新たな日本市場向け自動車ブランド『エムタ』発表! 軽乗用EVを来年投入予定【BYDラッコのライバル?】
日中5社の出資により誕生
今年デビュー予定の新型車で話題になっている1台が、BYDの軽乗用EV『ラッコ』だ。発売日は7月28日に決まり、現在は車両価格当てキャンペーンを実施している。
【画像】EMTの日本市場向け自動車ブランド『EMTA(エムタ)』が発表会を開催! 全24枚
ここにさらなるライバルが登場することが明らかになった。

EMTの日本市場向け自動車ブランド『EMTA(エムタ)』が発表された。 EMT
といっても既存メーカーではない。昨年横浜に設立された『EMT』(エレクトリック・モビリティ・テクノロジーの略)が、5月27日に行われた事業・ブランド発表会で、日本市場向け自動車ブランド『EMTA(エムタ)』を発表するとともに、来年まず軽EVを市場投入すると表明したのだ。
EMTって何者? と思う人も多いかもしれない。同社はわが国のオートバックスとアネスト岩田、中国の奇瑞汽車(チェリー)、国軒高科(ゴーション)、悦達集団(ユエダ)の5社の出資により誕生した。
代表取締役CEOの何暁慶氏は、中国の自動車業界で40年以上の経験を持ち、経営幹部を歴任。一方CTO(最高技術責任者)の山本浩二氏、CMO(最高マーケティング責任者)の打越晋氏はいずれも、日本の自動車業界で活躍してきた。
チェリーの創立は1997年と、30年近いキャリアを持ち、昨年の販売台数は約280万台に達し、同国のベスト5に入っている。特筆すべきは、早くから輸出に力を入れていたことで、輸出台数ではトップを独走している。最近では日産の英国工場で、チェリーの同国向け乗用車の委託生産検討の覚書を締結したというニュースもあった。
こうした背景から考えると、チェリーがオートバックスと組んで日本に進出するという予想が成り立つが、実際にはチェリーは商品や技術のノウハウは供与するものの、生産は中国内の他社に委託し、バッテリーはゴーション製を使用。オートバックスとは販売面での検討を進めているという説明だった。
ブランド第一弾は軽EV
さらに車両開発や生産ラインの構築、上陸後のPDIなど、主要な部分はすべて日本人が担当することで、安全面や品質面を日本車レベルにしていくことも紹介された。「将来は日本で生産したい」というコメントも聞かれた。
発表会では、2029年までに4車種を投入していくこともアナウンスされた。第一弾となるのが軽EVで、外観写真も公開された。残り3車種はシルエットのみだが、いずれも軽より大きな車格になるようだ。

エムタ・ブランドの第一弾となる軽EV。2029年までにあと3車種投入される予定。 EMT
ブランド名のEMTAは、『Easy, Made to All』を語源としており、『すべての人の日常を幸せにする』というパーパスを掲げている。その価値を最大化するキーワードとして挙げられたのは、『ちょうどいい』、『楽』、『wow』の3つだ。
技術面では、『ちょっとホッとする、気分が少し上がる魔法をクルマに乗せて』という意味を『デイリーマジック』と表現し、マジックSDV、マジックシンク、マジックEV、マジックドライブという4つのポイントを紹介した。
具体的には、マジックSDVではフルスタックOTA、マジックシンクではスマートフォンとの統合制御、マジックEVではV2X・V2L対応、マジックドライブではAIが主体となるE2Eレベル2高度運転支援システムや自動駐車システムを搭載するという。日本の軽自動車より電脳化に踏み込んでいるという印象だ。
一方、販売方法としては、マジックスポットとマジックコネクトという2つのキーワードを挙げた。マジックスポットはディーラーだけでなく、ショッピングモールでの小型拠点や体験型スペースなどでもクルマと接してもらうこと、マジックコネクトはユーザーの情報がディーラー、アプリ、コールセンター、サービス拠点などに自然に引き継がれる構想のことだ。
第一号車の価格はエンジン車も含めて検討
昨年テスラが大きく販売台数を伸ばしたのは、マジックスポットと同じように、ディーラー以外にショッピングモールなどへ小さなショールームを用意したことが理由と言われている。そしてマジックコネクトのような手法は、ネットショッピングの分野では一般的なことである。
とりわけ後者のような取り組みは、日本はネガなイメージを持つユーザーも多いようだが、スマートフォンは多くの人が利用し、人によっては相応のレベルで使いこなしているわけで、現状に見合った電脳化や知能化を盛り込んでいくのは、むしろ自然なことではないかと感じた。

左からEMTのCTO山本浩二氏、CEO何暁慶氏、CMO打越晋氏。 森口将之
とはいえEMTでは、ただ技術を誇示するのではなく、ユーザーの身近な課題に寄り添い、安心と心地よい驚きを届けていくブランドを目指していくことも付け加えていた。
第一号車の軽EVの価格は、同クラスのEVだけでなく、エンジン車も含めて検討するとのこと。
日本の会社とはいえ中国の、それも出資企業ではない工場で作られることに不安を持つ人はいるかもしれない。しかし現実には、このような事例は多い。
僕が所有しているルノー・トゥインゴも、スロベニアの子会社Revozの生産拠点で作られたものだ。二輪車に話を広げれば、今や400cc以下のモデルは日本車、輸入車を問わず、タイやインド生産が一般的である。
そもそも今の日本は人口が減少しているのだから、国内製造にこだわったところで、作る人は外国人が多くなっていくはず。もう日本か外国かという区分けをする時代ではないと思う。新しいものづくりのかたちを進めようとしているエムタに、注目していきたい。
