カナダ・マニトバ州の廃棄物処分場プレーリーグリーンのフェンスに結び付けられた犯罪被害に遭った先住民女性を象徴するリボン(2024年4月29日撮影)。(c)Sebastien ST-JEAN / AFP

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【AFP=時事】カナダの裁判所は28日、マニトバ(Manitoba)州ウィニペグ(Winnipeg)で先住民女性4人をレイプして殺害した上、遺体を切断してごみに出したとして第一級殺人罪で有罪判決を受けていた男に終身刑4回を言い渡した。

 ジェレミー・スキビッキ(Jeremy Skibicki)被告(37)側は、精神の障害により責任能力が制限されていたと主張していたが証明できず、先月、第一級殺人罪で有罪判決を言い渡された。

 グレン・ジョヤル(Glenn Joyal)判事は判決文で、スキビッキ被告を「残忍暴虐」と非難し、25年間仮釈放の可能性がない終身刑4回の同時執行を言い渡した。

 現地メディアによると、ジョヤル判事は29日に法廷で、「(判決は)残念ながら、これらの罪の重さとあなたの道徳的有責性を十分に反映していない」と付け加えた。

 裁判によると、スキビッキ被告は、2022年3月〜5月にホームレスシェルターで出会った先住民女性たちを標的にした。

 被告は女性たちを自宅アパートに連れ帰り、性的暴行を加えた後、絞殺したり浴槽で溺死させたりした。さらに、遺体に対しても性的行為に及んだ。

 被害者4人のうち、モーガン・ハリス(Morgan Harris)さんとマーセデス・ミラン(Marcedes Myran)さんの遺体は、ウィニペグ市の北にある廃棄物処分場に運ばれたとみられており、今も捜索が続いている。3人目の被害者、レベッカ・コントワ(Rebecca Contois)さんの遺体の一部は、別の廃棄物処分場とウィニペグ市内のごみ箱から発見された。

 スキビッキ被告が殺害を自供した4人目の被害者は20代とされるが、身元は明らかになっておらず、遺体も見つかっていない。地元の先住民の指導者たちは4人目の被害者に「Mashkode Bizhiki'ikwe(バッファローの女)」という名前を与えた。

 カナダでは先住民女性の殺害と失踪が横行しており、2019年に公表された全国調査の報告書では「ジェノサイド(集団殺害)」と表現されている。多くの人々は本件について、こうした先住民女性の苦境の象徴だと見なしている。

 先住民女性は、カナダの全女性人口の5%を占めるにすぎないが、フェミサイド(女性や少女を標的とした殺人)の被害者の約20%を占めている。

【翻訳編集】AFPBB News

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