ポッドキャスターの新たな悩み「 解約 」はどこまで防げるか。横断プロモから年間割引まで

記事のポイント
ポッドキャスターは解約率の低減を最重要課題とし、番組間の横断プロモーションやバンドル戦略を強化している。
年間割引や無料フィードの提供など、サブスクライバーを維持するための価格戦略が各社で導入されている。
解約率が高い傾向にある番組カテゴリーが特定され、リスナーの定着を促す新たな機能の導入が進められている。
ポッドキャスターは解約率の低減を最重要課題とし、番組間の横断プロモーションやバンドル戦略を強化している。
年間割引や無料フィードの提供など、サブスクライバーを維持するための価格戦略が各社で導入されている。
解約率が高い傾向にある番組カテゴリーが特定され、リスナーの定着を促す新たな機能の導入が進められている。
ポッドキャストサブスクリプション事業は成熟しつつある。ポッドキャスターはこの収益源を開拓し続けるなかで、パブリッシャーが何年も取り組んできた課題に直面している──そう、「解約」だ。
「解約率1%未満」を目指すには
解約の問題は、「優先順位が高まりつつあるのは確かで、長年続いているサブスクリプションの一部については特にそれが言える」と、スレート・グループ(Slate Group)傘下のポッドキャストサブスクリプションホスティング企業、サポーティングキャスト(Supporting Cast)の創業者兼CEOデビッド・スターン氏は語る。
スターン氏によると、サブスクリプションの1年目は、月間解約率が1%未満であるべきで、0.5%を下回ることが理想だという。約5〜10年続いたサブスクリプションについては、月間解約率が3%未満であるべきだ、と同氏は付け加えた。
オンエア・フェストの分科会セッションで、あるポッドキャスト担当幹部は、解約に対応するために行っている取り組みのひとつが、番組のプロモーションを別の番組のチャンネルに追加し、サブスクライバーが関心があるかもしれないほかのポッドキャストについて聞けるようにすることだと述べた。
「アルゴリズムで提供するような技術は何もない(中略)少なくとも我々にとっては」と、彼らは言う。「我々は、人々が常にもっと戻ってくるようにそれらの点と点を結びつける方法の解明に努めているが、非常に手作業での対応となる」。
継続の鍵はリスナーの習慣化
ソニー・ミュージックエンターテインメント(Sony Music Entertainment)でエグゼクティブバイスプレジデント兼グローバルポッドキャスト担当責任者を務めるスティーブ・アッカーマン氏は分科会セッションで、同社は、解約を減らす目的もあって、実際にあった犯罪がテーマのポッドキャストをバンドルしたサブスクリプションサービス「The Binge」を2024年秋にリブランドしたと語った。バンドルに含まれているコンテンツすべてをサブスクライバーにとってより明確にし、ポッドキャストを登録して聴く時に、現在提供されているほかの番組がわかるようにするという発想だった。The Bingeでは毎月、新シリーズを公開している。
ポッドキャストサブスクリプションサービスを提供するデンマークのスタートアップ、ポディモ(Podimo)は2月下旬、ポッドキャストのサブスクライバー数が100万人の大台に達したと発表した。ポディモの最高コンテンツ責任者であるサチン・ドシ氏はDIGIDAYに対し、サブスクライバー基盤の60%を6カ月間維持することを目標にしていると語った。そうした戦略の一環で、ポディモは、自社アプリでのコメントや投票など、番組のメインエピソード間により多くのコンテンツを提供している。ドシ氏はポディモの解約率を明らかにするのを避けながらも、「解約率は適切だが満足はしていない」と述べた。
「週に3日聴いてもらえれば、かなり安泰だ。時間も重要だが、何度も聴き直してもらうことが重要だ。再びアクセスして聴いてもらう日数が、定着の度合いをもっとも示している」と、ドシ氏はオンエア・フェストの分科会セッションで語った。
「2カ月無料」と番組フィードの活用
解約の低減を目指す取り組みのひとつは年間割引の適用で、多くの場合は、年間サブスクリプションのうち2カ月以上が無料となる、とスターン氏は言う。サポーティングキャストが採用しているほかの戦略は、解約したサブスクライバーが追加したサブスクライバー専用の番組フィードを、無料の広告付きバージョンのフィードに自動的に置き換えるというものだ。ホストによるプロモ―ションは、再加入してサブスクライバー限定の特典の入手をリスナーに促すミニエピソードの形を取り、特典はサブスクリプションの値引きの場合もある。
サポーティングキャストは、「Appleポッドキャスト(Apple Podcast)」やYouTube Musicのように、プライベートRSSフィードを持つポッドキャストアプリでこれを行うことができる。一方、Spotifyにはそうした機能がないが、ポッドキャスターがポッドキャストの無料のフィードやバナーに有料エピソードを挿入して、無料リスナーを有料コンテンツに誘導することができる。
サポーティングキャストは、特定のカテゴリーのコンテンツが高い解約率と関連していることを発見した。具体的には、季節限定またはシリーズ物の番組や、オーディエンスが比較的新規であるインフルエンサー提供の番組は、常設の番組と比べて解約率が高い傾向がある。
解約を防ぐ「柔軟なプラン」も
別のポッドキャストサブスクリプションのホスティングプラットフォーム、スーパーキャスト(Supercast)は、解約対策のツールとして、サブスクライバーがプランを最長3カ月中断できる機能や、有料リスナーをつなぎ止めるための特別価格の提示といったものを提供している。
パトレオン(Patreon)は2023年6月に、有料会員になる気がないリスナーと、有料会員を一時中断したいサブスクライバー(番組の新シーズンを聴くために契約し、その後は解約するサブスクライバーなど)の両方に向けて無料会員制度を導入した。パトレオンの広報担当者によると、潜在的なサブスクライバーを特定して初月の割引をメールで通知する「オートパイロット(Autopilot)」といったクリエイター向けツールを提供しているという。
サポーティングキャストとパトレオンの幹部は現在、ポッドキャスターが解約を低減するのに役立つさらなる機能をテスト中だと語った。
[原文:How podcasters are tackling the challenge of subscriber churn]
Sara Guaglione(翻訳:矢倉 美登里/ガリレオ、編集:戸田美子)
Illustration by Ivy Liu
