22日午前、「村上ファンド」の村上世彰代表がTOB開始について説明に訪れた東京都中央区の新日本無線本社。(撮影:常井健一)

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村上ファンド」を率いる村上世彰氏は22日午前、前日に株式公開買い付け(TOB)を仕掛けた半導体メーカー新日本無線<6911>の本社(東京都中央区)を訪れ、久米一弘社長と会談した。村上氏は午前10時に同本社に到着、7階の会議室で30分ほど、久米社長と役員1人にTOB開始について説明した。

 会談を終えた村上氏は、同本社前で、ライブドア・ニュースを含む2社の取材に応じ「ちゃんとフェアに話を聞いていただいた」と感想を述べた。その上で、「経営陣から株主価値を毀損(きそん)しないような要望があれば全部受け入れちゃう、と申し入れた」と会談の中身を語り、今後の展開について「今回は、全部フェアにお互いが条件を示しているので、フェアな結果になると思う」との見解を示した。

 新日本無線株式をめぐっては、村上氏が代表を務める投資会社、エム・エイ・シーが21日、買い付け価格を1株900円とするTOBを12月15日まで行うと発表。既に今月9日から同29日を期限に、1株840円で友好的なTOBを進め、現時点で同無線株2.14%を保有する日清紡<3105>との間で、異例のTOB合戦が始まった。これを受け、同無線は「日清紡による戦略的・友好的な公開買い付けを前向きに受け止め歓迎する意思を固めていた」とのコメントを出し、村上ファンドによるTOBについては「経営陣は唐突感を抱いている」と説明した。

 新日本無線の高橋美幸総務部長によると、今回の会談のアポイントメントなど連絡や、やり取りについてはトップ間で行っているとしている。村上ファンドによるTOBは、同無線が日清紡のTOBが終了する29日に向けた準備を淡々と進めていた中での発表。同無線は、TOB開始に関する21日の新聞報道を受け、同日午前中に久米社長から全社員に向けて、事実関係を説明する内容のメールを送付した。【了】

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