質屋で換金して衣装代に…女子アナを襲う″貧困”
高収入で華やかな生活を送っていると思われるアナウンサー。だが、ごく一部の著名アナを除いてその生活は実につましいものだ。とりわけフリーの女子アナほどその傾向が顕著だ。
「お金がかかるのが衣装代です。H&MとかFOREVER21とかファストファッションを上手にコーディネートしたり、リサイクルショップや激安ネット通販を活用してそれらしくみせています。都内で一人暮らしのフリーの方の中には生活がきつい人もいるはずです」(30代半ばの元地元局アナ・現フリーアナ)
事実、フリーアナの収入はごく一部の売れっ子を除き、ピンキリだ。高収入な女子アナはそれこそ年収1000万円も有りうるが、なかにはアナとしての月収は月数万円というケースも珍しくはない。
スポンサー企業のABCマート創業者から1億7000万円の巨額無利息融資を受け、高級外車も貸与されていた日本テレビ・上重聡アナ(34)と同じ元日テレのフリー女子アナが、「月収約7万円」と公表し話題となったが、元在京キー局アナでも実情はこんなものだ。
フィットネスクラブの受付をさせる事務所ももちろん月10万円以下の収入では生活できない。そのため、フリー女子アナのなかには副業を持つ者が多い。女子アナたちはどんな副業を行なっているのだろうか。
「結婚式やイベントの司会ですね。これは1回で5万〜10万円程度の収入になります。他にはアナウンス講座やマナー講座の講師業。こちらは1回1万〜万円といったところでしょうか。ほかにもライター業もけっこういますね」(都内在住、30代後半の在京キー局出身のフリーアナ)
他にもテレアポや受付、飲食店ウェイトレスといった仕事を行なうアナも多いという。時給にして900〜1200円くらいだから、華やかな世界とは程遠い。
「六本木だったか、赤坂だったかのフィットネスクラブの受付は、フリーアナを抱える某事務所がシフト制で請け負っていると聞いたことがあります。事務所としても女子アナを食べささせるのに精いっぱいなんでしょうね」(同)
食事代を削って衣装代にあてる女子アナも既婚のフリー女子アナを除き、一般的に独身のフリー女子アナは、先に紹介した司会、講師、ライター業も含めて、いつオーディションや番組出演依頼が来てもいいようにシフトの融通が効く仕事を選ぶ。
「生活の不安定さもあるので、事務所によっては、『結婚して生活を安定させなさい』と言われることもしばしばです。結婚して、夫が高収入なら衣装代やアクセサリー代には困りませんから。しかし結婚したとたんに、事務所から入ってくる仕事量が減らされたアナもいました」(同)
なかには食費を削って衣装代に当てるアナもいる。衣装に気を遣わないアナでも、テレビ番組出演時には、一度着た衣装を覚えておき、1週間、2週間と間隔を空け、コーディネイトに気を配り違う衣装に見せたりもするという。
「ファストファッションではユニクロ、ZARA、FOREVER21といったところが好まれます。引退した先輩から頂いたり、母親や姉妹から借りたという話は聞きますね。でも現役女子アナ同士では洋服の貸し借りは私の周りでは聞かないです」(中部地方在住、30代後半のフリーアナ)
食費を浮かせるために金持ちのおじ様と食事衣服は借りられればタダだが、いくら安価といえども買うとなると出費が嵩む。
「役得という程でもないですが……。以前、番組共演者から頂いたダイヤのネックレスやブランドのバッグをネットオークションや質屋で換金化し、衣装代に当てたという同僚アナの話も聞いたことがありますね」(前出・都内在住、30代後半のフリーアナ)
食費を浮かす目的もあり、番組共演者や関係者など“お金持ちのおじ様”から食事を奢って貰うこともある。外資系金融マン、弁護士、資産家、在京キー局勤務社員など様々な属性を持つ彼らとの食事は女子アナによっては生活がかかっている側面もあるのだ。
「高価な食事もあれば1000円程度とピンキリですね。でもこうした機会が多ければ食費も浮くので助かります。多くは食事だけの関係です。それ以上のものはありません。なかには『若いうちは舌で味を覚えなさい』と高価な食事にあちこち連れて行ってくれる方もいます」(同)
日経平均価格が2万円を超え、活況期を迎えた今、企業のイベント司会など女子アナの仕事も増えるかもしれない。出番が増えれば高価なプレゼントをしてくれたり、食事に誘ってくれる男性もまた増えるだろう。フリーの女子アナとはかくも景気に左右される不安定な仕事である。だからこそ常日頃は節約、倹約とつましい生活を送っているのが現実だ。
(取材・文/田中那智美)