ノドジロシトド(撮影日、提供日不明)。(c)AFP PHOTO /SCOTT M. RAMSEY/HANDOUT

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【AFP=時事】カナダに生息するスズメ科の野鳥ノドジロシトドは、軽快に響く特徴的な鳴き声を持つことで知られるが、その鳴き声の調子が時間とともに変化している。研究論文が2日、発表された。いわば「動物界の口コミ現象」の興味深い一例だという。

 特徴的な3連音を聞かせどころとするノドジロシトドの「元の鳴き声」は、1950年代に鳥類愛好家たちによって初めて録音された。カナダでは、「オー・マイ・スイート、カ−ナ−ダ、カ−ナ−ダ、カ−ナ−ダ」とこの鳴き声に合わせて歌詞も創作されている。

 だが20世紀の終わりごろから、カナダ西部に生息するこの種の仲間が新しい歌唱法を導入していることに、生物学者らは気づき始めた。

 新しい鳴き声は、最後の部分が3連音ではなく2連音で、これまでにないシンコペーションのパターンになっている。この部分は「カ−ナ、カ−ナ、カ−ナ」のように聞こえる。

 その後の20年間で、この新しい鳴き方は大きく広がり、アルバータ(Alberta)州やオンタリオ(Ontario)州を経て東方に移動し、2019年にはケベック(Quebec)州でも確認することができた。

 そして現在では、3000キロ以上にわたる生息地全域で、この新しい鳴き方が優勢となっている。これは、その土地で長きにわたり続けられていた鳥の鳴き方が、まったく別の鳴き方に取って代わられた極めてまれな例だ。

 カナダのノーザン・ブリティッシュ・コロンビア大学(University of Northern British Columbia)のケン・オッター(Ken Otter)氏と共同研究者のウィルフリッド・ローリエ大学(Wilfrid Laurier University)のスコット・ラムゼイ(Scott Ramsay)氏は、米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に掲載された論文の中で、鳴き声の変化の目まぐるしいペースについて触れている。

 AFPの取材にオッター氏は「ここで起きているのは、ケベックからパリに引っ越した人がいたとして『そのアクセントいいね!』と、ケベックのアクセントでパリの人たちが話し始めるようなものだ」と説明した。

 研究は、2000〜2019年に収集された1785個の録音データに基づき進められた。録音の大半は研究チームが行ったものだが、「xeno-canto.org」などの世界の鳥の鳴き声を集めた専門サイトにデータファイルを投稿した市民科学者らも一部を寄与している。

 カナダ西方にあるアルバータ州で2004年に録音された鳴き声の約半分では3連音が聞かれたが、その10年後には、雄の鳴き声はすべて2連音になっていた。

 2015年には、カナダの西半分は2連音の鳴き声に取って代わられ、そして昨年には、東方ケベック州の西端地域でも新しい鳴き声がしっかりと定着していた。 

 雄は、自分の縄張りを主張するために鳴くとされ、同一種では同等の鳴き方をする。通常、鳴き方に変化が現れた場合でもその地域にとどまり、縄張りの範囲を超えて広がることはない。

 今回の研究についてノーザン・ブリティッシュ・コロンビア大学のオッター氏は、このような広い範囲で変化の拡散を確認した初めてのケースだと述べている。

【翻訳編集】AFPBB News

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