぜんぜん違いますね。
いっぽうで、何でもチャレンジするところや、一度決めたら前に突き進むところは似ているのかなと思います。親父の昔を知る友人からは「若い頃はけっこうやんちゃだった」と聞いていますし、僕もどちらかといえば同じタイプ。3兄弟のなかでは、僕が一番親父の性格を色濃く継いでいる気がします。
── YouTubeチャンネルの活動を始めてから約2年間、森保監督の息子であることは伏せていたそうですね。名前を出せば早く注目を集めることもできたはずですが、あえて公表しなかったのはなぜですか。
森保さん:最初2年くらいは完全に隠して、公表していませんでした。親父の名前ではなく、まずは自分の力だけでどこまで通用するのかをたしかめたい思いがありました。ただ、長く続けているうちに伏せたままでは通らなくなっていきました。とくに親父が日本代表監督になってからは、「息子の生活に密着させてほしい」といった依頼もいただくようになって。そこまでくると、さすがに「もう隠し通せないな」と思い、公表することにしたんです。
いつかは動画で親子共演を果たしたい
── 森保監督は、日頃から圭悟さんのYouTubeチャンネルをご覧になっているのですか。
森保さん:以前はけっこう見てくれていたみたいですけど、最近はさすがに忙しくて見ていないと思います。ただ、母経由で「あの動画見たよ」と、たまに言われたりはしますね。母はかなりひんぱんに僕たちの配信動画を見てくれているので、そこから伝わっているみたいです。
── いずれは、動画で親子共演、といった期待もしてしまいますが…。
森保さん:代表監督を務めている間はさすがにないと思いますけど、現役の仕事がひと段落ついたら、もしかしたらあるかもしれませんね。昔から年末年始には一緒にボールを蹴ったりしていたので、また以前のような自然な形で、動画でも一緒に何かできたらいいなというくらいの気持ちではいます。
── お父さんは日本代表監督として、圭悟さんたちはYouTubeの配信を通して。それぞれの形でサッカーに関わり続けているのですね。
森保さん:今、こうしてお互いに違ったアプローチでサッカーに関わることができているのは、すごく嬉しいですね。進む道は違っても、サッカー界に貢献したい根底の思いは共通していると思っています。
── いよいよワールドカップも開幕します。
森保さん:そうですね。親父には親父らしく戦ってきてほしいなと。僕も、ひとりの代表ファンとして応援させてもらいます。
取材・文:西尾英子 写真:森保圭悟
