7月7日に新横浜スケートセンターで行なわれたドリーム・オン・アイス。毎回多くの選手が新シーズンへ向けた新プログラムを披露するアイスショーで、圧巻の滑りを見せたのが、シニア2シーズン目に挑む三原舞依だった。


順調な仕上がりを見せた三原

 演じたのはショートプログラム(SP)の『リベルタンゴ』。最初の3回転連続ジャンプを決めると、2種類のスピンをしたあとでダブルアクセルと3回転フリップをきれいに決めるノーミスの演技。観客席からは大歓声が沸き上がった。

 ファンタジー・オン・アイス神戸公演では、エキシビションプログラムの『タイスの瞑想曲』を素直なスケーティングで滑り、三原が昨季の試合で得た大きな自信を感じさせた。また、初めて挑むタンゴのリズムに乗った滑りはスピードがあり、特にステップはしなやかさに加えてキレもあり、貫禄さえ感じさせる演技だった。

「去年の自分とはまったく違った表現を教えてもらって、そこから作ったプログラムです。自分は滑らかな手の動かし方とか、ゆっくりした表現が得意だと思っていましたけど、このプログラムではテキパキした動きもしてメリハリのあるものにしていきたい。大人っぽさも自分らしさも出しながら、五輪代表に選んでもらえるようなプログラムにしたいと思います」

 ジャンプの構成は昨季と変わりはなく、「練習でも問題なく跳べているので自信を持って跳ぶことができた。今日は表現の面を意識しましたが、最初の演技でノーミスができたのは嬉しかった」という三原。

「最初は、このプログラムを滑りきれるのかな…という不安がすごくありましたが、今日はまだまだレベルは低いけど100%でいけたかなと思う。でも、ここで止まらないで200%、300%の演技ができるようにしていきたい。にらみつけるような大人っぽいタンゴらしい表情がまだできていないので、これから身につけていきたいです」

 新しい自分の表現に大きな手応えを得た三原は、そう言って微笑んだ。

 そのほかの選手では、かつて荒川静香がトリノ五輪シーズンに使った『トゥーランドット』をフリープログラムにした本田真凜が、スピードに乗った滑りで、終盤にイナバウアーも入れて観客を沸かせた。

 演技後、本田は「これは女王のプログラムなので、女王にならないといけないと思っています。完璧な演技をしなければいけないプログラムでもあると思うので、いつものシーズンとは違い、今日のショーもノーミスを狙って滑りました。作ったばかりですが手応えを感じています。自分に合った、最初から滑りやすいプログラムは初めて」と五輪シーズンへ向けての意気込みを口にした。

 また、昨季の世界ジュニア3位の坂本花織も新フリープログラムの『アメリ』を滑り、「ジャンプはミスがありすぎでしたが、他の演技はしっかりできたので最初としてはよかったと思います。映画は不思議な女の子がいろんな人を幸せにしていく物語で、複雑な振り付けが入っているので、楽しんでもらえたら」と、プログラムへの思いを語った。

 一方、男子では、宇野昌磨がアイスショーで演技を重ねて、新SPの『冬(ビバルディの四季より)』の精度を上げてきている。スピードのあるスピンを決めるとステップもキレがあり、彼の持ち味である曲に入り込んだ演技を披露。


4回転ジャンプも成功させるなど、精度が上がってきている宇野

「4回転フリップは運よく跳べたという感じでしたが、それ以上に最近は4回転トーループの確率がよくないです。本来なら連続ジャンプにしなければいけないところなので、そこが課題です」と反省するが、大トリで出演すると4回転フリップと4回転トーループに続き、トリプルアクセルもきれいに決めた。

「アイスショーでだいぶ手応えをつかんできたところです。これまではつなぎの部分をぎこちなくやっていましたが、ジャンプだけでなく、つなぎも意識できるようになってきたので演技がスムーズになっています。プログラムを自分のものにしていく段階になったと思います」

 こう話す宇野は、「アイスショーはショートばかりやっていたので、フリーはまだ通しでやってないです。これからやっていこうと思います」と苦笑する。

 宇野はこのあともアイスショーに出演する予定で、SPに関しては仕上げの時期に入ってきているようだ。

 また、ベテランの無良崇人は新エキシビションプログラムの『ひそかな夢(美女と野獣より)』を滑り、自身が選んだ曲ということもあって、しなやかさのある滑らかなスケーティングを見せ、充実していることを実感させた。

 田中刑事は「以前提案された時は断った曲ですが、やっとやれるようになりました」というブルース曲のSP『メモリーズ』で、体の大きさを生かした新境地を切り開きつつある。ふたりの演技はともに、平昌五輪代表を目指す戦いがさらに激化することを予感させるものだった。

 招待スケーターではネイサン・チェン(アメリカ)が『パラシュート』を演じ、リズムに乗ったキレキレの滑り。新シーズンへ向けて日本勢のライバルとなる強さを感じさせた。また、世界女王のエフゲニア・メドベデワ(ロシア)は『アンナ・カレーニナより』で、物語性のあるプログラムをスピード豊かに演じてジャンプも決め、技術力の高さを見せつけた。

 平昌五輪シーズン開幕へ向けて、夏のうちから各スケーターがプログラムの完成を進めている。今シーズンも激しい氷上の戦いを見ることができそうだ。

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photo by Noto Sunao

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