「寝ているときもウィッグをつけていた」結婚後も“夫に頭を隠し続ける”生活…“生まれつき髪が少ない病気”の女性が明かす、ありのまま姿を見た夫の予想外の反応
〈「もう生きたくない」高校でクラス全員からイジメ→担任は見て見ぬふり…“生まれつき髪が少ない病気”の女性が語る、ツラい学校生活が変わった“きっかけ”〉から続く
SNSで「おハゲ美容師」として発信している、あまもあみさん。Instagramではフォロワー数2万人超を誇り、インフルエンサーとしても活動している。
【変わりすぎ!!】“生まれつき髪が少ない病気”の女性→ウィッグをかぶって“金髪ギャル”になった最新ショットを見る
あみさんは約1万人に1人が発症すると言われる「先天性乏毛症(せんてんせいぼうもうしょう)」という病気の影響で、生まれつき髪が少ない。高3からウィッグをかぶって生活し、恋人の前でもウィッグを外すことはなかった。
いったいなぜ、彼女はそこまでしてウィッグを外したくなかったのか。10歳上の夫と結婚後、初めてウィッグを外したとき、夫はどんな反応を見せたのか――。(全4回の3回目/4回目に続く)

あまもあみさん ©深野未季/文藝春秋
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ウィッグ選びのこだわりと使い分け
――現在、ウィッグは何種類くらいお持ちですか。
あまもあみさん(以下、あみ) よく使っているのは4個くらいです。でも眠っているものも含めたら、100個くらいは持っています。高校卒業後、歯科衛生士の専門学校に入ってバイトを始めたので、お金に余裕があったんです。一気に何種類も買ったりしていました。
――ウィッグの値段はどれくらいするのでしょうか。
あみ ピンキリですけど、一番高かったのは30万円です。でも、高いものは何個も買えないので、ネット通販などで1000円台のものを気分転換に買ったりしていました。
――ウィッグを選ぶ時のこだわりは?
あみ 私が一番気にするのは、髪質と、つむじの自然さですね。電車で座っていると、上からの視線を感じるので。逆に、私自身がめちゃめちゃ人のつむじを見ちゃうんですよ。エスカレーターとかで、「人の頭ってどうなってるんだろう」って。
――ウィッグはどのように使い分けしているのでしょうか。
あみ 人毛のウィッグは、自然な髪と同じでセットが必要なんです。それが面倒くさいときは、人工毛が入っているものを使います。人工毛だと、カールが元々形状記憶になっていたりして、パッとかぶるだけでスタイルが出来上がっているので、楽なんです。
あと、カミングアウトしていない人に会うときは、あまり派手すぎず、突っ込まれないような髪型で行ったりします。
カミングアウトしたら友達が「めっちゃいいやん! 色んなあみちゃんが見れるやん」って
――大人になってから知り合った友人には、どのようなタイミングでカミングアウトされるのですか。
あみ ほぼ言わないですけど、すごく仲良くなって、会う頻度も増えて、「この子とずっと仲良くいたいな」と思った子には言います。
今も仲良くしている子にカミングアウトしたときは、それまで茶髪のロングヘアで会っていたんですけど、ある日突然、金髪で行ったんです。そしたら「え、髪色変えたん?」って言われて。それで、落ち着いた頃に「実はこれ、ウィッグなんだよね」って伝えました。
――お友達の反応は?
あみ 「え、めっちゃいいやん! 色んなあみちゃんが見れるやん」って言ってくれて。めっちゃいい子です。
――ご両親は、あみさんの色々なウィッグスタイルを見て、何かおっしゃいますか。
あみ 髪型に対しては何も言ってこないですね。多分、親としては私の“ありのままの姿”が一番可愛いと思ってくれているんだと思います。だから私も、家の中ではあえてウィッグをかぶらなかったり、うさぎの帽子でいたりするんですけど。
――過去の恋人には、ウィッグについて打ち明けていたのですか。
あみ 言っていました。初めて恋人ができたとき、いつ言えばいいかわからなくて母に相談したら、「付き合う前に言えばいいんじゃない」って言われたんです。
それから付き合うときに言うようにしているんですけど、みんな、多分あまり状況が分かっていないのか、私の話を聞いても「あ、そうなんだ」みたいな感じでしたね。
多分、相手からしたら、言われてもどういう状態かわからないから、そんなに重く感じなかったと思うんです。私にとっては心臓が飛び出そうなくらい苦しくて、辛い告白だったけど。
――ウィッグを外した姿を見せることは?
あみ 過去の人には一切見せなかったです。いろいろ見られるのが嫌で、ウィッグとかつけまつげとか、メイクしたまま寝ていました。
結婚後、夫の前でウィッグを外すまでに1年
――25歳のときに結婚されて、現在は10歳年上のパートナーと暮らしているそうですが、カミングアウトされたのはいつだったのですか?
あみ 付き合うことになったとき、「実はね……」って電話で言いました。でも、最初はなかなか言い出せなくて、吐き出すまですごく時間がかかってしまって。
夜10時頃から朝5時頃まで電話をして、泣きながら「実は髪が薄くてウィッグをかぶってるんだよね」と伝えました。
――パートナーの方は、何と?
あみ 「あ、そうなんだ」みたいな感じで。「過去にいろいろあったかもしれないけど、これからの未来を作っていくのは自分自身だから、関係ないよ。大丈夫だよ」って前向きな言葉をかけてくれました。
――今のパートナーとの結婚生活でも、最初はウィッグをつけて寝ていたとか。
あみ 付き合っているときもつけていたし、結婚して1年間は、家の中でもずっとつけていました。
――しんどくなかったですか。
あみ めっちゃしんどかったです。ずれたらどうしようって心配で、肩が凝るくらいガチガチになって寝てたので、寝た気がしないんです。しかも頭が痒いし。
あるとき、夜中にパッと目覚めて、ずれているのに気がついて。やばいと思ってトイレに走って直しに行ったこともあります。
――パートナーは気づかなかった?
あみ いや、見ていたらしいです。でも、「これを指摘したら傷つくだろうな」と思って、反対側を向いて寝てくれていたみたいで。
――家の中でウィッグを外せるようになったのは、いつ頃からだったのですか。
あみ 結婚して1年が経った頃ですね。美容師さんから「家では外したほうが、リラックスできるし、ウィッグも傷みにくいよ」とアドバイスをいただいたんです。
寝ている間の摩擦で、高価な人毛のウィッグもすぐに劣化してしまうと聞いて。経済的にも、精神的にも、もう限界だな、と感じて、勇気を出して言うことにしました。
――どのように伝えたのですか?
あみ 最初に家でウィッグを外すとき、水泳帽のような小さな帽子をかぶって夫の前に現れました。「ウィッグが傷むから、これをかぶって寝るね」と。
そうしたら、彼が「え、石ころ帽子やん! 可愛い!」と言ってくれたんです。それがすごく嬉しくて。結婚して良かった、と心から思いました。
そこから1、2週間は素の頭を見せられず、その帽子をかぶって隠していたんです。でも、それも鬱陶しくなってきたので、ある日、思い切って取りました。
――パートナーの方は、ありのままの姿を見て、何かおっしゃっていましたか。
あみ いや、特に何も(笑)。もともと、私が酔っ払ってウィッグをつけずに寝ている姿を見ていたみたいなので、彼としては今更感があったんだと思います。
彼と出会えて変わることができた「人と違っていいじゃん」
――ありのままの姿を見せられるようになってから、生活や関係に変化はありましたか。
あみ 夫とはより深い関係になって、本当の「家族」になれた気がします。
生活も、すごく楽になりました。それまでは、ウィッグを外した状態で鏡を見るのが本当に嫌で、薄目で見ていたんです。でも、ありのままの姿で過ごすようになってからは、夫が「可愛い」「ない方がいいんじゃない」と言ってくれるんです。
私が鏡を見るのを嫌がっていたら、わざわざ鏡の前に連れて行って、私がちゃんと目を開けるまで「めっちゃ可愛いじゃん、ほら見て」って言い続けてくれるんですよ。
――素敵なパートナーですね。
あみ そうやって言われ続けるうちに、私もだんだんと「確かに、可愛いかもしれない」と思えるようになってきました。夫も、私がウィッグを外してリラックスしている姿を見ると、ホッとする、と言ってくれます。
――ご自身の容姿を受け入れられるようになったのは、パートナーの存在が大きいですか。
あみ そうですね。彼と出会ったことで、完全に変わりましたね。それまでは「なんで自分だけ」って人と比べて落ち込んだりしていましたけど、今は「人と違っていいじゃん」「この良さは私にしかないじゃん」と思えるようになりました。
あと、見るのすら嫌だった昔の写真も、今は見られるようになったんです。
――ウィッグとの向き合い方も変わりましたか。
あみ 前までは、バレないように自然さを追求していたんです。普通の人の髪と同じような色や生え際を意識していました。あと、不自然に見えないよう、ウィッグを頻繁に変えないようにもしていたんです。
でも今は、コロコロ髪型を変えるのも、ウィッグの楽しみ方としてすごくいいんじゃないか、と思えるようになりましたね。
撮影=深野未季/文藝春秋
〈「頭どうしたの?」「なんでこんな頭なの?」SNSで誹謗中傷も…“生まれつき髪が少ない病気”の女性が、美容師になって“おハゲ美容師”として発信するワケ〉へ続く
(「文春オンライン」編集部)
