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2026年4月、大阪で開催されたスケートボード「ウィングラムカップ(WINGRAM CUP)」でとんでもない大技が目撃された。ボードを足で回し、さらに手でも回すという、女子ではほぼ見ることができない驚異の技(サンバ)を決めたのが、15歳の長谷川瑞穂だ。

【写真をみる】長谷川選手の「フロントフリップインディ」

長谷川は現在、女子パークの世界ランキングでパリオリンピックのメダリストたちを抑え、堂々の1位に君臨している。その圧倒的な強さの理由はどこにあるのだろうか。

技の引き出し「20以上はあるんじゃないか」

長谷川をよく知る日本代表前監督の西川隆氏は、彼女の強みを次のように分析する。

「技の数でいったらかなり多いんじゃないかな。(トリック)20以上はあるんじゃないですかね。ほかの選手もできると思うんですけど、完成度の部分が瑞穂の場合はちょっと上」

スケートボードのパークは、会場によって形状が異なる。そのため、大会ごとに滑走の構成(ルーティン)を変える必要があるのだ。技の引き出しが多い長谷川は、どのようなパークであっても臨機応変に最適なルーティンを組むことができ、常に最高のパフォーマンスを発揮できる。

長谷川も「技の引き出しだけではなくて、幅が広がる。パークの使い方の幅が」と、そのメリットを実感している。

「死ぬ気で乗りに行く」大舞台で決めた大技

そんな豊富な引き出しを持つ長谷川には、どんなルーティンにも組み込める鉄板の大技がある。それが「フロントフリップインディ」だ。

板を蹴って1回転させるだけでなく、背中側に落ちるため着地点が視界に入らない。数あるトリックの中でも極めて難易度が高い技だが、長谷川は十分な高さをもってこれを成功させる。

この大技を初めて決めたのは、2024年の日本選手権だった。2位で迎えた最終ランという極限の緊張感の中、公式戦で初成功を収めた。この大会での優勝こそ逃したものの、彼女はそれ以上に価値のあるものを手に入れたのだ。

スノーボードの選手だった母・和子さんは、当時をこう振り返る。

「勝つんだったら違うルーティンだったけど、ここでフロントフリップを乗っておきたいというのがあった。大会の限られた練習時間のなかで、できるかできないかというプレッシャー…」

優勝という目先の果実よりも先を見据え、公式戦という大舞台で果敢に挑戦したからこそ、世界へ打って出るための最強の武器が手に入ったのだ。長谷川はその瞬間の覚悟を「死ぬ気で乗りに行く。ここで骨折したっていいぐらいの気持ちで、乗りに行こうと決めていた」と熱く語る。

アジア大会で狙うさらなる高み

今やフロントフリップインディは長谷川の代名詞となり、この武器を引っ提げて彼女は世界各地で好成績を収めている。それでも、立ち止まることはない。もっと高く、もっと上手く、そしてさらなるトリックを目指して。

長谷川はその圧倒的な強さを、9月に開催されるアジア大会で見せつける構えだ。大会への意気込みと競技への思いをこう結んだ。 

「日本の多くの人に見てもらえるとても重要な機会。スケートボードの魅力を日本にもっと広められるような、そんな素晴らしい滑りをできたらなと思っています」

TBSテレビ「S☆1」2026年7月19日放送より)