18日、都内で「世界最短投影距離」で使える液晶プロジェクターを発表する三洋電機の野中会長(右)。(撮影:吉川忠行)

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経営再建中の三洋電機<6764>は18日、78センチあれば画像が映し出せる世界最短の投影距離を実現した液晶プロジェクター「LP-XL40」を10月に発売すると発表した。

 同製品は、80インチの大画面を映すのに、従来品で約300センチ必要だった投影距離を約100センチと3分の1に短縮。同一の投影距離(100センチ)で、従来品の約2倍の画面サイズでし出せる。新開発の大口径非球面レンズの採用で、画像を映し出す壁面の近くから使用できるため、教室の教卓から黒板に映したり、小会議室など狭い場所でのプレゼンテーションにも活用できたりするという。

 メーカー希望小売価格(税込)は49万8000円で、当初月産は1000台。業務用が中心だが、希望に応じて一部量販店でも扱う予定で、初年度の国内販売は5000台を計画している。

 海外展開については、教育関連機器で世界シェア2位の英プロメシアンの販売網を通じて、国内販売に先駆け7月に英国で発売。その後、欧州、米国、カナダ、メキシコにも投入し、初年度で3万台の海外販売を見込む。

 プロジェクターの世界市場の規模は出荷台数ベースで2005年が412万台で、同社では教育現場やベンチャー企業、SOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)への普及を背景に、今後年ごとに20%程度の伸長を続け、08年までに728万台に達すると分析。特に、現在1校あたり1.8台とされる国内の小中学校で、クラス1台レベルにまで普及が進めば、6.8倍の46万台まで出荷台数が増加すると算出している。

 同日、東京都台東区の同社東京ビルで開いた発表会で、野中ともよ会長は「ICT(情報通信技術)コンテンツを利用すると、子どもの集中力は高まる」との研究結果を例に、プロジェクターの教育効果を強調。「非常に狭い空間を豊かにできる」と述べ、最短投影距離、省スペースをアピールした。【了】