4月は日本の入学シーズン。日本では私立や国立小学校を受験して入学するケースは圧倒的に少なく、大半の児童は地域の最寄りの小学校になかば「自動的」に入学することになる。中国メディア・文匯網は3日、「日本の小学校教育はどのように均質化を実現しているか」とする記事を紹介した。(イメージ写真提供:123RF)

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 4月は日本の入学シーズン。日本では私立や国立小学校を受験して入学するケースは圧倒的に少なく、大半の児童は地域の最寄りの小学校になかば「自動的」に入学することになる。中国メディア・文匯網は3日、「日本の小学校教育はどのように均質化を実現しているか」とする記事を紹介した。

 記事は、公立小学校が日本国内の小学校の99%を占めており、児童は各学区の小学校に選抜試験なしで入学できると紹介したうえで、「教育リソース分配の不公平を防ぐべく、日本政府はさまざまな保障政策をとっている」と説明。校長を含めた教員はみな公務員で、数年ごとに地域内でローテーションを行うこと、大都市でも農村でも音楽室、プール、グランド、体育館といった設備が整っており、校舎も地域の避難所にもなるほどの安全基準で作られていることを挙げた。

 「役所などの行政機関の建物がボロボロなのに比べて学校の建物はちゃんとしている」と解説しているが、そこからは「学校などの公共設備の充実を後回しにして、立派な庁舎を建てる」という中国の「逆転現象」を意識していることが伺える。

 また、公立小学校は授業料がなく、給食費などを納めればいいこと、学校給食が実施されるほか、毎日1本の牛乳が供されること、担任教師が実技科目以外すべての科目を担当すること、そして中国とは異なり「校門に迎えに来た保護者が群がる」ことはなく児童が自分で帰宅し、地域社会や保護者組織であるPTAなどが子どもの登下校の安全を確保することを併せて紹介している。

 記事は、日本の小中学校の義務教育における均質化が教育の普及、公平化推進という面で成功したものの、強い「平均主義」を生み能力や個性の突出を奨励しないという「副作用」も生んだと説明。特に今世紀初めに推進した「ゆとり教育」はかえって青少年の学習能力を減退させる結果となったとした。そして「現在の日本の小中教育は依然として新たな調整段階にあると言える」と結んだ。

 時代の流れとともに、教育の在り方も変化していくものだろう。中国国内では過剰な競争を生む勉学至上主義的教育の変革が呼びかけられているが、記事が指摘するように、日本でも今の時代に合った小中学生の教育を模索中だ。気を付けなければいけないのは、自分たちの頃は「こうしていた」から、今の小学生もそうするのが当然だ、と決めつけてしまうこと。今の社会、来るべき未来の社会を見据えて、ベストの教育体制に変えていくことが求められる。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)