ひと言でいえば「いつもどおり」になるだろう。
 9月の最終予選に臨む日本代表のメンバーだ。

 東京五輪直後の編成ということもあり、U―24世代から多くの選手が昇格するとの見立てもあった。しかし、初選出はGK谷晃生ひとりにとどまった。

 東京五輪でのパフォーマンスから判断すれば、田中碧は招集されていいだろう。ただ、彼はデュッセルドルフへ移籍したばかりだ。ボランチが人材不足に陥っているわけでもない。遠藤航と守田英正に加え、柴崎岳が久しぶりに招集された。板倉滉もいる。田中碧には新天地で地歩を固めてもらう、ということだろう。三笘薫についても、同じことが言える。

「いつもどおり」が悪いと言うつもりはない。ただ、気になるポジションもある。

 左サイドバックだ。

 序列で先頭に立つ長友佑都は、26日のメンバー発表時点で無所属となっている。昨シーズン限りでマルセイユとの契約が満了となり、ヨーロッパで新天地を探しているが決定には至っていない。8月31日の移籍期限までには話をまとめたいはずで、合流したらすぐに戦力となるためにも、コンディションは整えているに違いない。

 ただ、試合勘とゲーム体力は実戦で磨かれるものだ。6月11日のセルビア戦を最後にゲームから離れている彼が、最終予選で戦える状態にあるのか。森保一監督には慎重な見極めが求められる。

 ロシアW杯後に就任した森保監督は、世代交代をテーマに掲げた。22年時点からの逆算でメンバーを入れ替えてきたが、長友に次ぐ左サイドバックは現在も確保できていない。今回もチーム結成当初から招集している佐々木翔、東京五輪で左サイドバックを務めた中山雄太が招集されている。

 個人的には今夏に移籍したふたりに注目している。安西幸輝と杉岡大暉だ。

 安西はポルトガルのポルティモネンセから、古巣の鹿島アントラーズへ復帰した。8月9日の湘南ベルマーレ戦でほぼ2年ぶりにJリーグのピッチに立つと、同25日の清水エスパルスでは復帰後初先発でフル出場した。

 鹿島では右サイドバックで起用されているが、左右両サイドに適応する。昨年10月のカメルーン戦でも、4バックの左サイドバックで起用された。

 その鹿島から湘南へ期限付き移籍したのが杉岡である。こちらも古巣への復帰だ。

 アンダーカテゴリーから代表に選ばれてきた彼は、東京五輪に出場するべきだったタレントだ。17年に当時J2だった湘南でプロデビューを飾り、3バックのウイングバック、4バックの左サイドバックと左サイドハーフなどで出場機会を得た。182センチのサイズがあり、力強くアップダウンできる彼は、長友の後継者候補としての期待を集めた。

 しかし、湘南からステップアップした鹿島では、ケガの影響などもあって定位置を確保できなかった。東京五輪を目ざす競争からも遠ざかり、8月から「自分のストロングを一番出せる」という古巣復帰を果たした。

 背番号2を背負うことになった22歳は、追加登録直後の名古屋戦ですかさずスタメンに名を連ね、3バックの左サイドを任されている。4バックの日本代表とは役割が異なるものの、攻守にハードワークする湘南で復活の足がかりをつかんでいる。

 9月の2試合は長友、中山、佐々木の3人で乗り切ることになるが、10月からは安西と杉岡が競争に加わってくるはずだ。個人的には、代表引退を表明している酒井高徳に復帰を打診することも、選択肢に含めたいと考えている。

 来年11月のカタールW杯を、長友は35歳で迎える。フィジカル的なタフネスさは彼の魅力で、W杯3大会連続出場中の経験値はチームの財産でもあるが、彼を脅かす存在の登場が待たれる。それがまた、長友の刺激にもなる。競争のレベルが上がることで、個々がレベルアップしていく関係構築が望まれる。