ベトナム・クアンガイ省ソンミ(ミライ)村にある虐殺事件の犠牲者の慰霊像(2018年3月15日撮影)。(c)NHAC NGUYEN / AFP

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【AFP=時事】ベトナム戦争(Vietnam War)中の1968年に起きた「ソンミ(ミライ)村虐殺事件(My Lai massacre)」に関与した将校の中で唯一、軍法会議で有罪判決を受けたウィリアム・カリー(William Calley)元米陸軍中尉がフロリダ州ゲーンズビル(Gainesville)で死去していたことが分かった。80歳。米紙ワシントン・ポストが29日、報じた。

 亡くなったのは4月28日で、公文書を調べて明らかになったという。

 ソンミ村虐殺事件は米軍史上、最大の暗部の一つとされる。

 1968年3月16日、南ベトナム解放民族戦線、通称ベトコン(Viet Cong)の兵士が潜伏しているとの誤報を基に、当時24歳だったカリー中尉は当時の南ベトナムのクアンガイ(Quang Ngai)省ソンミ村で村人の殺害を部隊に指示。兵士らは、武器を持っていない多数の村人を拷問、強かん、虐殺した。

 ソンミ村での事件について米軍は、1年以上公表しなかった。

 死者数をめぐってはいまだに論争が続いているが、米軍の推定によれば、347人から504人。多くは子どもや女性、高齢者だった。

 カリー氏は軍法会議にかけられ、起訴されていた将校らの中で唯一、22人の非戦闘員を殺害したとして有罪となり、終身刑(懲役)を言い渡された。しかし数日後には、当時のリチャード・ニクソン(Richard Nixon)大統領の命令で減刑され、3年間の自宅軟禁の後、釈放された。

 釈放後はジョージア州コロンバス(Columbus)に居を構え、ほとんど目立つことなく生涯を過ごした。

 2009年の地元紙の報道によれば、地元団体の集まりでカリー氏は「あの日、ミライで起きたことについて、後悔しない日は一日もない」と述べていた。

【翻訳編集】AFPBB News

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