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レクサス新型LSは「レベル2」の技術を搭載しているが…

レクサスの新型「LS」には、自動運転のレベリングでいうところの「レベル2」に相当する技術が搭載されている。同技術をトヨタ自動車が、「部分的な自動運転」や「半自動運転」などと表現していても不思議はないのだが、採用しているのは「自動運転につながる高度運転支援技術」という用語だ。「自動運転」という言葉の使用に慎重姿勢を示すトヨタだが、実際に自動運転車を市場投入するのはいつ頃になるのだろうか。

○あえて自動運転車とは呼ばない理由

LSはレクサスの旗艦モデル。11年ぶりのフルモデルチェンジとなる今回の新型では、衝突の危険がある場合に自動でハンドルを切る「アクティブ操舵回避支援技術」を世界で初めて採用する。高速道路や自動車専用道路を走行する際には、速度を自動制御し、車線の維持と車線変更もシステムで実施可能な「Lexus CoDrive」という機能も使用可能だ。

自動でハンドルを切る技術を可能にしているのは、新型LSに備わる「全方位センシング」という能力だ。カメラとレーダーで周囲の環境を把握しているので、空きスペースを見つけて、歩行者やクルマなどに衝突しないよう、システムによるハンドル制御を行うことができる。

周囲を見渡せるセンサー類を備え、高速道路をほぼ自動で走行する機能を持つ新型LSは自動運転車に近い存在だが、トヨタ先進技術開発カンパニーの伊勢清貴プレジデントは、「あえて自動運転車ではなく、将来の自動運転につながる高度運転支援システムを搭載したクルマと定義」したと語った。なぜ自動運転という言葉の使用に慎重なのかといえば、この言葉の定義にはメーカー間で幅があるし、ドライバーに「何もしなくてよい」という誤解を与えたくもないので、とのことだった。

とはいえ、プレミアムカーブランドも含め、自動車業界では自動運転社会の到来を見据えた取り組みが加速している。トヨタの自動運転車はどのような製品で、登場はいつ頃になるのだろうか。

●高速道路の自動運転は2020年頃に実現

○トヨタが掲げる自動運転のコンセプト

自動運転への取り組みで、トヨタが掲げるのは「モビリティー・チームメイト・コンセプト」だ。ドライバーが運転したい時には運転を楽しめて、運転をしたくない時や、できない時にはクルマに安心して運転を任せることができる、そんな自動運転社会をトヨタは目指している。

この方針に基づき、トヨタが2020年頃に市場投入を予定するのが「ハイウェイ・チームメイト」という技術。これは「ETCからETCまでの合流、分岐、追い越しなどを自動で行うもの」(伊勢プレジデント)であり、自動運転のレベリングで言えば「レベル2以上」(同)になるという。そして2020年代前半〜半ば頃には、一般道向けの自動運転技術である「アーバン・チームメイト」を商品化する意向だそうだ。

では、「自動運転」という言葉をトヨタが解禁するのはいつ頃だろうか。伊勢プレジデントは、2020年までには「自動運転」という言葉を使えるくらいのシステムを準備したいと話していたが、技術的にドライバーが手離しで乗っていられるくらいのクルマを開発できたとしても、そのときに人とクルマの関係性をどうするのかは大きな課題だとも指摘した。

自動運転社会において、運転の責任を負うのは人かクルマか。そのあたりがクリアにならない限り「自動運転車」は発売しないが、自動運転車と呼んでも差し支えないレベルのクルマは着実に開発しておくというのがトヨタの方針だろう。新型LSの発表会でレクサスインターナショナルの澤良宏プレジデントは、トヨタの自動運転に対する姿勢について「慎重といわれるかもしれないが、技術的に足踏みしているわけではない」と語り、アーバン・チームメイトが商品化できたときには「トップレベル」も狙えるとの考えを示していた。