ただし、注意点がひとつ。「緊急連絡先」は、原則として配偶者や家族になる。命に関わる事態や重大事件の際は、どうしても家族に連絡がいってしまうのだ。この点だけは、覚悟しておく必要がある。

◆人生を狂わすほどのリスクも…

 不倫旅行。その言葉には、刺激的な魅力とハラハラするような危険が同居している。

 旅行会社は、訳アリかどうかを問わず、内容を申込者本人以外に伝えることはない。しかし、不倫が疑われて探偵による調査が入ったり、大きな事件の可能性があり警察が動いてしまえば、手配する旅行会社側の秘密保持や配慮もほとんど意味をなさなくなってしまう場合もある。

 もちろん、本人や不倫相手の言動によって家族にバレてしまうこともゼロではない。
 
 例えば、家族旅行では行っていないはずの土地の思い出話をしたり、うっかりSNSへ投稿してしまったりするなど、思わぬところから疑惑が浮上する。さらに、クレジットカードの明細や、スマホの位置情報など、テクノロジーの発達により以前よりも発覚のリスクが高まっていることも事実だ。
 
 裏方として旅行会社ができるのは、プランの相談から帰宅までのやりとり。そこまでは最善を尽くすが、プライベートの部分は本人たちにかかっている。
 
 当時、不倫旅行の予約で来店していた方は、ずいぶん前から来ていないらしい。破局したのかバレてしまったのか……。その恋の行方はスタッフ一同知らないようだ。
 
 不倫旅行は胸が高まるかもしれない。しかし、その裏には人生を狂わすほどの危険も潜んでいる。

<取材・文/小林さえ>