アメリカの乾燥した地域では、しばしば巨大な砂嵐(ハブーブ)が発生します。中でもアメリカ西部に位置するアリゾナ州は特に砂嵐が多いことで知られ、本格的な夏を前にした6月の終わりから7月にかけては巨大な砂嵐が町を直撃します。そんな砂嵐シーズンまっただ中の2018年7月9日、アリゾナ州南西部に発生した巨大な砂嵐を撮影したムービーがYouTubeで公開中です。

July 9th, 2018 - Haboob/Dust Storm across SW Arizona

走行する車内から撮影したムービーには、乾燥した大地の向こうにモクモクと広がる茶色っぽい砂嵐が見えています。



上空まで砂が高々と巻き上げられ、雲と見分けがつかないほどです。地面に近い部分では砂の密度が高いためか、茶色というよりは黒色に近くなっている模様。



左側の窓から反対側を見ると、そちらにもずーっと先まで砂嵐が広がっていることがわかります。



砂嵐のすぐ近くに立つと、辺り一面にもやがかかったようにぼんやりとした光景が広がっています。これら全てが地面から巻き上げられた砂粒だと考えると、少し信じられないような気分です。



見通しがいいはずの平原ですが、360度ぐるりと見回してみても数百メートル先の様子がわかりません。



また、北アメリカで発生する砂嵐は必ずしも晴天時に起きるというわけではなく、時には雷雨を伴って町や人を襲撃することもあるとのこと。車のフロントガラスには大粒の雨が絶え間なく打ち付け、向こう側にはもうもうと砂煙が立っています。



ワイパーを動かしてもなかなかクリアな視界が確保できず、ドライバーは思わず「狂った天気だな」とつぶやきました。



進行方向を横切るように砂嵐が進み、視界の大部分がもうもうとした砂の粒で遮られてしまいます。



車から降りて遠くの砂嵐をながめると、まるで世界の全てを飲み込むかのような絶望感が感じられます。



砂嵐に覆われた部分から先は、何も見ることができません。



あまりにも砂を巻き上げる高度が高いため、上空では雲と交わっているのだろうかと錯覚しそうです。



また別の地点からこちらに向かってくる砂嵐をながめると、圧倒的な迫力をひしひしと感じます。



あまりにも巨大な砂嵐は多くの人々を興奮させるようで……



撮影中の男性はこちらを振り向いてこの笑顔。



後ろを振り向くと他にもいくつかの車が止まり、砂嵐の撮影に夢中です。



反対車線では子どもが車の屋根に上って砂嵐を観察中。



離れているからまだ余裕があるものの、あの中に入りたいとはさすがに思えません。



砂嵐と地面の境では、今にもいくつかの家々が飲み込まれようとしていました。砂嵐によって電柱が倒れ、数千世帯が停電することもあるアリゾナ州では、砂嵐はまさに災害に他なりません。



しかし、やはり一部の人々にとって砂嵐は大きなイベントのようで、三脚を持ち出してカメラを構える人々の姿が多く見られました。



砂嵐を追いかけて撮影することに情熱を燃やす「ストームチェイサー」と呼ばれる人々は、気象情報を把握しながら自動車で砂嵐の撮影に適したスポットへと向かいますが……



時には砂嵐のまっただ中に侵入してしまうこともあります。暗くてわかりにくいですが、2本のライトがほとんど砂によって遮られてしまい、前方がほとんど見えなくなっています。



砂がボンネットやフロントガラスに当たってバチバチという音が絶え間なく響き、周囲の状況も把握できません。



前方を横切る車が、まるで闇の中からいきなり飛び出してきたかのように感じられます。



車もスピードを出しての運転などとてもできないため、徐行しつつ進んでいました。砂嵐をさまざまなアングルから捉えたこのムービーは、非日常のワクワク感と災害としての恐ろしさが一気に味わえるものになっていました。