チェルシーのカルロ・アンチェロッティ監督とともに、コブハムの練習場のピッチでバイエルン・ミュンヘンのリザーブチームの試合を見ていたレイ・ウィルキンス助監督は、そのハーフタイムにクラブを追い払われることとなった。ロン・グーレイCEOからオフィスへ呼ばれたとき、契約が延長されないだけでなく、すぐにクラブを去らなければいけなくなるとは、まさか予想もしなかっただろう。

ウィルキンス助監督の名前はスタッフリストからすぐに削除され、公式サイトには同助監督の退任と、これまでの仕事に対する感謝や今後へのエール、つまり形式的な発表声明が掲げられた。だが、退任の真の理由は説明されていない。

アンチェロッティ監督は自伝の中で、ウィルキンス助監督がいなけば「何も勝ち取れなかった」とし、「友人」だと称している。だが英紙『デイリー・メール』は、アンチェロッティ監督が事前にすべてを知っていたと報じ、『サン』は同監督が慰留に向けてほとんど何もしなかったと伝えた。『ガーディアン』は、指揮官の頭にはすでに後任候補がいるからだろうとしている。その後任候補は、パオロ・マルディーニ、フィリッポ・ガッリ、ジャンフランコ・ゾラといった面々だ。

アンチェロッティ監督が母国イタリアから、友人かつ相談役であるブルーノ・デミチェリス氏を呼び寄せることにしたことも、ウィルキンス助監督退任につながったと見られている。また、アンチェロッティ監督が英語を話せるようになり、イングランドのサッカーを理解した今、グーレイCEOは35万ポンド(約4700万円)というウィルキンス助監督の年俸が高すぎると考えていたとも言われる。

そのほか、『インディペンデント』は助監督退任劇の裏にいるのはオーナーのロマン・アブラモビッチ氏で、昨季のチャンピオンズリーグで元チェルシーのジョゼ・モウリーニョ監督率いるインテルに敗れたことも、同オーナーが助監督を非難する理由の一つだったと報じた。

いずれにしても、確実なのは、当人にとって驚きの解任だったということだ(友人たちは「本当のショックで、彼は落胆し、裏切られたと感じている」と話している)。そしてまた、チェルシーの選手たちにとっても驚きだったことは確かだろう。